第3話

京は思い出した。自分は殺人鬼に襲われて撃たれたことを。


「そうだ…!俺は…俺は撃たれたんだ!!あいつに…奴に!!」


京の脳裏に殺人鬼の顔が浮かび上がる!


「そうだ…郁は…郁は無事なのか!?」


京は死神の肩を掴み、妹の安否を教えるように叫ぶ!


イズ

「知らないよー」

「ちょっと痛いんですけど~」


「くっそ……」


京はその場で体を崩し、顔を下に向けて座り込む。


「くそ…なんで……なんでこんなことに……」


イズ

「そう。あなたはさっきショットガンで撃たれたの」

「あなたは今、死ぬ瀬戸際だわ」


「……死ぬ瀬戸際!?」

「どういうことだ!?」


イズ

「この世界は死ぬ寸前の者が訪れる生と死の狭間」

「あなたは死ぬ寸前にこの世界にやってきたのよ」


「はあ?何だそれ?」

「俺はあの世に来ちまったってことか!?」


イズ

「厳密にはあの世では無いわ。あなたはまだ死んでないもの」


「何?何だそれ…」


イズ

「あんたは今ものすっごい曖昧な存在になっているのよ。」

「生きるか死ぬかはあなた次第。」

「あなたが死ぬのなら私は貴方を死の世界へ導く。」


「待って…待ってくれ!!」

「全然話が見えてこねえぞ……つまり俺は生きるか死ぬかの瀬戸際ってことなのか!?」


イズ

「そう。その通り。」

「ただ、あなたはどちらかと言うと死の方へ足を踏み込んでいる」


「何だって…」


イズ

「でもあんたはまだ生き残れる可能性がある」

「運が良ければ、この世に戻れる権利を得られるかもしれない。」


「生き残れる権利?俺は元の場所に戻ることはできるのか!?」


イズ

「戻れるチャンスはあるよ」


「本当か!?今すぐにでも戻してくれ!!郁が危ない!!」


イズ

「あなたが元の場所に戻るためには条件が必要なの」


「条件?何だそれは!?」


イズ

「ヨミガエリゲーム。それに勝つことができれば、あなたは元の場所に蘇ることができる」


「蘇りゲーム……?」


イズ

「そう。ヨミガエリゲーム。」

「実はね、今この生死の狭間にいるのは貴方だけではないの。」

「他にも多くの人間が、今この時この生死の狭間に彷徨っているの」

「ただね、私たち死神も数が限られていてね、人手不足なのよ~」

「だから、私たちは死へ誘う神様だけど、たった一人だけ。たった一人だけこの世に生き返らせることにしているの!」

「本当はもっと生き返らせてあげたいんだけど。私たちってほら死の神でしょ?死の神がほいほい人間をよみがえらせるわけにはいかないのよ~」

「だから特例でたった一人。」

「今の時間帯は貴方を含めて約5百人。その中で競争して勝ち残れば、あなたがいた生前の世界へ戻ることができるわ。」


「ゲーム……それに勝てば生き返れるのか?」

「ゲームに勝てば、元の場所に戻れるんだな!!」


イズ

「そうよ。ゲームに勝てばね」

「勿論、この場で死ぬ選択も選ぶことができるよ」

「さあ、あなたは死を選択する?それとも……」

「ヨミガエリゲームに参加する?」


「そんなの…決まっている……」

「参加だ!俺は何としても生き返る!!」

「そのヨミガエリゲームに勝って、俺は郁たちを救うんだ!!」


イズ

「あはははは!!わかったよ!!参加ね!!りょーかい!!」

「じゃあ、これを受け取って」


京はイズから片手ぐらいの大きさの虹色の球を受け取る。


「なんだこれは?」


イズ

「それは大事に持ってて。今から行く先に使う物だからさ。」

「じゃあ、さっそく移動するわよ。」


「待て!どこへ行くつもりだ?」


イズ

「ゲームの開催場所よ」


「なあ…そもそもゲームって一体何をするんだ?」


イズ

「まあ、説明はちゃんと会場でやるからさ~」

「とりあえず、黙ってついてきなよ」


暗闇の中、京はイズに連れられてゲームの会場へ向かっていく。

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