第7話

虹色の球に今後の行き先が示されている。

京はその方向へと進んでいく。その先は森林。さらに、森林の奥には崖があった。

崖付近にたどり着き、京は周りを見渡す。

崖のそばに橋がかかっていることに気づいた。


橋の長さは50m、幅は5mほどだ。

そして橋の先には大きな門が見える。

虹色の球の矢印はその門を示していた。


橋の前には他のプレイヤーたちが何名か見える。


「何人かいるな…先を越されてたまるか!」


京は橋へ向かって走り出す!

京より前にいたプレイヤーたちは次々とその橋を渡り、門へと向かっていく!


「くそ!!全然追いつけねえ!!」


京が橋の上を全力で駆け抜ける最中、門の方からバキバキッと大きな音が聞こえてきた!


「な…なんだ!?」


京が門の方へ目をやると、そこには門を掴むほどの巨大な手が見えた!

そしてその手の上に禍々しい目つきをした鬼の顔が現れる…!


「でっデカ!?」


その鬼は10mほどの高さで、全身が真っ赤だ。

上半身は裸であり、大きな棍棒を持っていた。

鬼は門から飛び降り、京たちの前に着地する!


ドゴォ!!


鬼の着地による振動で、プレイヤーたちは慌てふためく!

鬼の脚は橋の地面へめり込み、亀裂が生じていた。


「ばっ…化け物!?」


鬼はプレイヤーたちを見下ろし、ニヤリと口角をあげる。そして、手に持っている棍棒を大きく振りかぶり、何人かのプレイヤーにめがけてそれを振り下ろす!

プレイヤーたちは、そのこん棒にぶち当たり、橋から落とされていく!!

橋から落とされたプレイヤーは崖の下へと転落していった。

その場面を見た他のプレイヤーたちは即座に立ち止まる。


「こいつはダメだ…」


京も含め、多くのプレイヤーたちはUターンし、元来た道へ引き返す!

しかし、巨人は地面を蹴って跳ね上がり、京たちが向かう方向へ着地する!

そしてまた棍棒でプレイヤーたちを振り落とそうとする!

京は間一髪で免れることができたが、京の周りにいたプレイヤーのほとんどが橋から落とされてしまう!

その隙に何人かのプレイヤーが門へ向かって走り出した。しかし、巨人は再び飛び上がり、

門の手前に着地。

そして、巨人はそのまま棍棒を振り続け、立て続けにプレイヤーたちを叩き落していく!


そして遂に京もこん棒に当たり、吹き飛ばされてしまう!

そしてそのまま、橋から身を投げる形で崖から落ちていく!


(マジかよ……ここで死ぬのか!?)


京が落下していく中、右手につけていた「かぎ爪」がガシャっと音を発する!


「!」


京はかぎ爪の関節部分にわずかに隙間があることに気づく。そしてその隙間にはワイヤーらしきものが見えた。


(これは……)


京はかぎ爪の爪の部分がワイヤーで伸びることを察知した!

京は崖にめがけ、手をかざす!

そしてかぎ爪の「爪の部分」が勢いよく発射され、崖に爪がかかる!

爪はワイヤーで伸びており、京の落下が途中で止まる!

京はワイヤーにぶら下がり、何とか落下を防いだ。


(助かった……)


京はワイヤーを縮ませて、身体を上昇させていく。


(これ…便利だな。まさかワイヤーで伸縮させることができるなんて)


京は爪まで到着し、そのまま崖をよじ登ろうとした。その瞬間、一人の女性が京の近くに吹き飛ばされてきた!


「!!」


京は咄嗟の判断でその女性の腕を掴む!

女性は宙ぶらりんになり、京はその女性を持ち上げようとする!


「絶対手離すなよ…」


京は片手で女性を持ち上げ、そのまま崖をよじ登っていく。崖を登り切った二人はその場で座り込む。


「はあ…はあ…っ…助かった…!」


女性

「助けてくれてありがとう…」


女性は立ち上がり、京のもとに寄り添う。

京は立ち上がることができず、表情は真っ青だった。


女性

「大丈夫!?」


「ははっ…ダメそう…だ」


京の腹が、内部出血しているのか、真っ青になっていた。

どうやらこん棒でダメージを負ったようだ。

京の意識が遠のいていく…。


「……」


京は死に際に一つの思い出が想起されていた。

それは小さい頃の記憶。

妹の面倒をよくしていた頃の記憶。


疲れたらおぶって帰り、靴も履かせ、いじめられていたところもよく助けていた。

親にはエライエライと褒められる。そんな記憶。


(どうして俺はこの時の記憶を…)


しばらく家族との団らんの日々を見ていた。

そして気づく。自分は夢の世界にいることを。


「はっ!?」


気が付けば、京は大木に寄りかかって寝ていた。



「あ…目が覚めた?」

先ほど転落するところを助けた女性だ。


女性

「傷は大方塞がったみたい。大丈夫?」


京はなぜ自分が生きているのか不思議に思った。

そして自分のお腹まわりが痛くないことに気づいた。


「何で…あんなに痛かったのに……」


女性

「私の能力で傷を治したの」


女性は虹色の球を見せる。

そして球から薬を取り出し、京に見せる。


女性

「これであなたの傷を直した。私を落ちているところを助けてくれたお礼」


「……そうか。ありがとう」

「そういえば、あの化け物は?」


女性は指をさす。その方向には橋が見えた。そして先ほどの巨人は橋の上でたたずんでいた。


「あっちに行くのは難しいか」


女性

「でも、この虹色の玉はあの橋の向こうを指しているよ」


「くそ…じゃあやっぱり何とか渡るしかないのか。あの鬼を何とかしないと…」


女性

「ここにいても先には進めない。もう一度あの橋に行こうよ」


「……そうだな。何とか突破口を見出して門まで走り込むしか無い」


京と女性は再び橋の方へ向かう。

そこには、他のプレイヤーたちも倒れ込んでいた。どうやら鬼のこん棒に吹き飛ばされて倒れたようだ。

女性は倒れこんだプレイヤーたちに駆け寄り、虹色の球から薬を取り出す。そしてその薬をプレイヤーたちに飲ませていく。

プレイヤーたちは回復していき、意識を取り戻していく。京はその様子を傍ら不思議そうに見たていた。


「なあ、どうして敵なのに回復させるんだ?」


女性

「それはあなたも同じでしょ?」


「……」


京は反論できなかった。

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