第17話 佳奈の病状

王山とかいう人間。

訳が分からない野郎だ。

思いながら俺はサボって空を見上げていたのだがチームに組まれてしまった。


そして俺はヘロヘロになりながら動き。

そのまま俺は教室に戻って来る。

たまらんわやっぱ。


「お疲れ。さーくん」

「.....お疲れ様。お前は苦じゃないのか?」

「苦じゃないよ?普段から動いているし」

「.....凄いなギャルってのは」

「ギャルは活発だからね。最近の」


胸を張る佳奈。

俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべつつ更衣室に向かう。

すると佳奈が、ねえ、と言ってきた。

俺は、?、を浮かべて佳奈を見る。

佳奈は、有難うね、と言ってきながら俺に笑みを浮かべる。

有難う?


「.....俺なにかお前にしたっけ」

「そうじゃないよ。いつも助けてくれるから。.....その分のお礼かな」

「いやいや。助けたとは言わないだろ。お前も変わらずだな」

「助けてくれているよ?.....君は身体面も精神面も」


俺は首を傾げながら佳奈を見る。

そして佳奈は、じゃあね、と更衣室に行った。

俺はそれを見送ってから首を傾げながらそのまま更衣室に向かう。

それから溜息を吐いた。



「あの」

「.....?」


教室に着替えて戻って来ると。

いきなり絢音?とか茜?に声を掛けられた。

ギャル達だ。

周りを見渡しながら佳奈が居ない事を確認してから俺を見てくる。


「佳奈の.....彼氏なの?君は」

「え?.....い、いや。そんなのじゃない.....ですけど」

「じゃあ佳奈は何で君に構っているの?」

「.....」


これは困ったな。

思いながら周りを見渡す。

そこでは周りが俺に注目していた。

そりゃそうだろうな。

リア充の上の上の上の人が下層の俺に声を掛けているのだから。


「.....俺はそんな関係じゃないっす」

「そうなの?.....じゃあ1つお願い」

「.....?」

「佳奈には近付かないで。.....君は.....何だか嫌だ」

「.....それは断る。.....何の権利を持ってしてだ」


俺は絢音と茜を見る。

佳奈に近付くな?

それはこっちのセリフだぞ。

お前らの事を信頼出来ないのだから。


「.....私達だって佳奈が心配なんだから。私達の輪を壊さないで」

「.....またそれか。.....何が輪だよ。お前らが.....」


そこまで言うと、はいはい。そこまで、と声がした。

それからそこに王山が立っている。

そしてニコニコして来る王山。

俺は、何でしょう、と聞いてみると。


「絢音。茜。.....彼は信頼出来ると思う。彼と話していて何だか色々と感じたしね」

「.....でも王山くん.....」

「彼は他の人間とは違うよ。.....恐らくね。.....彼は.....あの人とは違う」

「あの人って何ですか?」

「ああ。佳奈の元カレさ」


俺は衝撃を受ける。

それから王山に詰め寄る。

それはどういう事だ、という感じで。

すると王山は、その彼の事もあって俺達はこうして佳奈を守っているんだ。過敏にね、と苦笑いを浮かべる。

どういう.....?


「その元カレは.....佳奈に暴力を振るっていたから。佳奈は.....無理にお見合いをしたらしくそれから付き合った彼にね」

「.....それでアイツはあまり俺に.....」

「だけど君はあくまで違うんだろ?」

「.....違う。俺はそんなクズにはならない」


どこのクズだよそれ。

思いながら俺はイラッとする。

だけどコイツらはそれを知って守ろうとしているんだな。

佳奈を、だ。

何だか申し訳ない感じがした。


「さーくん.....」

「.....佳奈.....」

「聞いちゃったんだね」

「.....そうだな。.....お前彼氏が居たんだな」

「うん。でももう別れたけどね。.....あり得ない事ばかりしてきたから」

「.....例えば病んでしまって薬とか飲んでいるのか?」


それは.....、と言いながら少しだけ控えめになったが。

俺を真剣な眼差しで見てくる。

この何年間で結構薬を飲んだよ。.....病んでいると思う、と答えた。

その言葉に何だか背中がヒートアップする感じがする。

歯を食いしばった。


「家の事だけ.....でコイツらに守られていた訳じゃなかったんだな」

「そうだ.....ね。うん。ゴメンね。貴方の前では話すべきじゃないって思っていたから」

「.....」

「悲しいかな。.....私も恐怖で躁鬱病になったから」

「.....」


王山を見る。

茜?と絢音?も見る。

他のリア充も見る。


そんな事があったなんて思わなかった。

教室中が守ろうとしていたんだな。

佳奈を。


「.....話してくれて有難うな。佳奈」

「貴方もうつ病になっていたから。.....だから言うべきじゃないって思ったから」

「.....成程な」

「.....でもこんなきっかけで話せるなんて。.....有難う。王山くん」

「話して良かったのか分からなかったけどね」


王山も茜?も絢音?も悪い奴じゃないのかもな。

もしかして、だが。

思いながら俺は溜息を吐きながらそのまま周りを見渡しながら。

ふむ、と考え込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る