第17話 佳奈の病状
王山とかいう人間。
訳が分からない野郎だ。
思いながら俺はサボって空を見上げていたのだがチームに組まれてしまった。
そして俺はヘロヘロになりながら動き。
そのまま俺は教室に戻って来る。
たまらんわやっぱ。
「お疲れ。さーくん」
「.....お疲れ様。お前は苦じゃないのか?」
「苦じゃないよ?普段から動いているし」
「.....凄いなギャルってのは」
「ギャルは活発だからね。最近の」
胸を張る佳奈。
俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべつつ更衣室に向かう。
すると佳奈が、ねえ、と言ってきた。
俺は、?、を浮かべて佳奈を見る。
佳奈は、有難うね、と言ってきながら俺に笑みを浮かべる。
有難う?
「.....俺なにかお前にしたっけ」
「そうじゃないよ。いつも助けてくれるから。.....その分のお礼かな」
「いやいや。助けたとは言わないだろ。お前も変わらずだな」
「助けてくれているよ?.....君は身体面も精神面も」
俺は首を傾げながら佳奈を見る。
そして佳奈は、じゃあね、と更衣室に行った。
俺はそれを見送ってから首を傾げながらそのまま更衣室に向かう。
それから溜息を吐いた。
☆
「あの」
「.....?」
教室に着替えて戻って来ると。
いきなり絢音?とか茜?に声を掛けられた。
ギャル達だ。
周りを見渡しながら佳奈が居ない事を確認してから俺を見てくる。
「佳奈の.....彼氏なの?君は」
「え?.....い、いや。そんなのじゃない.....ですけど」
「じゃあ佳奈は何で君に構っているの?」
「.....」
これは困ったな。
思いながら周りを見渡す。
そこでは周りが俺に注目していた。
そりゃそうだろうな。
リア充の上の上の上の人が下層の俺に声を掛けているのだから。
「.....俺はそんな関係じゃないっす」
「そうなの?.....じゃあ1つお願い」
「.....?」
「佳奈には近付かないで。.....君は.....何だか嫌だ」
「.....それは断る。.....何の権利を持ってしてだ」
俺は絢音と茜を見る。
佳奈に近付くな?
それはこっちのセリフだぞ。
お前らの事を信頼出来ないのだから。
「.....私達だって佳奈が心配なんだから。私達の輪を壊さないで」
「.....またそれか。.....何が輪だよ。お前らが.....」
そこまで言うと、はいはい。そこまで、と声がした。
それからそこに王山が立っている。
そしてニコニコして来る王山。
俺は、何でしょう、と聞いてみると。
「絢音。茜。.....彼は信頼出来ると思う。彼と話していて何だか色々と感じたしね」
「.....でも王山くん.....」
「彼は他の人間とは違うよ。.....恐らくね。.....彼は.....あの人とは違う」
「あの人って何ですか?」
「ああ。佳奈の元カレさ」
俺は衝撃を受ける。
それから王山に詰め寄る。
それはどういう事だ、という感じで。
すると王山は、その彼の事もあって俺達はこうして佳奈を守っているんだ。過敏にね、と苦笑いを浮かべる。
どういう.....?
「その元カレは.....佳奈に暴力を振るっていたから。佳奈は.....無理にお見合いをしたらしくそれから付き合った彼にね」
「.....それでアイツはあまり俺に.....」
「だけど君はあくまで違うんだろ?」
「.....違う。俺はそんなクズにはならない」
どこのクズだよそれ。
思いながら俺はイラッとする。
だけどコイツらはそれを知って守ろうとしているんだな。
佳奈を、だ。
何だか申し訳ない感じがした。
「さーくん.....」
「.....佳奈.....」
「聞いちゃったんだね」
「.....そうだな。.....お前彼氏が居たんだな」
「うん。でももう別れたけどね。.....あり得ない事ばかりしてきたから」
「.....例えば病んでしまって薬とか飲んでいるのか?」
それは.....、と言いながら少しだけ控えめになったが。
俺を真剣な眼差しで見てくる。
この何年間で結構薬を飲んだよ。.....病んでいると思う、と答えた。
その言葉に何だか背中がヒートアップする感じがする。
歯を食いしばった。
「家の事だけ.....でコイツらに守られていた訳じゃなかったんだな」
「そうだ.....ね。うん。ゴメンね。貴方の前では話すべきじゃないって思っていたから」
「.....」
「悲しいかな。.....私も恐怖で躁鬱病になったから」
「.....」
王山を見る。
茜?と絢音?も見る。
他のリア充も見る。
そんな事があったなんて思わなかった。
教室中が守ろうとしていたんだな。
佳奈を。
「.....話してくれて有難うな。佳奈」
「貴方もうつ病になっていたから。.....だから言うべきじゃないって思ったから」
「.....成程な」
「.....でもこんなきっかけで話せるなんて。.....有難う。王山くん」
「話して良かったのか分からなかったけどね」
王山も茜?も絢音?も悪い奴じゃないのかもな。
もしかして、だが。
思いながら俺は溜息を吐きながらそのまま周りを見渡しながら。
ふむ、と考え込んだ。
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