第10話


京たちは洞窟の出口まで到着し、外へ出る。

先ほどの狭い洞窟に比べ、今度は広いエリアに出た。

その奥にはまた大きな門が聳え立っている。


「またでかい門だ。」

「あの橋の門と同じ奴だね。」

「この門……開ければいいのか?」


京と手越は門を開けようとぐいぐい押す。

しかし、門は微動だにしない。


「全く開きそうにないな……。」

「押してダメなら引いてみては?」

3人で門を引くが、やはり微動だにしない。


「ダメだ……開かない。」


「ん?ここにカギ穴がある……」

愛海は門の真ん中にカギ穴があることに気づく。


「これ…カギ締まってんのか……。」

「カギがどこかにある?」

京たちは辺りを見渡し、鍵らしきものを探す。


「どこかに落ちてるわけないよね」

「仕方ない。引き返すか?」

「またあのトラップのところへ行かなきゃいけないのか……」


京と手越がグチグチ言っている側で、

愛海は空洞の上を見上げる。

愛海の目にかすかに何か光っているものが映る。


「あれ…なんだろう?」

愛海が指さした方向へ京と手越が顔を向ける。


「何か光ってる…。」

「あれ…カギの形をしていないか?」

「本当か?」

「俺ちょっと取ってくる」

京は虹色の球からかぎ爪付きのワイヤーを取り出す。

かぎ爪を壁にかけて、ワイヤーを使って上へ上昇していく。

そして壁の上にあるカギらしきものを手に取る。


「これは……」


「どう?カギだった?」

遠方から愛海が声を上げる。


「これもしや、もしかしてかもしれん!」

「カギの色が門の色と一緒だ!」


「本当!?」


京はカギを持って、下へと降りていく。


「しかし、愛海はすごいな。さっきの門の鍵穴も見つけたし、よく細かいところに気がつく」

「私昔から物を探すの得意なんです。よく友達がピアスとか鍵とか無くすんですけど、私が先に見つけるんです」

「へえーそうなんだ」


「グオオオオオオオオオ!」


「な……なんだ!?」


京が降りていく途中で洞窟の中からおぞましい声が聞こえてきた!

「え?」

洞窟の中から何かが押し寄せてくる!!


「グオオオオオオオオオ!」

「こいつは!!あの時の化け物だ!!」


洞窟の中から一つ目の化け物が手越たちへ襲い掛かる!!


京たちの背後は門であり、逃げ場はない。

手越は盾を出現させ、化け物の襲撃に備える。


「こいつ!!」


化け物が近づいてきたところを手越は盾でタックルをかます!

化け物は両手でそのタックルを受け止め、力づくで盾を取ろうとする!


「ぐぐぐぐ……」


化け物の力は強く、手越の盾が取られそうになる!


「うおおおお!」

上空から京が化け物に蹴りを入れる!

化け物は顔面を蹴られ朦朧としている。


「逃げるぞ!!」


化け物がのたうち回っている隙に京たちは洞窟の方へと走り出した!

京が後ろを振り返ると、化け物がおぞましい形相で追いかけてきている!


「くっそ!?追い付かれるぞ!!」


京たちが走っている途中で、愛海と手越がトラップのボタンを踏んでしまう!

矢が四方八方から飛んでくる!!


「危ない!?」

愛海は頭を抱えながら、体をかがませ、弓矢を避けようとするが、

何本か、彼女の足に突き刺さってしまう!


「痛ッ!?」


愛海はその場で転げてしまう!!


「愛海!!」


京は引き返し、愛海の元へ走る!

化け物がもう目と鼻の先まで来ている!

京は愛海を担ぎ上げ、即座に走り出す!

しかし、走り出そうとしたところを化け物が彼の襟をつかむ!


「グッ!?」

京は襟をがっちり掴まれ、走り出すことができない!


「うおおおおお!!」


手越が盾を前にして、化け物へ突進する!

化け物はその突進に吹っ飛ばされ、後ろへ転落する!


「今だ!!」


京は愛海を担いで、走り出す!

