第17話 外れちゃったのよー

お京の家に、お玉、ヘム、おみよが集まった。


一見なごやかなマダムの集まりのようにも無理矢理みえなくもない。

しかし、お互い、懐には、カミソリ、コイン、チェーンを隠し持っていた。


(危ねえ奴らだ、いざとなっちゃ、やられる前に)

みんなが同じ思いだった。


「おい、何のみてぇんだ??

ハーブティーにすっか?」

お京は聞いた。


「お京がハーブティー?てめぇ、そんなもん

飲むようになったのか?」

ヘムは驚きを隠せない。


「辞めとけヘム。あいつのハーブなんて

土手のしょんべん草だぜ。

毒草かもしんねぇぞ。」

おみよが言う。


「てめぇの稲荷寿司に比べりゃなんでもねぇわ。あん時はお花畑が見えたぜ。」

お京も負けてない。


「あ、お玉、てめぇ、いつの間にビール飲んでたよぅ。あたいもビール飲もうっと。

お京、ヘムもか?」

おみよは三缶持って、いそいそ。


「プハーー。うめえ。毒薬茶よりこっちだな。」


「おみよ、てめぇ、喧嘩売ってんのかぁ?」


「辞めとけって。さっさと話に入ろうじゃねぇか?」ヘムは静止する。


「そだな、このお玉のバカ助が、これからどーするかだ。もうじき、中間テストがあるんだ。

お玉の脳みそじゃ退学まちげえねぇ。

そこでだ、対策会議をやりてぇのさ。」

お京は、ここまで話すと喉が渇きグビグビとビールを飲んだ。


「なんだって?あたいがバカだってぇー。

ざけんなよ。テストくらい、受けてやらぁ。」

玉子はすでに二缶目のビールを開けている。


「お玉、じゃあよ、元素記号を言ってみろよ。」ヘムも2本目のビールを飲みながら言った。


「すいへいさんがぼくのふね、なまえをつけたシップはロキソニンだろがーー。」


「お玉、、。」

忘れたい気持ちで、みんなはビールを飲んだ。


そのうち酔っ払いってきた。

かつての酒豪も年には勝てない。


「なぁ、空き缶倒しやんないか?」

おみよが言い出した。


「おもしれぇじゃねえか。

あたいのコインに勝てる訳ねぇだろ。

ファファファファー。」お京


「おいおい、あたいのカミソリの切れ味をみくびるじゃねぇ!」お玉


「お玉、2枚刃のあたいのが勝つに決まってんだろ?」ヘム


「笑わせるぜ。チェーンだぜ。あたいのもんさ。」おみよ


ごおおーーっと燃え盛る魂。


「誰からやる?順番決めだ!」おみよ


「よし、ここに缶をひとつ置く。

3.2.1で投げ合う。それで決めようぜ。」

お玉


「よーし、わかった。」お京


みんなで、さんー、にー、いちー‼️


ビューーーー。火花が散る。


「どうだ?」お玉


「あれ?缶は何ともなってねぇぞ、、。」

おみよ


「おみよ、老眼が進んでやがんな。

メガメかけて見ろやー!」お京


「いや、いい。

みんな、あれを見な、、。」ヘム


そこには家に帰ってきたガリ勉校長が倒れていた。

ヘムの2枚刃で眉毛は無くなり、

お京のコインが股間に食い込み、

おみよのチェーンが首に巻き付いて、

お玉のカミソリは能天気に刺さっていた。


一気にシラフになった三人だった。










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