第5話
虹色の球に今後の行き先が示されている。
「ここをまっすぐ行くのか。」
京が進んでいく先は森林。
その森林の奥には崖があった。
横に振り向けば、一つ橋が見える。
森林を抜けると、大きな橋が見えてきた。そして橋の先には大きな門が見える。
橋の長さは約400m。門は約20mほどの高さであり、幅も10mほど。
虹色の球の矢印はその門を示していた。
橋の前には他のプレイヤーたちが何名か見える。
「何人かいるな…先を越されてたまるか!」
京は橋へ向かって全力で走る!
京より前にいたプレイヤーたちは次々とその橋を渡り、門へと向かっていく!
「くそ!!全然追いつけねえ!!」
京が橋の上を全力で駆け抜ける最中、門の方からバキバキッと大きな音が聞こえてきた!
「な…なんだ!?」
京が門の方へ目をやると、そこには門を掴むほどの巨大な手が見えた!
そしてその手の上に鬼の顔が徐々に上がって見えていく…!
「でっデカ!?」
その鬼は5mほどの高さで、全身が真っ赤だ。
その巨人は上半身裸であり、大きな棍棒を持っていた。
巨人は門から飛び降り、京たちの前に着地する!
「ばっ…化け物!?」
プレイヤーたちは泡目ふためく!
鬼は手に持っている棍棒でプレイヤーたちを橋から叩き落そうとする!
大きく棍棒を振りかぶり、何人かのプレイヤーを棍棒にぶち当て、そのまま橋から落としていく!!
橋から落とされたプレイヤーは先の見えない崖の下へと転落していく!
その場面を見た京は即座に立ち止まる!
「こいつはダメだ…」
京たちプレイヤーはUターンし、元来た道へ引き返す!
しかし、巨人は地面を蹴って跳ね上がり、京たちが向かう方向へ着地する!
そしてまた棍棒でプレイヤーたちを振り落とそうとする!
京は間一髪で免れることができたが、京の周りにいたプレイヤーのほとんどが橋から落とされてしまった!
その隙に何人かのプレイヤーが門へ向かって走り出した。しかし、巨人は再び飛び上がり、
門の手前に着手し、門へ向かっていたプレイヤーを棍棒でたたき落す!
巨人はそのまま棍棒を振り続け、立て続けに逃げ惑うプレイヤーを叩き落していく!
京はこん棒には当たらなかったものの、振ったこん棒の風圧で吹き飛ばされてしまう!
「落ちてたまるかよッ!!」
京は持ち前のかぎ爪付きのワイヤーで崖に鎌を引っかける!
ワイヤーにぶら下がり、何とか落下せずにすんだ。
京が崖をよじ登ろうとしたところ、一人の女性が京の近くに吹き飛ばされてきた!
女性が下へ転落しそうになったところを京は手に取って助けた!
「絶対手離すなよ…」
京は片手で女性を持ち上げ、そのまま崖をよじ登っていく。
崖を登り切った二人はその場で座り込む。
「はあ…はあ…っ…助かった…!」
「助けてくれてありがとう…」
女性は立ち上がり、京のもとに寄り添う。
京は呆然とした様相で、そのまま寝込んでしまった。
「大丈夫!?」
「ははっ…だっダメそう…だ」
京は崖に衝突した際に大けがをしていた。
巨人の棍棒でケガをした京は瀕死状態になり、その場で倒れ込む。
それは小さい頃の記憶。
妹の面倒をよくしていた頃…。
疲れたらおぶって帰り、靴も履かせ、いじめられていたところもよく助けていた。
親にはエライエライと褒められる。そんな記憶。
(どうして俺はこの時の記憶を…)
しばらく家族との団らんの日々を見ていた。
そして気づく。自分は夢の世界にいることを。
「はっ!?」
気が付けば、京は大木に寄りかかって寝ていた。
「あ…目が覚めた?」
先ほど転落するところ助けた女性だ。
「傷は大方塞がったみたい。大丈夫?」
京の体が治っており、不思議に思う京。
「何で…あんなに血が出ていたのに」
「私の能力で傷を治したの」
女性は虹色の球を見せる。
「私を落ちているところを助けてくれたお礼。」
「……そうか。ありがとう。」
「あの化け物は?」
橋の方へ目をやると、先ほどの巨人は橋の上でたたずんでいた。
京たちは橋の渡る前の方の崖に吹き飛ばされたようだ。
「私たちの他にも助かった人はいるみたい」
一度橋のスタート地点へ戻る。
そこには何人かのプレイヤーが大けがをしており、倒れていた。
この人たちもなんとか崖から這い上がってきたようだ。
愛海は次々とケガをしたプレイヤーに薬で回復させていく。
「なあ、どうして敵なのに回復させるんだ?どうして助けるんだ?」
「それはあなたも同じでしょ?」
「……」
京は反論できなかった。
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