手越も京に続いて走り出す!

化け物は立ち上がり、再び京たちを追いかける!


「グオオオオオオオオオ!」


化け物が大声を上げながら怒り狂った形相で追いかけてくる!!


「くそおお!」

手越は振り返り、化け物に立ち向かっていく!


「おい!手越のおっさん!?」

「京!!俺が時間をつくる!その隙に逃げろ!!」

「おっさん!!?」


手越は化け物へタックルをするが、

化け物に華麗に避けられてしまう!

化け物は長い爪を手越の脇腹に差し込む!!


「ぐああああ!?」

「おっさん!!畜生!!」


京は前を向き、全速力で駆け抜けていく!

化け物は逃さまいと、徐々に距離を詰めていく!


「くううッ」


京の前には洞窟の出口が見える。

そこは京と愛海が崖から入ってきた入り口であった!


「行き止まり!?」


「グオオオオオオオオオ!」

後ろから化け物が寸でのところまで来ている!


「一か八かだ!!」


京は虹色の球からかぎ爪付きのワイヤーを取り出す。

そしてかぎ爪を洞窟の外の上へ投げる!

かぎ爪は崖に引っ掛かり、京は愛海を担ぎながら、

ワイヤーで上へあがっていく!!

化け物は崖の前にたどり着き、崖に手を掴む!


「来るんじゃねぇ!!」


化け物が崖をよじ登ろうとした時、

洞窟の奥から、手越が化け物へ向かって突進してきた!

化け物は手越のタックルを喰らい、崖の下へと転落していった!!


手越は化け物を突き落しては、

力尽きてその場で倒れてしまった!


「おっさん!!」


京はワイヤーで降下し、手越の元へ駆け寄る!


「おっさん!しっかりしろ!!」


手越は口から血を吹き出す!


「京!どいて!!」

愛海が虹色の球から万能薬を取り出す!

そして手越の口に万能薬を注ぎ込む!


「ゴホッゴホッ!?」

手越は息を吹き返し、そして化け物に刺された傷が塞がっていく!


「よかった…間に合った……」

「た…助かった…のか」

「ナイス!おっさん!!」

京は片手でバンバン手越の背中を叩く!


「うるせえ!」

手越は京の手をはたき、殴り倒す!


「よしよし元気そうだな」

「全く…俺は人生の先輩だぞ!」


手越は立ち上がり、足についた埃を払う。


「私も治療しなきゃ」

愛海も万能薬を飲む。彼女に刺さっていた矢がするっと抜け、

さらに矢で受けた傷が塞がっていく。


「何度見ても愛海の能力はすげえな……」

「ああ…愛海のお陰でまた助かった」


「ううん。私も一人じゃ何もできないもん」

「手越さんが戦ってくれたから助かった」


「そうだな…やはり俺たちは相性がいいな」

手越はニカッと笑顔で答える。


「俺は!?」

「もちろんも京もだよ!京がいなかったらカギは取れなかったし」


「そうだ。この鍵であの門が開くかどうか確認してみようか」

「そうだった!早くあの部屋に行こうぜ!」


「あー…でもまたあのトラップの道を通らないといけないね」

「まあ化け物は倒したし、ゆっくり進むとしようか」


京がポケットにカギをしまおうとした時、

突如、横から少年が京からカギを奪った!


「なッ!?」


ダッ!!


一瞬にしてその少年は京からカギを奪い、洞窟の先へ走り出す!


「おい!!待て!?」


京はその少年を追いかける!


「京!!」

手越と愛海も続いて走り出す!


「いったいどこから出てきやがったこのガキ!?」

「全く気づけなかった。くそっ!!」


少年の足は速く、京たち誰一人追い付けない!


「くっそお!?はええ!?」

「このままじゃ見失うぞ!!」


洞窟を進んでいくと、先ほどの分かれ道に出た。

少年は3つに分かれているうち、一番左の道の方へ進んでいった。


「左に行ったぞ!!」

京たちも左の道へと突き進む!

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