絶対ダメだ

 家に帰ってきた。


「ここ〜?」

「あぁ、ここだな」


 家のに入ろうとしたところで、ラミカがそう聞いてきた。

 そうか。リアが知ってるのは当たり前として、ラミカは知らないもんな。

 そう思った俺は、ラミカの質問に答えるようにして、頷きながらそう言った。


「なんか〜、私の知らない間に〜、随分大っきい家を貰ってるね〜?」

「……まぁ、色々あったんだよ」

 

 すると、ラミカはそんなことを言ってきたから、俺はそう言って、家の中に入った。ずっと家の前にいる訳にもいかないしな。


 ……うん。まぁ、数日前とそんなに変わりは無いな。

 埃とかも見えないし、もしかして公爵が人でも送って掃除させておいてくれたのか? ……全然有り得るな。

 帰るつもりは無かったとはいえ、実際帰ってきてしまってるんだし、正直に言うとありがたいな。まぁ、たかが数日だし、全然公爵は何もしてない可能性はあるけどさ。


「そうなんだ〜、それで〜、こいつは、いつ帰るの〜?」


 俺がそんなことを考えていると、ラミカがリアの方を見ながら、そう言ってきた。

 ……ラミカにリアと一緒に住んでるって言ってなかったっけ? ……まぁ、一緒に住んでると言うより、俺が一方的に監視されてるだけなんだけどさ。……酒を飲ませたら襲われるけど。


「それは、こっちのセリフ。あなたこそ、いつ帰るの?」


 そんなことを考えながら、俺がラミカにその事を伝えようとしたところで、今度はリアからラミカを煽るような言葉が聞こえてきた。


「は〜? 私が帰る訳ないでしょ〜?」


 すると、ラミカは笑顔でそう返していた。

 ……まぁ、ラミカが帰るんだとしたら、裏組織しかないし、そりゃもう帰る訳にはいかないだろうな。

 

「……だったら、私だって帰るわけない。……帰りたくもないし」

「は〜? 冗談でしょ〜? ……ねぇ〜、まさかとは思うけど〜、こいつも、一緒に住むの〜?」


 リアとはもう前から一緒に住んでたし、むしろラミカが割り込んできた側なんだけど、俺はそんな余計なことは言わずに、一言だけ言って頷いた。


「まぁ、そうなるな」

「え〜」

「……今日、お酒、飲んでいい?」


 すると、納得してそうなラミカの影でリアがボソッとそんなことを聞いてきた。


「絶対ダメだ」


 俺はもう反射的にそう言っていた。

 逆になんでいいと思ったんだよ。ダメに決まってるだろ。マジで。


「何で? お酒が入ってると、恥ずかしくないから、見せつけよ?」

 

 ……リアは一体何を見せつける気なんだよ。……いや、分かるけどな? 分かるけど、ラミカ相手にそんな怖いこと、できるはずないだろ。……いや、別にラミカ相手じゃなくても俺が襲われるところなんて見られたくないし、リアに酒は飲ませないけど。

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