告白雨雲 [詩]

柔らかなそれは豊富な水を含んだ大気の流れだった。


人々はそれを「雨雲」と呼んだけれど、それ自身は自らをただ「わたし」と呼んでいた。


「わたし」は季節の変わり目にやってきた。


春の終わりを告げる涙を流し、秋の始まりには濁流となって山々を駆け巡った。


だけれども、「わたし」は本当はそんなことはしたくないのであった。


「わたし」も皆のように小鳥たちと戯れたり、ささやかな日の光に舞ったりしたいのであった。


「わたし」は雨雲だった。雨雲は木漏れ日にはなれないし、窓辺にそっと差し込む月光にはなれないのであった。


「わたし」は雨雲だった。それは紛うことなき事実だった。


雨雲は花を散らす雨を降らせ、全てを押し流す洪水を生んだ。


雨雲は孤独だった。


孤独であったが知っていた。「わたし」が田畑を潤し、この広大な森林をも養っているのだと。

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