第3話 ヒーロー対決

玉子はザルをざるんと落とした。


「はい、みなさぁーん。席にもどりましょうね。びっくりしちゃったわね。

みなさんは知らないでしょうね。

庭野さんが踊っていたのは、安来節と言う

民謡とどじょうを取る姿を面白く表現した物なんですよ。

認知症じゃあーーあ、無いんですよ。」

知らない年配の女性の声に生徒は我に返った。

ゾロゾロと自分の席に座る。


「玉子さんも席に戻りなさい。

皆さんにお話があります。若月先生は体調が悪く

しばらくはお休みとなりました。

そこで新しい担任の先生に来て頂くことになりました。

木村公子先生です。」


生徒達は近くの席同士でヒソヒソ話をしている。

「ずいぶんとおばさんの先生よね?」

「うん、そだね。でもさ、話し方とかさ少し太ってて子豚みたいで可愛いーー。」

「そうよね、若月先生ってキャーキャー言うだけで自分だけ逃げちゃうし。」



玉子は仮装のまま、茫然と木村公子に釘付けになっていた。

(きむら?きむらじゃない、、。

きみこ??漢字は?)


「私の名前は木村公子です。」

木村先生は黒板に自分の名前を書いた。

ものすごーく、おおきーく。


(、、、。ヘム、、。)

玉子はマヌケな装いだが、眼光だけは

ミラーマンの光線発射の勢いがあった。


木村先生も感じ取った。


(気がつきゃあがったか?お玉??

てめえ、半世紀ぶりじゃねぇか。

ふふふ、ミラーマンかい?そんならこっちは

ファイヤーマンといこうじゃないか!)


「ねぇ、なんだか暑くない?

急に汗が出で来ちゃった。」

「うん、バチバチって音しない?

気のせい?」


ガリ勉校長は変な物が見えてしまう何の役にも立たない悪魔の実を幼い頃に食べてしまった。

(おい、おい、それってワ○ン◯ースの

パックンチョではないのか?)


「こっこれは、すっごい、、。

ミラーマンとファイヤーマンの光線攻撃だ。

互角だ!今のところ互角だぁーー‼️」

ガリ勉校長は童心に戻り、興奮してしまった。


「あれ?校長先生、変よ。

独り言いいながら、ジタバタしてるわよ。」

「やだ、やだー。

またよ、絶対に何か悪い事が起きるのよ。

何回目?」


ヘムとお玉の光線攻撃は佳境に入った。

突然、バッチーン‼️と雷鳴が轟き、火花が

散った。


「きゃーーぁーー!雷が落ちたーぁーー!」

「燃えてるーー!火事よーー!」


生徒は一斉に教室から逃げ出した。



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