第10話 パチンコって武器なの?

翌朝、玉子はムスメの弁当に文句も言わずに

「いつもすまないねぇ。ありがとよぅ。」

なんて言うから。


「ええっ、台風来て、頭がおかしくなった?」


「玉ちゃんはずっとおかしいでしょ。

ママ。」


「悪霊退散ーー!悪霊退散ーー!」

ムスメは塩を持って玉子にぶっつける。


「んぺぺぺ。何をしやがんだ!

あたいは茹で玉子じゃねぇーー。」

玉子は走って家を出る。


さて、学校の校門の前に天野しずくは

立っていた。

玉子を待っていたのだ。


「あぁぁぁあー、おったまげーー!」


「うん?誰だい?雨もりのヤツか。

ちーす!雨もり、弁当持ってきたか?」


「はっははーい。」


「んじゃよ、お昼に一緒に食べっか?

便所メシーーーっと。」


「はっははい。よろしくお願いしまする。」


玉子は気分良く、教室に入った。

自分の席に着いて、早く昼休みになんないかと

ワクワクしていた。


「おはようございます。みなさん。

あら?庭野さぁーん。今日はいらしたのね?

具合はどうですか?」

木村先生が入って来た。

(てめぇ、あたいに負けて休んだだろが?

あーーん?くくくく。負け犬めー。)


玉子はお弁当の事で妄想していて、さっぱり気がつかない。


(あれ?玉子、てめえ、何を考えてやがんだ?

不敵な笑い??

とんでもねぇ、仕返ししやがるんじゃねぇか?

しーっ、さぶいぼが出やがる。)


「きりーつ、礼。

おはようございます。」

学級委員の声で朝の挨拶。

玉子は妄想しながら右に習う。


(どーした?お玉?てめぇがおはようございますだってぇーー。

企んでやがる、絶対にそうだ!

ちっくしょう、あたいが組を仕切るんだ。

好きにはさせないよ。)


「はい。みなさん、今日も楽しく過ごしましょうね。先生からの連絡はありませんよ。

皆さんからは何かありますか?」


「はい!

あのう、あのう、、。」


「どうしましたか?いいのよ。

何でも話してね。」


「あの、庭野さんが来ると、あの、、。

とんでもない事ばかりなので、、。

心配なんです。」

みんながうんうんとうなづいてる。


「まあ!そうですね。

でも大丈夫よ。先生は実は庭野さんと

古い知り合いですのよ。

だからね、庭野さんもおかしな事は

されないと思いますわ。

ね?にーわーのーさーん?」

(てめぇ、あたいに恥かかせてみろや。

そのスカート切り裂いてパンツー丸見えに

してやるからな。)


(弁当の甘いふわふわの玉子焼き入ってるかなぁ。ピンク色の弁当〜〜。)

玉子は頭がほわほわ〜ん。


(くそ、あの野郎、ガン無視じゃねえか。

こりぁ、一悶着ありそうだな。

こりぁ、教室を双眼鏡で見張らなきゃなんねぇな。)


「みなさん、庭野さんともできるだけ、

少しでも、いやでしょう、無理でしょうけど

仲良くしてあげてね。

では、朝礼は終わります。」

ヘムは教室を出ると、双眼鏡とパチンコを持って教室のむかいの屋上から見張った。

ヘムはパチンコも上手かった。

「こんくらいの距離なんざ、あたいにしたら

大したことないさね。

何かあれば、ここからお玉の頭にこの玉を

ぶち込んでやらぁ。

お玉、覚悟しろやー!」


ヘムはゴルゴ13のように、睨みをきかせていた。




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