イチャイチャなんてしねぇよ

「何が望みだよ」


 俺に出来ることかつ、簡単なことにしてくれ。

 そう思いながら、ラミカに向かって俺はそう言った。


「ん〜、私の言うことを一つ何でも聞いてくれるって言うなら、私が聖女を襲撃するやつを殺してあげるよ〜」


 すると、ラミカは笑顔のまま、そう言ってきた。


「……いつも聞いてるだろ」


 組織にいた時とか、特に色々と付き合ってやってた記憶があるぞ。

 だって、単純に先輩だし、強さ的にも逆らえなかったしな。

 ……後は今みたいな感じで何か俺のおねがいを聞いてもらった時とか、助けてもらった時とか。


「本当に嫌なことなら、断ってたじゃん〜」


 ……それはそうではあるが、助けてもらった時とかはなるべく断らないようにしてたんだぞ? ……だから、今もなるべく断らないように思ってたんだけど、俺に嫌なことをさせようとしてきてるのかよ。


「ねぇ〜、どうするの〜?」


 そう思っていると、ラミカはそう言って俺を急かしてきた。


「……分かった。聞くから、頼む」

「ん〜。任せて〜」


 ラミカに急かされた俺は、まんまとラミカにそう願った。

 すると、いつも通りの笑顔のまま、軽い感じでそう言って了承してくれた。

 

「じゃあ、直ぐに終わらせてくるからね〜。……あいつとイチャイチャなんてしてたら、普通に殺すから〜」


 そして、そんな物騒な言葉を残しながら、ラミカは俺の目の前から姿を消した。……俺の状況を察してかは知らないが、俺を襲ってきた奴を持っていきながら。

 ……イチャイチャなんてしねぇよ。……酒さえ飲ませなければな。……いや、酒を飲ませたら、イチャイチャとかいうレベルじゃないか。

 まぁ、とにかく、イチャイチャはしねぇよ。

 

 そう思いながらも、逃げたい気持ちを抑えつつ、俺は仕方なく、リアが待っているであろう場所に戻ってきた。

 

「…………さっきの人は?」


 すると、戻ってくるなり、ちょっと不満そうにリアがそう聞いてきた。


「……ラミカはちょっとした用事でな。すぐ戻ってくるはずだ」

「……そう」


 俺はそれに気が付かない振りをして、そう言った。

 すると、リアは頷いて、俺にくっついてきた。


「一緒に戻ろ?」


 そして、そう言ってきた。

 ……これは、別にイチャイチャしてることにはならないよな? 

 後でラミカに怒られるのも嫌だし、そう考えながらも、リアを振りほどくのもそれはそれで怖いから、そのままリアと一緒に俺はフィオラがいる街に戻された。


 はぁ。やっぱり、あの時の俺の嫌な予感は当たってたんだな。……もっと早く気がついてたら……いや、嫌な予感を覚えたのは街についてほぼ直ぐだったし、あれが最速か。……フィオラを襲ったやつを街に連れていかなきゃだったしな。


「……今更なんだけど、これ、街のどこに向かってるんだ?」

「……フィオラが居るとこ」


 やっぱりか。……嫌だな。……だって、絶対聞かれるじゃん。……フィオラに何も言わずに逃げた理由。

 ……いや、案外聞かれなかったりするか? ……分からんな。

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