第11話 個室
今日の玉子は大人しかった。
いや、妄想が頭を支配して、何にもできなかっただけである。
昼を知らせるチャイムの音。
玉子は弁当袋を抱えて、いきなり走り出す。
「うん?お玉。動きだしやがったな。
あの速さ、とてもババアとは思えねえ、、。
だがよ、お玉、おめえの動きなんざ
ここからお見通しだーーっ‼️」
ヘムは高笑い。
玉子は雨もりと約束した女子トイレの前で待つ。
「あぁぁぁーのののーーつ、おったまげー!
あっお待たせしもうしたする。」
「おう、雨もり、持ってきたか?
弁当?」
「はっはい。こっこっけっここーれです。」
玉子はひったくり、頬にすりすりした。
「んじゃよ、これがあたいの弁当だ。
食いな。
ところで、どの便所にすんだい?」
「わっわーたしは、こっここでする。」
「そっかー。じゃあ、あたいは隣の便所にすっかな。食おうぜ、雨もり!」
「はっはい!」
それぞれトイレに入る。
玉子は雨もりの弁当を鼻息荒く、開ける。
そこには、
カニクリームコロッケ、スパサラダ、甘い玉子焼き、ピラフが詰まってた。
「うっへーーーっ。これ、手作りかー?
雨もりよー?」
「はっはい。お母さんの手作りでする。」
「すげえなぁ、カニコロなんざ、冷えてもとろりしてるし、カニの身が入ってやがるぅ、
ちっくしょう。」
「おったまげーのお弁当も不思議でする!」
「んだろ?チンチン残りもの弁当だぞ。
普通じゃ食えねえ代物さ。」
二人はトイレでデカい声で話しながらお弁当を食べていた。
それを三番目のトイレの個室から
聞き耳を立てているヘムがいたのにも
全く気がつかず。
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