第7話

『で、どうすればいいと思う?』


『ん~……』


『誤解を解かないと佐々木に告白どころの騒ぎじゃないぞ」


『……さっきも言ったけど、もう諦めた方がいいんでない?』


『は? お前何言ってんだよ!?』


『ここから巻き返すの相当に厳しいぞ。なにせお前は他の女とイチャコラしていて、引き合わせた俺は信用を失った。

 どっちが話しかけても、もうまともに取り合っちゃくれねぇよ。取り付く島もない』


『そんな……そこを何とかする策を考えてくれよ!』


『そもそもさ、お前あいつの何処に惚れたんだよ?』


『どこって、そりゃぁ……』


『禄に思い浮かばないんだろ? 知った顔が告白されて、焦って勘違いしちまっただけだって。

 会ったことも無いし、そこまで熱心に追いかけてたわけでもないのに、知ってるアイドルとか女優とか声優とかが結婚報告した時に、何故か胸がザワっとするあの感覚と同じだって。

 この際、あれだけ距離感近い幼馴染の姉ちゃんがいるならそっちに鞍替え……』


『バカ言うなよ!』


『な、なんだよ?』


『そんな安っぽい嫉妬心なんかじゃねぇよ! 俺は本気であいつが好きなんだ!

 そりゃぁ、具体的にどの部分がって訊かれて、即答できるくらい自分の気持ちがはっきりしてるわけじゃない。

 だけど! はっきりしてないからこそ、どういったところに惹かれたかわからないからこそ、佐々木恵麻という存在そのものに惹かれてるんだって言える!

 まだまだ分からないことだらけだからこそ、あいつのことをもっと詳しく知りたい。好きなものとか嫌いなものとか、あいつに関することに興味が尽きない。それでもお前は、俺があいつのことが好きじゃないって言えるのか!?』


『……』


『俺はあいつが、佐々木恵麻のことが好きだ。これから先、俺があいつを笑顔にしていきたい。

 だから何としても誤解を解いて、またあいつと正面向いて話し合える関係に戻らないと!』


『わかった』


『ん?』


『お前の本気は伝わった。舞台は俺が整える。佐々木と本音で話し合える状況を作っておくから、後はその本気をもう一度、今度は佐々木本人に伝えるんだ』


『慎介……おうっ!』


『そのための下準備に、まずはさっきの先輩に会わせてくれ、アシストを頼みたい』


『わかった。まだ帰っていないはずだ、さっそく呼んで来る! ……慎介』


『なんだ?』


『その、ありがとうな!』


『この貸しは高くつくからな』


『おうっ!』


『……行ったか。さて、上手く録音できているか……』

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