第13話 秘めた恋心を解き放つ時

☆上原佳奈サイド☆


大きく宣言したその気持ちは私にとっては等身大に感じられた。

私は思いながらお風呂から上がると。

優しくはにかんでいる.....麦茶を入れている智くんがいた。

私達は顔を見合わせながら、どうしたの?、と聞いてみると。


「風呂から上がったら先ずは麦茶だな。冷たい麦茶は美味いぞ」

「成程」

「智は気がきくね」

「まあ昔からこういう事をするのが得意だからな」

「.....」

「.....」


私達は黙りながら智くんを見る。

智くんは麦茶を渡してきながら柔和になる。

それを受け取ったお姉ちゃんと私。

それから私達は飲み始めた。


「.....美味しいね」

「俺特製です」

「そうなんだ。色々と細かいね」

「.....そうだな」


腰に手を添えたままの智くんを見る。

すると智くんは複雑な顔で、でも良かった。お前らに何もなくて、と切り出す。

私はその言葉に手が止まる。


それから智くんを見る。

智くんは笑みを浮かべながら自らも麦茶を入れていた。

そして飲み始める。

そんな智くんの横顔を見ながら私は少しだけ嬉しく思う。


「.....暫くお世話になるね。智」

「俺は別に構わない。.....寧ろ昔のお泊まり会に戻った様で楽しいしな」

「.....そうだね。智くん」

「.....」

「.....」

「.....」


私達は言葉が続かなくなる。

その中で私は複雑に思いながら智くんを見る。

智くんはリビングの窓から外を見る。

それから、星でも見ないか?、と言い出した。

私達はビックリしながら智くんを見る。


「.....丁度晴れた夜だしな」

「え?.....良いけど.....」

「俺はうつ病になった時によく空の星を見上げていた」

「.....え?.....さ.....智?」


まさかの言葉に青ざめるお姉ちゃん。

私は更なる事に驚愕しながら智くんを見る。

だってそれを話すとは思わなかったから。

すると智くんは、お前らは信頼出来ると思ったから話したんだ、と苦笑した。

それから窓を開けて空を見上げる。


「.....智くん.....」

「.....」


考え込むお姉ちゃん。

それから、それって私達のせい.....?、という感じで困惑する。

すると智くんは、違うな。.....塾で虐められていたんだ。俺。それでこんなうつ病になってしまった、と苦笑いを浮かべる。

そして私達を見ながら、だけど、とサンを持ってから笑みを浮かべる。


「.....お前らの生きる姿に圧巻されたんだ」

「智くん.....」

「だから俺も死んでられないなって思ってな」

「.....智.....」


そんな事があったなんて思わなかった、と歯を食いしばるお姉ちゃん。

その体を智くんがゆっくりと包み込む。

それから、落ち着け。.....これは実は佳奈にも話したけどそういう反応だった。嬉しいよ。姉妹でそういう反応してくれて、と言いながら強く抱きしめる。

でもこういうのは早めに共有していた方が良いかなって思ったんだ、とも。


「.....相談してくれれば良かったのに。来てから。.....私ぶっ殺したいぐらいある」

「そうだな。.....それは.....確かに言えるかもしれないな。ごめんな。何も相談出来なくて。ただお前らの事をこれ以上脅かしたくなかったから」

「そんなの.....気にしなくて良いのに」

「お前らは家族の事で。俺は自分自身の事で。.....これ以上悩ませられなかった。だけどこういうのは早めに共有して愛し合った方が良いだろ?」

「.....有難う。そんな事をしてくれて」


そういう配慮は.....要らないけどでもとっても嬉しい。だから智。大好きだよ、と言うお姉ちゃん。

私はその姿を見ながら苦笑いを浮かべる。

それから外に出てから縁側に座る。

星を見上げてみる。


「.....今日は流星が沢山だね」

「そうだな。晴れているしよく見える。願い事でも出来そうだ」

「そうだね。智くん」

「何を願うんだ?2人共に」

「.....私達?.....私達は.....そうだね。今の関係がこじれない様に願いたいね」

「そうだね」


それから空を見上げてから私達は願いを込める。

早速、流星が現れた。

私はそれに対して願う。

その感情は、私の恋よりもお姉ちゃん達を守れます様に、と。

すると.....何故かその流星が光った気がした。


「おお。これまた一段と光ったな」

「そうだね」

「何でだろうか?」

「よく分からないわ」


私達は空を見上げながら無数の流星群を眺める。

それから笑みを浮かべながら見合う。

その願った後で流星は止む。

そしてそれを見ていたお姉ちゃんが、智。聞いて、と切り出す。


「.....?.....どうした?」

「佳奈」

「.....え?何?お姉ちゃん」

「貴方何か言いたい事があるでしょ?」

「.....へ?」


私はよく分からない、という感じで反応する。

そうしていると、佳奈。気持ちは伝えなくて良いの、とお姉ちゃんが切り出す。

私はそんな言葉に、!、と反応する。

それから、わ、私は、と困惑する。


「.....佳奈の気持ち?」

「.....私だけ言っても仕方がないわ。.....智」

「は、はい」

「私が貴方を好いているの知ってる?」

「あ、ああ大体は.....って.....おいおい」

「それと同じ様に佳奈も貴方が好きなの」


その言葉に智くんは、へぇ!!!!?、と顔に火が点く様にビックリしていた。

私は青ざめながら、ちょ!お姉ちゃん!?、と聞く。

その言葉にお姉ちゃんは、私は.....私だけが勝負するのは納得がいかない。だから貴方も、ね?佳奈、と言う。

そんな言葉に私は、お姉ちゃん.....、と話す。


「この先は嵐よ?智。あはは」

「.....いきなり告白されるとは.....」

「私じゃないんだけどね.....」


そして私は願ってもない事が叶ってしまう。

私はその事に嬉しさがあり。

と同時に不安が勝ってしまった。

何故かって?


智くんもお姉ちゃんも頑張っているのに私がヘラヘラと恋をしても良いのか?、と思ったから、だ。

こんな何も兼ねてない様な何も出来ない私が。

智くんとお姉ちゃんよりも劣っている私が.....。

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