第2話 上からくるぞ!

やはり基地といえばあれだろう。そう、隠し扉に地下へと続く――――


「な、なんですかこの階段は!?」

「いや、普通の階段だけど」

「そうじゃなくて、いつの間にこんなものを作ったんですか!」

「いつの間にって、最初から作ってたぞ」


そう、何を隠そうこの基地、俺のお手製である。あの災害以来、一部の人々はステータスというものに目覚め、スキルなんかが使えるようになった。そういった人々のことは覚醒者と呼ばれている。研究は行われているがいまだに原理は不明の謎システムだ。今使っている【発光玉ライト】もそのスキルのうちの一つだ。

俺はこれのおかげで忙しい目にあってしまったのだが。


「あ、それとここ罠とか仕掛けてるから注意しないと最悪ケガするから」

「なんでそんな危険なもの仕掛けてるんですか!」

「そりゃあ、侵入者対策に決まってるだろ」


まあ、ここ人が寄らなそうなところに作ってあるけど。万一ってあるしやっぱり必要かなと。

そうこうしている間に下までたどり着く。重厚な扉を開けるとそこには、3つの扉があった。


「これが第一の罠、名付けて『実は全部はずれなんです』緑の扉は入ると外にワープ、赤い扉は触ると爆発、青い扉は押しつぶしてくる。あと赤い扉は在庫がないから触らないように」

「せっかくだから私は、この赤の扉を選ぶぜ」

「やめろぉ!何する!」

「まあ、それはいいとして、扉が全部はずれだとしたらどこが正規ルートなんですか?」

「それは、一回戻ってみれば分かる」


部屋から出ると、そこには地下へと続く階段が出現した。

――実際は降りてきた時点では大きな目立つ扉に加え、死角にもなっていたから出現したと勘違いするだけのことだが。


「凄いですね、よくこんなものを作っている時間がありましたね」


本当は実凪と過ごすために毎回早めに帰ってきたのに、当の本人は全く話しかけてくれないし、最近ようやく話せるようになったと思ったらこんな毒ばかり吐くように・・・


「まあ、まだ罠はたくさんあるけど、紹介するのがめん・・・たくさんあるから今回は裏ルートからいくぞ」

「やっぱりあるんですね、裏ルート」


三つの扉のうち青い扉が倒れたその先が裏ルート、まあ実際のところ出口なんだけど。

隠し扉になっていたその先は宝物庫ではあるのだが、どちらかというと物置だ。奴ら、モンスター共を【解体ディスアセンブル】というスキルでアイテム化したものやらなんやらを置いている。


「これが噂に聞くドロップアイテムというものですか。このポーションというものが気になっていたんですよ」


ポーションは色や瓶の形状によって効果が異なる。【鑑定アプレイザル】というスキルを使えば効果がわかるが、中には何の効果もない偽ポーションなんかもあるから注意が必要だ。


「それよりだ、お前にこれを授けよう」

「なんですか、このペイトゥーウィンのような課金武器は?」

「インディゴっていう名前の弾の当たった相手をその場で眠らせることができる銃だ。殺傷能力も全くないし強いモンスターには効かないけど護身用にはなるから持っておけ」

「そうなんですね。撃ってみていいですか?」

「いいけど、俺に撃っても意味ないぞ」

「そうなんですか?残念です」


殺傷能力はないとは言ったけど本当に俺に向かって撃とうとしたのかよ・・・


次の部屋は玉座的ななにかだ。そもそもここらへん、物置以外は玉座的なにかの他は何も作ってない。従って罠もない。


「どちらかというと、秘密結社のアジトというよりかは魔王城みたいですね」


痛いところを突かれた。そもそも魔王城をイメージして作っていたところだし。


「まあまあ、それでだ。納得しただろ」

「いや、もういいですよ。拒否したところで勝手にやらかすでしょうし、私が監視しておきますよ」

「よし、これでようやく次のステップに進める」

「で、具体的にその秘密結社ザスターエンドってなにをするんですか?改めて口に出してみると酷い名前ですね・・・」

「それは追い追い説明するとして、まずは秘密結社といえばそう、科学者だ。というわけで【瞬間移動テレポート】」

「あ、ちょっと」


俺はこの場を離れ、知り合いのところへ【瞬間移動テレポート】をした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る