アレも無い。コレも無い。

「マジで何もねぇ……!」


 愕然とした俺は地面に膝をついorz状態になっていた。

 ステータス、無し! ウィンドウが開くとか一切なし!

 魔法の類、無し! 少なくとも出す手立てを知らん!

 便利なアイテム、無し! 持ってきたカバンには薄い本と飲み物くらい!

 チート、多分無し! とりあえず無敵とかは無い! 転んで打った所痛いし! 即治るとかそういうのも無いっぽい! ただ後で何か能力に覚醒する――そんな可能性にかけたいが微レ存

 不親切にも程があるぞこの転移! 一体俺にどうしろっていうんだよ!? 何をさせたい!? というか何もできねぇぞ糞がふぁっきん


「う……」


 ついでにもう一つ。食う物も無い。すっからかんみたいで、虫が鳴いていらっしゃる腹がペコちゃんだ

 朝並んでいる時に食っただけだからなぁ、コンビニのパンとおにぎり。くっ、何か残しておくべきだった……いや誰も想像しないだろ、こんな目に遭う異世界転移するとか。

 ――どうする? どうすればいい? いや、落ち着け。そうだ、落ち着くのが大事だ。とにかく落ち着くんだ俺。ほら、残ってるペットボトルの麦茶を一気飲みだ。


「……ふぅ、落ち着いた」


 落ち着いたお陰で、少し冷静になれた。


――たった今、飲み物も無くなったが、冷静になれたのだから些細な事だろう。


「いやいやいや! 些細じゃねぇよ! どうするんだよ飲み物まで無くなったぞ!?」


 くそ誰だ貴重な飲み物を一気飲みとかした馬鹿野郎は!? ふざけんなヌッ殺すぞ!?

――ああそうだよ俺だよ! 俺がやったよ! 悪いか糞が!


「……やめよう。責任を追及するだなんて、愚か者がすることだ」


 散々やらかした馬鹿俺という自分自身を責めたてて、何の意味も無い無駄に体力を消耗するだけ事に気付いた俺は仰向けになって倒れ込んだ。

 木々の隙間から見える空は、憎たらしい程青い。雨とか降れば、水分になるだろうに。天の恵みも無いのかよ。


「うー……あ?」


 ふと、横を見ると木に何かがあるのが見えた。

 よく見ると、それは巨大なキノコ。根元じゃなくて、幹から生えているっぽい。サルノコシカケとかみたいな感じじゃなくって、本当に幹からにゅって生えている感じ。形はマツタケみたいだが、問題は色。


――あの、こういうの専門外なので申し訳ないんですが、全体がピンクのキノコってあるんでしょうか?


 形マツタケ色ピンク、大きさはこれまた結構なモノで。御立派ぁ!

 すごく……卑猥股間のアレです……


 色合い的に毒っぽいのを除いても、流石にアレは食えねぇ。

 よく見たらこの周囲の木、どれもキノコ御立派ぁ!が生えていた。しかもどの木も何故か一本だけ。

 ファンタジー感はあったけど、尻の穴がこう、キュッと引き締まる思いになりました。

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