そういう理由なんだろうなぁ

 無事……無事? まぁ、とにかく、無事に昼飯を食べ終わることが出来た。

 ただ昼飯を食ってただけなのに、こんなに緊張するってマジでなんなんだよ、とは思うけど、 この二人……特にラミカが居るんだし、仕方ない、よな。


「まぁ、美味かったな」


 そんなことを内心思いながらも、俺は二人に食べ終わったことを知らせるためにそう言った。視界の中に入ってるだろうし、分かってるだろうけど、一応な。

 この世界には食べる前に「いただきます」とか食べ終わった後に「ごちそうさま」なんて言う習慣は無いし、こういう感じのことを言った方がわかりやすいんだよ。……って感じのことを昔ラミカに聞いた。……うん。嘘かもしれないな。その一言を付け加えるだけで一気に胡散臭さが増してきたもん。


「ん〜、私もまぁまぁだったかな〜」


 そう思っていると、その胡散臭さを増した張本人のラミカも食べ終わったみたいで、そう言ってきた。

 ……ラミカは不味かったら全部食ったりなんかしないし、少なくとも不味くはなかったんだろうな。


「そりゃよかったな」


 それを察した俺は、一言そう言った。

 

「……私は、美味しかった」


 すると、リアも食べ終わったみたいでそう言ってきた。

 俺はそんなリアの言葉に一言返しながら、馬車の方に視線を向けた。

 すると、御者の人がまだ馬に草? みたいな馬の餌を食べさせながら頭を撫でていた。

 ……これは、どっちなんだ? まだこの休憩時間は終わらないのか、もう終わるのか。

 あの草全部食べさせる訳じゃないだろうし、普通に分かんねぇ。


「なぁ、リア」

「……何?」

「いつ出発するかとか分かるか?」


 どれだけ考えても答えが出なかったから、俺はリアにそう聞いた。

 ラミカは絶対知らないだろうしな。


「知らない。……聞きに行く?」

「……リアが聞いてきてくれないか?」


 すると、リアも知らなかったのかそう聞いてきたけど、俺は行きたくなかったから、質問に質問で返すようで悪いけど、俺はリアにそう聞いた。

 

「…………無理」


 リアのことだから、普通に聞いてきてくれると思ってたんだけど、リアは一瞬ラミカの方に視線を向けたかと思うと、そう言ってきた。

 えーと、もしかしてだけど、ラミカと俺を二人きりにしたくないから、とかいう理由だったりするか? ……無理やり体を重ねられた日から、リアは俺に純粋な好意では無いだろうけど、好意を抱いてきてるし、そういう理由なんだろうなぁ。

 ……じゃあ、ラミカに聞いてきてもらうか? ……そっちの方が無いな。

 はぁ。大人しく休憩時間が終わったのを伝えに来てくれるのを待つか。

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