二重人格ごっこ [シュール]

バイト仲間のミキコちゃんとデートすることになった。


今時珍しい正統派アイドルのような女の子だ。

奇跡としか言えない。


待ち合わせ場所に現れたミキコちゃんの姿を見て俺は少し驚いた。

普段着は随分とパンクな感じだったのだ。


戸惑う俺をよそに、ミキコちゃんは何食わぬ顔でタバコに火をつけ煙を吐いた。


「なんか、今日は雰囲気が違うんだね」


恐る恐る俺が言うと、ミキコちゃんはあははと笑った。

驚く俺に彼女は言った。


「これが本当のあたし。嫌なら帰ってもいいんだよ」


かなり幻滅はしたが俺は帰らなかった。

パンクな彼女とのデートはそれなりに楽しかった。


帰り際に彼女は言った。


「私、本当はミチコ。ミキコの双子の妹。今日は楽しかったよ」


そうして彼女は帰って行った。


翌日ミキコちゃんとシフトが一緒だった。

彼女を目の前にして、昨日のはやはりミキコちゃんだったのではと思えてきた。


あれは君だったの?と聞くと、ミキコちゃんはうふふと笑って何も教えてくれなかった。

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