第68話 噛みつきブレット

「野良犬がよ、いきなり飛びかかってきやがったんだぜ。なぁ、おみよ。」


「ええっ!

あ、うん、そうそう。すっげえの。

ほら、昔よ野良犬のオヤジいたじゃん?

フレッド・ブラッシーだぁーー!!

そう、あいつと似てんだよぅーー。」おみよ


そうなのだ、お玉たちの子供次代は野良犬が

わんさかいたのだった。

かなり、遠くでも野良犬を見つけると

子供達は走る、走る。

そうすると犬は全速力で追いかけてくる。

この頃の子供達は自然と危機対応が身についていた。

全員がバラバラ方向へ逃げるのだ。

野良犬はそうすると諦める?

いや、その中のひとりを追いかけ回すのだ。


生け贄である。

ひとりを生け贄にして逃げるのだ。

これは、文句言いっこ無し。

みんな命がけなんだから。


「何‼️

フレッド ブラッシー!あの、パツキンのプロレスラーかいなー!」ウメ


「そなんだよな、な。

みんな、覚えてんだろ?あの犬よ。

あんなのが突然襲ってきやがったんだ!」お玉


「お玉、おめえ、今時によ、野良犬いるか?

あーん?」お京


「ホンマや、今時なぁ、野良犬なんかおらんやろ?犬ごろしの車とかも見やへんしな。」

タケ


「あー、そうそう。

あの、飼い犬がさ、首輪の鎖を引きちぎってたんだよな、おみよ!」お玉


「飼い犬だったのか?

フレッド?

どこんちの犬だったんだ?

あたいなんか、ケツに噛みつかれてよ。

今から文句言いに行ってやるーー。」おみよ


お玉はどうして、あんだけ、打ち合わせしたのにおみよは、こうもばかたれなのかと

項垂れたのだった。






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