もしもし、地球さん

@koketsutarou2

もしもし、地球さん

あるところに小さい子がおりました。




ある時小さい子は、ふと疑問に思いました。




地球さんは元気なのかな、と。








そこで小さい子は「もしもし、地球さん」と呼びかけてみました。








すると「なんだい? どうしたんだい? 小さい子よ」




地球さんが返事をしました。








そこで小さい子は「人間はみんな、土を掘ってそこにコンクリートをたくさん敷き詰めてしまったよ。地球さんはどう思っているの?」と聞いてみました。








「なんだいそんなことかい。そうだね。確かに少しお肌がくすぐったいけれど、その代わりに人間たちみんなが便利な暮らしが出来るだろ? 私はそれが嬉しいんだ。だから心配しなくて良いんだよ」




地球さんは優しく言いました。








「そうなんだね。地球さんいつもありがとう!」




小さい子は元気に言いました。








「どういたしまして。またいつでも呼んでね」地球さんはそう言うと、笑顔で去っていきました。












またある時、小さい子はふと疑問に思いました。








「もしもし、地球さん」




小さい子は、この間のようにまた地球さんを呼んでみました。








「今日はどうしたんだい、小さい子よ」




地球さんは返事をしました。








「人間はみんな、森や林をたくさん切り崩してしまったよ。地球さんは平気なの?」と聞いてみました。








「なんだいそんなことかい。そうだね。確かにちょっぴり身体が寒いけれど。その代わりに、人間たちみんながお家を建てたり、火を起こして暖を取ったりして暖まれるだろう? 私はそれが嬉しいんだ。だから今日も、暖かくしてゆっくりお休みしてね」




地球さんは優しく囁きました。








「うん。地球さんいつもありがとう!」




小さい子はそう言うと、うとうとと眠りました。








「お休み、小さい子よ」




地球さんはそっと去っていきました。












またある時、小さい子はふと疑問に思いました。








「もしもし、地球さん」




小さい子は、いつものようにまた地球さんを呼んでみました。








「どうしたのかな? 小さい子よ」




地球さんは返事をしました。








「人間はみんな、車をたくさん走らせて煙を出しているよ。地球さんは大丈夫なの?」と聞いてみました。








「なんだいそんなことかい。そうだね。確かにちょっとお鼻がむずむずするけれど、その代わりに、人間たちみんなが車に乗ってとっても楽ちんだろう? 私はそれが嬉しいんだ。だから今日も、どこかへお出掛けにでもいっておいでよ」








「そうだね。地球さんいつもありがとう!」




小さい子はそう言うと、旅行に行きました。








「ふふふ。楽しんでおいで、小さい子よ」




地球さんはバイバイと手を振りました。












ある時、地球さんはふと疑問に思いました。




最近小さい子からの呼びかけがないな、と。








どうしたのかな?




地球さんは、小さい子のお家に行ってみることにしました。








小さい子のお家に着いた地球さんは、窓から中の様子を見てました。








あっ! いた!




中に小さい子がいました。




けれど、なんだかいつもと様子が違うようでした。








「ねえねえ、小さい子よ」地球さんは、小さい子に呼びかけてみました。








あれあれあれ?




小さい子は、地球さんに気付いていないみたいです。




どうやら小さい子は、四角く光っている小さいもの




に、夢中になっているようでした。








地球さんは、ガックリと凹んでしまいました。




もう小さい子とは、このままずっとお話しが出来ないのかな?




地球さんはそう思うと悲しくなりました。




はあー、とため息をついた時、「もしもし、地球さん」と呼ぶ声が、どこからか聞こえてきました。








あ!




どうやら別な小さい子からの声のようです。




地球さんは、その声のもとに一目散に向かっていきました。








ふふふ、今度はどんなことを聞かれるのかな?








地球さんは、今日も変わらずいつものように、忙しなく回ってくれているのでした。





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