護衛として頑張ることなんて無いけど
……それで、昼飯を渡してくれたフィオラがなかなか戻っていってくれないんだけど、どういうことだ? わざわざラミカの昼飯まで持ってきてくれたのには普通に感謝してるけど、嘘を見破るとかいうめんどくさい目……どころか、洗脳の魔眼なんていうもっとめんどくさい目を持ってることぎ判明したんだし、あんまり一緒には居たくないんだけど。
いや、フィオラには少し悪いと思うけど、やっぱりバレたら終わりな秘密を抱えてる身としては一緒には居たくないだろ。
「わたくしもご一緒に食べてもよろしいでしょうか」
そう思っていると、フィオラが俺とラミカに向かってそう言ってきた。
……断れないかな。最初あの街にフィオラの護衛として行った時みたいに、なんか護衛の仕事があるからみたいな理由で断れないかな。……んー、あの時、どうやって断ったんだっけ。……護衛に集中したいから、だったか? ……正直あんまり覚えてないけど、そんな感じだった気がするわ。
「行く時も言った通り、あれだ。護衛の仕事に集中したいから、一人……いや、ラミカと食うよ」
リアが居るんだし、俺が護衛として頑張ることなんてないことは分かってるけど、俺はそう言った。
一人で食おうとしてたのにラミカと食うことにしたのは、単純にラミカを一人にしてリアに喧嘩を売りに行ってたら怖いからだ。行きそうだろ。ラミカだし。
「……そう、ですか。……ヘレナ様とアリーシャ様にも伝えておきますね」
フィオラは悲しそうに、そう返してきた。
いや、待って? ヘレナとアリーシャもこっちで食うつもりだったのか? ……もしそうなんだとしたら、断って良かった。
しばらくは逃げられなそうだし、時間の問題ではあるんだけど、まだアリーシャ……それとヘレナもだな。その二人のラミカとの相性が分からないしな。
ヘレナとは一度会ってるけど、正直よく分からんし、怖い。……もしラミカがキレたりなんかしたら、いつ俺に火の粉が向くかわかったもんじゃないしな。
そう思っていると、フィオラは馬車の方に戻って行った。
「……私は、一緒に食べていい?」
すると、フィオラが馬車の方に戻って行くのと入れ替わるようにして、リアがそう言って話しかけてきた。
え……いや、リアはあの三人と食べたらいいんじゃないかなぁ? ……ラミカが居なかったら、別に一緒に食べるくらい全然いいんだけど、今はリアと特別相性が悪いラミカが隣に居るんだよ。……言うまでもなく、嫌だろ。
「まぁ、好きにしたらいいんじゃないか」
そう思いつつも、リアと一緒に食べない、いい言い訳を思いつかなかった俺はそう言った。そう言ってしまった。
「え〜、同情でそんなこと言わなくてもいいんだよ〜? はっきり断ったほうがいいよ〜」
すると、横からラミカがそう言ってきた。
……だから、なんでリア相手だとそんな感じなんだよ。
リアとフィオラ達、なんの違いがあるって言うんだよ。……もちろん強さ以外で。
「……同情なんかじゃない」
怒ったようにリアがそう言う。
……やっぱりさっき一人で食べるって言った方が良かったな。……マジで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます