第二章 佳菜子と佳奈の絆
姉と妹
第9話 佳菜子と喜美
☆上原佳菜子サイド☆
私は愚かな存在だ。
一体何が愚かかといえば。
色々なものを捨てた(女)だからだ。
だけどそれでも何かを守りたかったんだろう。
何を守りたいのかすらも分からないが。
その中で。
唯一だけど喜美だけは私を見捨てなかった。
何故こんな私を見捨てないのか謎だが。
喜美に聞いても、私は貴方が好きだからにゃー、としか答えない。
正直、喜美には謎が多すぎる。
だけどまあ。
喜美がそう言ってくれるのが感謝でしかない。
私なんかに構ってくれるのが感謝でしかない。
思いながら私は教室に戻って来る。
何故か20分も経っていたのに喜美は居た。
「姫。おかえりー」
「.....喜美?まだ帰ってなかったの?」
「姫を待っていた」
「ずっと待ってどうするのよ」
「正直に言えば喜美ちゃんは貴方の今日の活動報告が聞きたいのです」
「.....活動報告.....ね」
さっき有山智くんの教室に行ったんでしょ?
どうだったのかなぁ?、と笑顔になってWという感じの口にする喜美。
私はその言葉に先程の光景を思い出す。
それからリア充。
つまり佳奈の友人達に嫌われた事を思い出す。
「喜美。正義って何だろうね」
「.....?.....正義かにゃ?」
「そう。正義。私にとって正義とは.....何だろうね」
「佳菜子にとっての正義は.....そうだね。規律正しく生きて。そして愛情を持って周りに接している事かにゃ?」
「.....え?」
私なんかがそんなの無いよ、と言いながら喜美に苦笑い。
喜美は、いんや、と首を横に振った。
それからスンスンと私の首元の香りを嗅いでから、香りが違うからねぇ、と喜美は笑顔になる。
私は、香り?、と聞いてみる。
すると、成長している。今日も、と喜美はニコッとした。
「.....佳菜子。貴方は頑張っているよ。.....周りが認めなくても貴方は優しい」
「そんな馬鹿な。.....私は.....愚かだよ」
「それは周りが言っているのかにゃ?だとするならそれは違うにゃー」
「.....どうしてそう言い切れるの」
「貴方は妹ちゃんを守っているからね。.....気が付いてないだけで」
「.....!」
妹ちゃんの事が愛おしいんでしょ?
そして.....ただ守りたいんでしょ?、と聞いてくる。
私はその言葉に、まさか、と肩を竦める。
あの子を守りたい?
そんな馬鹿な。
「.....佳菜子は素直じゃ無いにゃー」
「私は元から素直だと思うけどね。.....でも1つだけ言えるのは。仮にも私は佳奈を守りたい訳じゃない。あくまで私は智に興味があるだけよ」
「それはどうかな?私はそうは思わないね」
「喜美.....?」
「私は貴方の優しさを知っている。そして性格の良さも知っている。だからこうして友人としているんじゃないのかにゃ?」
「.....」
私は考える。
それから喜美を見る。
喜美はニコニコしながら変わらず==な目で私を見ている。
私はその姿を見ながら苦笑した。
そして笑みを浮かべる。
そうかもしれないね、と言いながら。
「.....だから喜美も居る訳だしね」
「そうだよ。.....私は貴方。姫が好きだよん」
「.....そう言ってくれて有難うね」
そして私は外を見ながら時間を見る。
いけない。放課後.....というか。
もう帰宅時間だ。
急がなければ。
思いながら私は喜美を見る。
「喜美。帰ろっか」
「そうだね。帰ろっか」
「.....有難うね。喜美」
「私は何もしてないにゃー」
それから私達は帰宅する為に鞄を持ってから教室を施錠した。
そして最終下校時刻に間に合わせる為に駆け出す。
そうしてから下駄箱にやって来た。
すると喜美が私に向いてくる。
「でも良かった」
「.....?.....何が?喜美」
「少しだけでも現状を認めてくれた様で」
「.....喜美.....」
「私は佳菜子が心配だから。.....佳菜子は1人で全てを抱えるタイプだからねぇ」
「.....私はそういうつもりは無いけど.....」
それはどうかな。
私は佳菜子は.....1人で抱えるタイプだって思っている。
だからずっと心配で。
私が、智くんが、妹ちゃんが寄り添ってあげないと死んじゃう、と喜美は話す。
その言葉に私は見開きながら、そうかな、と困惑する。
すると喜美は、うん、と頷きながら私に真剣な顔をする。
「正直、学校の成績が何だって言うのって感じだけどね」
「この犠牲は。誰かがきっとしないといけないから.....だから私はこのポジションで良いの。私が私を守る為にね」
「.....でもいつか私達が助けてあげるね。.....佳菜子」
「そうね。その時があったらお願いするわ。喜美」
そして私達は帰宅する。
すると屋敷で佳奈が、おかえり、と玄関にやって来た。
私は、?、を浮かべながら見ると。
手に何か持っている。
それはケーキのマークがある。
どうやらケーキの様だが?
「これは何?」
「お土産だよ。お姉ちゃんへ」
「私にお土産?珍しいわね。貴方からなんて」
「.....今日は助けてもらったから」
「.....!.....別に助けたつもりじゃ無いから」
「あはは。お姉ちゃんツンデレだね」
そういうつもりじゃないわ、と私は否定しながら横を抜けてケーキを奪い取ってから2階に上がってからドアを閉めてから。
ドアにもたれかかる。
全くあの子は何を誤解しているのやら。
甚だしい限りだ。
「.....何かしら。この胸の爽快感は」
思いながら私は学習机に置いたケーキを見る。
そして笑みを溢した。
私は.....そっか。
笑えるんだな、と思いながら。
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