勇者ゲーム~いきなりデスゲームに参加させられたけど、最強スキルで無双します!~

しゅーくりーむ

第1話 インストール

一学期のある日、教室でこんな会話が聞こえてきた。


「ねえ、知ってる?勇者ゲームの話」


「有名な都市伝説だよね?そのアプリをインストールすると殺し合いさせられるんだっけ?」


「そうそう!」


(そんなアプリある訳ないだろ)


俺はその会話を嘘だと決めつけたのを覚えている。




(あー暇だな)


8月7日、吉田は部屋でごろごろしていた。


ピロン!


(ん?誰からのメールだろ?)



たけしからのメッセージです。


「久しぶり元気?このゲームまじ面白いからかいもやってみて!」



彼はすぐ剛に返信した。


YOU

「久しぶり!中学以来?丁度暇だったから入れてくる!」



そして彼は「勇者ゲーム」をインストールした。


いや、してしまったと言うべきか。


(おっもう出来るじゃん!)


彼がアプリを開くと、「スキルガチャ」と書かれた画面が出現した。


(タイトルとか無しでいきなりか…)


彼はなんの躊躇いもなく押した。


チープな音が一人きりの部屋に鳴り響き、新たな画面が出現した。



スキル「強奪」を手に入れた!

[決定]



(スキル?後で剛に聞くか)


彼は決定を押した。


すると、このような画面が現れた。



[マップ]

[ステータス]

[アイテム]

[ガチャ]

[ショップ]



(チュートリアルとか無いのか?不親切だな)


彼は不平不満を垂れながら、一番上のマップをタップした。


すると、現在地が中心となっている地図とその上に円が分散して表示された。


(ん?位置情報アプリなのか?1番近くは…A公園か)


彼は身支度すると、ゲームをプレイする為にA公園に向かった。




(着いた訳だが、どうすればいいんだ?とりあえずマップ開くか!)


マップを開くと、公園のサークルが強調されていた。


(ん?押してみるか)


円を押してみたが、強調されなくなっただけで何も起こらなかった。


(何も無いのかよ!中々クソゲーだな)


彼がゲームを酷評していると、目の前の空間が切り裂かれて、緑色の楕円形の何かが現れた。


(何だこれ…?ワープゲート?)


彼は少し警戒したが、興味本位で入ってしまった。




(どこだここ……)


入った瞬間、ひんやりとした空間にいた。


(洞窟か?)


ゲームで見た事がある様な岩に囲まれた場所に彼は心を躍らせた。


明るさは壁に掛かっている木の松明によって確保されており、数日ならここで暮らせるかも知れない。


(よし!進むか!)


彼はここで救助を待った方が良いと思ったが、好奇心が勝ってしまい、前に進んだ。


数分位進んでみたが、何も起こらない。


(モンスターとか宝箱とか無いのかよー)


彼が不平不満を言っていると、後ろから足音がした。


彼が驚き振り返ってみると、そこにはゲームで見た事のある剣を持った骸骨がいた。


(スケルトン…だよな?)


そんな事を思っていると、骸骨は縦に剣を振った。


「うおっ!?」


彼は当たる寸前、サイドステップで回避した。


「な、なんなんだよ!?」


彼は戸惑いそう言った。


(もしかしてこのゲームってクラスの女子が言ってた…)


彼は必死で逃げた。するとスマホからピロンと音がした。


(剛か?あいつ絶対許さないからな!)


スマホを見てみると、勇者ゲームからの通知だった。



[チュートリアルミッション!]

敵を1体倒そう!



(はあ!?倒せるわけ無いだろ!)


彼はそう思って逃げ続けたが、意外と移動速度が速い骸骨からは逃れられないと悟った。


そして、遂に戦う決意をした。


(武器も無いしどうやって戦えばいいんだ……)


考えるとすぐに答えを出し、こう叫んだ。


「強奪!」


そう叫ぶと、骸骨の手にあったはずの剣が彼の手に移っていた。


「おお!使えた」


彼は奪った剣を構え、骸骨に接近して剣を右上から思いっきり振った。


すると、スケルトンの胴体は二つに分かれた。


「やったか?」


彼が警戒を続けると、脅かすようにスマホから音がした。


見てみると、また勇者ゲームの通知だった。



「クエストクリア!経験値を付与します!」



(レベルアップとかあるのか?そんな事よりもモンスター来ないか見ないと)


警戒してみたが、一向に敵が来ないので、その場に座り込んで一旦休憩した。


しばらくすると、剛に怒りをぶつける為にスマホを取り出し連絡をとった。


(あれ?圏外か……)


諦めて出口を探すことにした。

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