元最強の俺が、秘密結社を形成し世界征服する!…………予定。

エレウカスイートレモン

第1話 これなんてエ□ゲ

心地のいい朝だ、こんな日は惰眠をむさぼるに限る。だが、こんなに心地がいいのはいつ以来か。

俺、尾張おわり のぶるはほぼ毎日に戦いに明け暮れていた。何度も敵を倒し、何度も立ち上がり、そして遂にその元凶に打ち勝った。


身体中が痛み、そして一日中寝込んでようやく痛みが引いた。そう、だからこそずっと寝ていたい。


――と思ったがものすごく腹が減った、そもそも昨日一日中寝てたから何も食ってねえし。

別にそこまで眠いわけでもないし、むしろ眠気よりも食い気のほうが今は強い。

ただ、今は動くのがものすごくだるい、動きたくない。働きたくないでござる!

仕方ない、最終手段でを使うか・・・と思ったがスマホはあの戦いで落としたんだった。

PCまではベッドから遠いしこれはもう自分で行くしかないか。


そう決めると俺は立ち上がり、キッチンへ向かう。がそこでに出くわした。


「あ、ようやく起きたんですね。昨日起きてこないからてっきり死んだのかと思いました。いっそのこと死んで異世界転生でもしたらどうですか?」


このソファーに寝転がってノートパソコンをいじってるクソ生意気なヒキニートは俺の幼馴染である美濃みのう 実凪みな、銀髪碧眼のハーフだ。3年前、俺とこいつはあの災害で両親を失い、色々あって二人で暮らしている。まあ、結局あんまり話す機会がなくてほとんど放置しているんだがあれ以来こいつは外に出ることを嫌っている。


「・・・ぁー・・・・ゲホゲホ・・・あー・・・お前、昔はお兄ちゃんお兄ちゃん言ってたのにどうしてしまったんだよ」

「は?何言ってるんですか?頭湧いてるんですか?そんなこと一言もいった覚えはありませんよ」


いつの間にかこうなっていた、というより今よくよく考えたら俺が買い与えたこのノートパソコンが悪いのかもしれない。

そう考えるや否やこいつからノートパソコンを取り上げる。


「あ!やめてください!今、ゲーム中なんです!」


画面を見ると、ステータス画面のようだ。どうやらレベル上げをしていたらしい。てか、このステータス画面リアルのほうのステータスとほぼ同じじゃねえか!


「ってうわ!」


そうこう考えているうちに実凪に押し倒される。


「「え?」」


おかしい、俺が腹が減っているとはいえこんなヒキニート相手に簡単に押し倒されるはずがない……という思考すら吹き飛ばすくらい柔らかい、しかも視線のその先には大きな谷間が……


「どこ見てるんですか!変態!」


俺はビンタくらって気絶した。


***


目が覚めると、そこには膝枕……なんてものはないが、枕は敷かれていた。


「いてて」

「あ、ようやく起きましたか・・・・・・その・・・さっきはごめんなさい」


そもそも、あの状況でノートパソコンを取り上げたところであの実凪は戻ってこないし、むしろ悪化していたかもしれない。


「いや、俺の方も悪かった、それより腹が減ったわ」

「それならポテチ食べますか?コーラもありますよ」

「おい、それ俺の部屋にあったやつだろ!いつ入ったんだ!?」

「まあ、それはそれとして、食べるんですか?」

「いや、もっとスタミナがつくようなものを……」

「食べないなら私が貰っていきますね」

「まあいいけどさ、なんか肉料理とか作ってくれない?」

「え、それくらい自分でやってください」


こいつ、もうちょっと俺を労うとかしないのかよ!!


まあ、なんやかんや言っても実凪はごはんを作ってくれた。実凪ははっきり言って天才だ。なにをさせても上手くこなしてしまう。

この料理もまた滅茶苦茶うまい。さらに言うなら前からPCを使っていた俺よりもタイピングが速い。やっぱ取り上げておくべきか?


「そういえば、ネットニュースを見たら、あなた行方不明って流れてきましたよ」


あー、そういえばあれから全く連絡とってなかったからな。てかもう元凶倒したんだからいいでしょ。そもそも政府機関で更に死の可能性もある割には安い給料だったし。奴らの落とす物のほうが価値があるくらいだ。

利害が一致していたから協力していたに過ぎないし、というより今なら叩けば乗っ取れるのでは?

人を散々こき使ってきたしその報復も兼ねてだし、それに・・・まあこれはいいか。

そもそも、三年前のあの大災害で多くの人が死に、空は奴らに制圧されたのにあいつらは何にも・・・


「どうしたんですか、美味しくなかったんですか?」

「よし、決めた!ここに秘密結社を立ち上げる!!!」

「・・・いきなりどうしたんですか、頭までおかしくなったんですか?」

「いや、だってほら行方不明なった俺に突如現れる謎の組織、なんか、ほら、いいよね」

「なに言ってんですか、厨二病拗らせたんですかあなたは。勝手にすればいいじゃないですか」


流石にこんなしょうもない説得をしても流石に無理か、仕方ない、ならばこの手を使うか。


「ん、いや、お前も秘密結社ザスターエンドの一員だから」


そう困ったときはゴリ押し、この手に限る。


「え?なんですかそれ、私まで巻き込まないでくださいよ!しかもネーミングセンスひどいし」

「いや、そもそもここ秘密結社のアジトだし。ここにいるということは秘密結社の一員ということ」


あ、完全に理解不能なものを見る目をしている。


「まあ、とりま食べ終わってからにしようか」

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