第19話 にゃー

☆有山智サイド☆


佳奈が病気になっているらしい。

それも彼氏からの暴力で、だ。

俺は眉を顰めるしかない。


ただ.....その事が最悪だな、と思いながら。

俺は佳奈をチラ見していたのだが。

佳奈は泣いていた。


「この7年間でそんな事になっていたとはな」


そんな事を思いながら俺はトイレに行ってから帰って来る。

すると王山がまたやって来る。

今度は何だ、と思いながら王山を見ると。

王山は、佳奈を誘って良いかな、と言ってきた。

俺は目を丸くする。


「何で俺にそんな許可を?」

「.....君が一番近しい人だと思ったからだ。.....俺達も考えを持って君に接触したいって思っている。だから君に許可を貰いたい。勿論、佳奈にも許可をとった」

「俺じゃない。.....佳菜子に許可を貰ってくれ。俺は別に保護者じゃない」

「佳菜子さんに?」

「そうだ」

「.....そうかもな」


そして王山は、うん。そうするよ、と言いながら仲間を引き連れて教室を出て行く。

俺はその姿を見ながら佳奈を見る。

佳奈も笑みを浮かべていた。

正直、佳奈のこの顔が見れただけでも良かったと思う。

思いながら俺は佳奈を見る。


「佳奈。大丈夫か」

「.....うん。大丈夫。.....持病は今日は大丈夫だから」

「そうか。なら良いが。無理があれば言えよ。俺は飛んで行く」

「.....数年前の不安はもう無いよ。君も居る。みんなも居るから」

「ああ」


それから佳奈は、じゃあ行ってくる、と俺に笑顔を向けてくる。

俺はその顔に、ああ、と返事をしながら頷く。

そして佳奈は駆け出して行く。

その姿を見ながら俺は、ふむ、と思いながら窓から外を見る。

そうして目を閉じて開けてからそのまま歩き出してから廊下を歩くと。


「智」

「.....あ。佳菜子。王山がそっち行かなかったか」

「そうだね。来たけど」

「.....どうだったか」

「特に何も。だけど彼も変わったね」

「そうか。.....そう思えるだけでも良かったよ」


もしかして智は何か知っているの?、と聞いてくる佳菜子。

俺は首を振りながら苦笑をする。

特に何もないよ、と言いながら、であるが。

佳菜子は、?、を浮かべる。


「.....俺としては佳奈が幸せなだけ良かったって思うだけだ」

「幸せなのかな」

「今は特に問題ないんじゃないか?.....今は、だけど」

「まあ智が言うなら.....そうかも」


そう言いながら佳菜子は俺に向いてくる。

俺はその顔を見ながら柔和になった。

だけど見守っていくのも大切だと思うから。

だから一応力説はしたけどな、とも話す。


「佳奈を心配してくれてありがとう」

「俺にはこれしかできないしな」

「そんな事は無いけど.....でもありがとう。そう言っておくね」

「.....」


ところで佳菜子。

何か用事だったか?、と聞いてみると。

佳菜子はボッと赤面した。

そして目の前を見ると.....そこに喜美さんが居る。

W的な口をして、だ。

ん?


「ね、ねえ。今週の休みは暇?」

「ああ。暇だが。どうした?」

「デートに付き合って」

「.....今何つった?デート.....!!!!?」

「そう。水族館デート」

「水族館デート!!!!?」


俺は愕然としながら佳菜子を見る。

佳菜子は俺の前にチケットを取り出す。

それは水族館のイルカショーのチケットだった。

ま、ちょ!?デート!?

俺は硬直しながら慌てる。


「デートっていきなりだな!?服装とかどうしたら良いんだ!?」

「そんなの気にしない。私は智が.....一緒なら」

「そういう訳にもいかない。ちゃんとしないと」

「私も気にしないといけなくなるから。あまり気にしなくて良いって」


俯いてモジモジする佳菜子。

俺はその顔を見ながら赤面しつつ考える。

そして、なるほど、と思う。

喜美さんが嵌めたな。


「喜美さんが嵌めたって事だな?」

「ま、まあそうだけど」

「.....やってくれるねぇ」

「喜美は私の事をしっかりやってくれるから」

「.....やれやれ。お金を払ったんなら行かないとな」

「そうだね。しっかり行かないと.....いけない」


佳菜子は赤面しながら後ろに後退して行く。

何だコイツ、と思っていると。

ぽかっと喜美さんを叩いた。

それから、恥ずかしいったらありゃしないんだけど!、とか会話が聞こえる。

俺はその事か、と思いながら苦笑いを浮かべる。


「智くんや」

「.....喜美さん?」

「是非とも姫を頼みますよ。.....姫は貴方が好きなんですから。白馬の王子様としてね」

「いや。俺は.....白馬の王子って程でも」

「またまた謙遜な。私にしてみたら貴方は白馬の王子様だにゃー」

「.....ありがとうございます」


もう!喜美!さっさと帰って!、と慌てる佳菜子。

喜美さんは、嫌だにゃー、と否定しながら手を丸めて猫真似をする。

佳菜子は、もう!、と赤面しながら喜美さんの背中を押していた。


それから俺に向いてくる。

そういう事だから!じゃ!、と去って行った。

慌ただしい事だな。


「.....だけど水族館か。.....久々だな」


後に残された俺はそんな事を呟きながら窓からまた外を見る。

それから歩いて帰宅する。

そして帰り着く。

制服を脱ぎながら上がった。

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姉妹に俺が弄られまくっていた中で俺は転校しました。そして戻って来たら姉妹が甘々になっている訳ですが何故に アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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