第6話 「.....とでも言うと思ったか?」

☆上原佳奈サイド☆


何も変わらないや。

智くんの事が、である。

だから智くんは私のヒーローであり。

私の大切な人である。

考えながら私と智くんは屋上にやって来る。


「わざわざすまないな。正直演技だったんだが」

「それは知ってる。だって智くんが取らない行動だったからね」

「.....本当に教えてくれなくても良いのに」

「いやいや。教室を抜け出す口実になるから」


そして私は智くんを見る。

智くんは苦笑いを浮かべながら私を見つつ。

数学の問題を聞いていた。

2人しか居ない様な屋上.....であり。

私は智くんを存分に堪能出来る。


「佳奈?どうした?ずっとニコニコして」

「ヘア!?そ、そんな事ないよ!?」

「そうか?頬が緩みまくっているぞ」

「そ、そうかな!?私はそうは思わない!!!!!」


私は赤くなって目を回しながらそう否定する。

バレていたのか今の!?

思いながら私は頬を両手で叩いてから、よし、と涙目になる。


そして横を見るとジッと見られていた。

それもあって私はカァッと真っ赤になる。

それから顔を引き攣らせる。


「うん?熱でもあるのか?」

「な、何でもない!!!!?」

「.....???.....変な野郎だ」


智くんは、?、を浮かべる様な顔をする。

顔がメチャクチャ近かった。

私は赤くなるのが抑えられない。


正直そんなに接近してもらっては困る。

赤くなるのが抑えられない。

考えながらも否定しながら、さ、さあ。次の問題!、と言いながら私は教えていく。

すると智くんが、お、おう、じゃあ先ずは、と言いながら問題を解く。

その中で智くんが前を見ながら話す。


「でも凄いなお前」

「.....え?何が?」

「アイツ。佳菜子にアホとか言われていたけど結構な天才じゃないか」

「.....言ったでしょ。智くん。.....お姉ちゃんもう昔のお姉ちゃんじゃないよ。そんなに張り合ってどうするの、って感じだから」

「そうか」


私を見ながら苦笑する智くん。

その顔を見ながら私も苦笑いを浮かべる。

すると智くんは、佳菜子はいつからあんな感じなんだ?、と聞いてきた。

私は考え込む。

それから、少し前からだよ、と答えた。


「.....でもきっかけはある。多分.....お姉ちゃんは私を守ろうとしている」

「佳奈を守ろうとしているのか?」

「そうだね。.....まあ本人がどういう考えなのか分からないけど」

「お前の家って確かに規律が厳しいもんな」

「無駄にね。.....だけど最近は何だかお姉ちゃんに風当たりが強いような?」

「.....」


どういう事なのか分からないけど。

取り敢えず佳菜子に対する当てつけの様な感じか?

そう言いながら私を見る。


私は少しだけ悩む。

それからシャーペンを置きながら伸びをする私。

そしてニコッと笑みを浮かべる。


「取り敢えず今は悩んでいても仕方がないから。問題に集中しよ。そしてケーキ屋」

「ケーキ屋は今現在、関係無いと思うけどな。.....まあでもお前が言うなら」

「えへへ」


それから智くんはまた苦笑いを浮かべる。

私はその姿が見れるだけ幸せだった。

そして時計を見て驚く。

休み時間があと10秒で終わる。


「大変!智くん時間が」

「うわ.....本当だな。急がないと」


それから私達は参考書を持ってから。

教科書とノートを纏め。

そして駆け出す様に教室に戻る。


智くんと喋っていると時間があっという間に過ぎる。

私は胸のドキドキを感じながら。

そのまま教室に戻って来る。



放課後になりそうだった。

私は背後で授業を受けている絢音達をチラ見する。

どうやって切り抜けようか、と思いながら。


絶対に怪しまれる。

放課後に2人きりでケーキ屋とか。

そう考えながら居るとあっという間に放課後になってしまった。


そして案の定。

私は、どっか行かね?、という感じで誘われる。

その言葉に困惑する私。


「え、えっと。私.....今日用事があって」

「え?何の用事?」

「えっと.....その.....か、買い物」

「え。じゃあ付き合うよ?」


ここがリア充の困った所だと思う。

逃れられないのだ。

私は4人の視線を感じながらモジモジする。

どうしたら良いのだろうか、と思いながら.....待たせているよね、と思いながら。

一人で行かせてほしい、と思っていると。


「佳奈?」


待ち合わせを校門前にしている筈の智くんが。

私は、!?、と思いながら智くんを見る。

それから私は、あ、と一言、言葉を発する。

そして私は唾を飲み込む。

そうしてから、みんな。ちょっと用事があるから、と切り出す。


「行かせてほしい」

「行かせないよ」


私の意見はすぐ止められた。

それからスクールカーストトップ中のトップ。

王山戦勝(おうやまかつまさ)が智くんに近付く。

ピリピリした稲妻の様な空気が.....迸った。


「お前何なの?有山くん」

「.....はい?」

「俺達をかき乱して楽しいかな?」

「そういうつもりは.....無いんだが」

「お前を見ているとムカつくな。.....本当に」


王山くんの意見に周りも賛同する様な感じを見せる。

私は、ちょ、ちょっと待って、と反応するが。

絢音と茜に止められた。

反論が出来なくなる。


「とにかく。もう佳奈に近付かないでくれ」

「.....」

「君が近付くと何かムカッとするから」

「分かった.....」


そう言い出す智くん。

私はその言葉に落ち込む。

だが。

その言葉には続きがあった。

そんな、分かった、の次の言葉に。


「.....とでも言うと思ったのか?冗談じゃない」

「は?」

「佳奈を束縛するな」

「.....」


王山くんはまさかの言葉にカチンときた様だ。

睨み合いが続く。

私はまさかの展開に赤くなる。

そしてその光景を見ていた。

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