第15話 水平の天秤

☆上原佳奈サイド☆


「.....」


私は何をしているのだろうか!!!!?

横にさーくんが寝ている。

そして私はその、よ、横で寝てしまい。

しかも.....しかも.....!!!!?


あああああ!!!!!私のあほぅ!!!!!

いくら寝ぼけていたとはいえそんな恥ずかしい真似をよくできたな!

私は顔を覆いながら真っ赤になる。

あり得ないぐらい恥ずかしい。


「.....う.....うん」


そんなさーくんの声がして私はビクッとなる。

それから汗をかきながらさーくんの顔を覗いてみる。

でも可愛いなぁやっぱり。


さーくんはさーくんらしい可愛さがある。

というかよく考えたら呼び名が、さーくん、に戻っている。

良いのかなこれで。

思っているとドアがゆっくり開いた。

それからお姉ちゃんが.....。


「.....何をしているのかな?佳奈は.....」

「.....お、お姉ちゃん。これは訳ありだよ.....」

「ほほーう?話してみなさい。半分だけ聞いてあげる」

「.....」


私は犯罪者が犯罪を暴露する様な感じでお姉ちゃんを見る。

するとさーくんが起き上がった。

それから、うん?お前ら何しているの?、と眠気まなこで聞いてから。

ハッとして真っ赤になるさーくん。

そ、そうだ、的な感じで。


「君達は一緒に寝ていた。これに間違いはないかね?」

「.....あ、はい。間違いないです」

「す、すまん。俺のせいだ.....」

「全く。.....じゃあ次は私と寝てね」

「.....あ、は.....は?」


さーくんは真っ赤になって愕然としながらお姉ちゃんを見る。

私もお姉ちゃんを唖然としながら見る。

それは、と言いながら。

何?私とは寝れないの?智?、と言いながらジト目になるお姉ちゃん。

さーくんは、は、はい、という感じで命令に従っていた。


「んもー.....朝食できたから食べて」

「あ、ありがとうな。佳菜子」

「そうだね.....」

「佳奈。貴方も駄目だよ?簡単に男の子の部屋で寝ちゃったら」

「そ、そうだね.....」


流石に夜中に何が起こっていたかは分からない様だ。

私は真っ赤になりながら俯く。

そして気付かれない様にさーくんの部屋から後にした。

それから私たちは朝食を食べて学校に向かう。



学校に向かうと早速と絢音と茜が接触して来た。

王山くんもそうだが他の人も。

私はその事に控えめになりながら接触する。

別々に登校した私達は。

そのまま机に座るさーくんを見る。


「なんか家に行ったら誰も居なかったからめっちゃ焦ったんだよ?佳奈」

「そうそう。私も行ったんだけど」

「あ、う、うん。ちょっとね。色々あって」


そんな会話をしながら私は汗を拭う。

一緒に暮らしているのが察されては困るので.....そこら辺は内緒だ。

思いながら私は王山くんを見る。

王山くんは私を見ながら苦笑していた。


「.....大丈夫かい?」

「う、うん。この前はゴメンね。王山くん。私は.....ゴメン」

「気にするな。.....何というか俺達も悪かったよ。.....束縛しているとは思わなかったから」

「.....!」

「君にとって彼は大切なんだね」

「.....う、うん!」


満面の笑顔になりながら王山くんに返事をする私。

王山くんは、そうか、と言いながら笑みを浮かべる。

そして話が戻る。

今日の予定って何だっけ?、という感じで。

私は多少なりとでも嬉しかった。

そういう風に見てくれただけでも。


「今日の予定だけどさ。確かアレじゃなかったか?男女混合の体育」

「そうだったな。何だか友人同士でやるってのも良いんじゃね?女子も一緒とかテンション上がるわー。っベーわ」

「.....」


そっか混合体育だった。

思いながら私は期待に胸が膨らむ。

さーくんの体育の姿を観察出来るしね。


あまりこういうの好きじゃないかもだけど。

9月.....は色々予定がある。

体育祭も暑くならない様にこの時期にあるし。

何だか気分も晴れやかだ。

家の事になると.....気分重いけど。


「佳奈?大丈夫?」

「え?.....あ、うん。ちょっとね」

「.....家の事?」

「そうだね。ちょっとそういうの」

「分かるわー。そういうの。私も家の事とかなったらお父さんと衝突するから」


絢音と茜はため息混じりで話す。

するとチャイムが鳴った。

それから私達は解散してからそのまま戻る。

そうしてさーくんの横に座る。

そうしていると.....さーくんが私を見ていた。


「.....家の事。大丈夫か」

「え?あ、う、うん。大丈夫だよ。さーくん」

「.....いや。というか学校では智くんって呼んでくれ。流石にさーくんは愛称になってしまう」

「え?嫌だ。さーくんはさーくんだしね」

「お前という奴は.....」


ニコッとする私。

それからホームルームが始まった。

そして私はホッとしながらホームルームを受ける。


そうしてから1時限目が始まった。

授業は進んでいき。

4時限目の体育になる。



「さーくん。行こう」

「そうだな。体育だしな」

「うん。男女混合だしね」

「.....ああ」


そうしていると王山くんが声をかけてきた。

やあ、と言いながら。

だけどその目標は私じゃない。

さーくんだった。


「君は有山智くんで間違いないね?」

「.....そうですね.....何でしょうか?」

「敬語は止めてくれ。こんなんでも同級生だろ?」

「はあ.....」


敵対する様な感じを見せるさーくん。

私はその様子に、さーくん。あまりカチンコチンにならなくても大丈夫だよ、と言い聞かせる。

だがさーくんは、まあ.....そうだが、と言いながらもかなり警戒していた。

私はその姿を見ながら唇を噛む。


「で?一体何の用事っすかね?こんな底辺中の底辺に」

「.....君に興味があってね。.....声をかけたんだ」

「.....?」


興味?、という感じで警戒を強めるさーくん。

私も流石に、?、を浮かべて王山くんを見てみる。

王山くんは柔和な顔をしたままだった。

嫌味は見られないが.....。

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