第31話 夕日に向かって走れ??

お京はヘムを探した。

病院の中庭にある患者さんの憩いの

ベンチ。

そこに点滴をぶら下げて、肩を落としたヘムが座っていた。


「ヘム。」お京


「んぁ?

お京、、、。

あのな、聞いてくれるか?」ヘム


「ああ。」お京


「中学の時にはよ、もう、悪名が轟きまくってよ。たまに学校に顔出すとよ、モーゼの十戒みたいによ。さーーっと、みんなが避けるわけだよ。先公達も何しに来やがったんだ!って感じなんだよ。」ヘム


「あたいだってそんなもんだったさ。」お京


「お玉やおみよはさ、バカじゃんか。

気が付かないんだよ、そういうの。

あたいは、のけものってヒシヒシと感じたわけさ。

そんなあたいにさ、ガリ勉は学級委員としてさ、おはようございますって挨拶してくれたさ。無視しても無視してもさ。」ヘム


「うちの奴は空気が読めないからな。」お京


「ある時さ、指導部の死神に捕まってさ。

竹刀でめちゃくちゃ打ちのめされてさ。

あったまに来てさ、あたいもカミソリを握ったさ。

そこへ、ガリ勉が来てさ。」ヘム


『先生、暴力は辞めてください!!

これは、明らかにやり過ぎですよ。

僕はこれを問題にします。

証人にもなります!!』


「そう、言ってさ。私を庇ってくれたさ。

ガリガリのひょろひょろなんだけど、

その迫力が凄かった、、。

先公もビビリやがって、、、。

あたいはガリ勉に助けられたのさ。」ヘム


「そうかい、そうかい。

それから、ヘムはうちのを好きになったんだね。」お京


「うん。だけどさ、学校に行きたくてよ。

あたいを倒して、てっぺん取りたい奴らが待ち構えてやがる。

なかなか、行けやしねぇ。

そうこうしてるうちに卒業さ。」ヘム


「わかるぜ。あたい達、みーんなヘムと同じさ。このままじゃいけねぇと思ってもよ。

周りが許してくれねぇのさ。」お京


「だからよ、高校はばあちゃんちに住んでよ

誰も知らないところへ行ったんだ。

そこで必死でやり直したんだよ。」ヘム


「あたいだって同じさ。

いつまでも、バカやってんのはお玉とおみよだけさね。

それより、すまねえな。ヘムの気持ちに気が付かなくてよ。」お京


「いやさ、あたいも結婚したしよ、子供もできたし、今じゃいい思い出さ。

ただ、こんな風にバレちまうと思ってなかったから、、。」ヘム


お京は思わずヘムを背中から抱きしめた。


「青春のばかやろーー!」お京



何だろ、今回はいい話になっちゃって

全く面白みがないではないか?


ふーんだ、秋だからね。

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