第6話

クソババアはリトルクソババアに気がつくと見事に獲得したぬいぐるみを投げ渡す。


リトルクソババアは猿じみた奇声を上げながらナイスキャッチ。


そのまま辺りを駆け回り始める。


その後ろからきたオヤジがクソババアの伴侶らしく、台風のことやなんかの話が始まった。


おれは撤退した。


家族の目があったらシケモクをお返しすることは無理だ。


それもある。

それもあるが。


あのようなクソババアにも愛する家族があり、暖かな団らんがあることを直視し続けると立ち直れないくらい打ちのめされることが火を見るよりも明らかだったからだ。


おれは、適当な灰皿にシケモクを放り込み、とぼとぼと店を出、台風の強烈な風に煽られ、飛んでくる様々なもの(新聞紙とか空き缶とか鉢植えとか)を神回避しながら歩き帰った。


無作為に風に飛ばされてきただけのことだが、おれに向かって投げつけられたのだと、その時は思った。


家に帰り、手を洗い、風呂に入っても、手に染み付いたヤニ臭さは取れなかった。


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