第6房 demons strike [開示]

前回のあらすじ

謎に迫り暗躍する魔術師達の影

野良デーモノイドを倒すべく、彼が持つ特殊な力で変身を遂げた庵

その力を持ってして野良デーモノイドを粉砕し喰らった

その戦いを見ていた二人に事情を話すべく、彼らの家の中へと戻っていったのだった

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景「さて、説明してもらおうか。兄ちゃん」


庵「ま、何だそう大したことじゃないんだけどよ。所謂俺は...まぁちょっとだけというか半分くらい?デーモノイドなんだ」


桐夜「ええええーーー!!!そ、そんなことがありえるの!?」


と、ものすごい驚き具合を晒す少年に対し少女は納得した様子であった。


景「なるほどな、まぁそういう感じではあったよな。あの見た目は」


桐夜「なんで冷静でいられるのさ!景くん!人とデーモノイドが融合してるなんて聞いたこと無いよ!!」


景「それもそうだが、あんな光景を見ちまった後にそんな驚くことでもないだろ」


桐夜「えぇ...肝が据わりすぎてるよ。」


それなりの付き合いのはずなのに相方の鋼の度胸に少しだけ引いたのだった。


庵「まぁそういうわけでな。なんでか知らんが俺は人として生きてるし、デーモノイドを喰う力が漲るのと、何だか満たされる感覚になるんだよなぁ。あんなに不味そうな見た目してるのにな!ははは!」


桐夜「それってさ、もしかしてだけど...」


とすこし言いづらそうに口ごもる少年に景は問い詰める


景「なんだよ?ハッキリ言えよ」


桐夜「うーーんと、その確証はないんだけどさ。デーモノイドを食べないとそのうち餓死しちゃうんじゃないかって...まぁでもその!漫画の中であった話にさ似たようなことがあっただけだから。そうかもなって」


景「兄ちゃん。ここ最近ほぼ毎日のようにデーモノイド食ったか?」


庵「え?まぁ...あそこまでデカいのはそんなにいねぇから、ちまちまとちっせぇのは喰ってたが..それがどうした?」


景は少し顔を下に向け腕を組んで深く考えた。


景「多分、桐夜の言うとおりかもしれねぇな。兄ちゃんほぼ毎日のように食ってたみたいだし。」


庵「え、えええええ!!マジッ!?俺デーモノイド喰わなきゃ死ぬの?!!」


景「かもしれねぇだけだが...試してみるか?絶食?」


庵「断る!!空腹で野垂れたくない!」


彼は確固たる意志を見せた。 その固い意志はまるで石のように硬い様子だった。


庵「まぁ話は変わるがよ、俺が何のデーモノイドと融合してんのかよくわかんねぇんだ」


桐夜「どういうことです?」


庵「いやな?デーモノイドってよ、それなりにおもむきというか。何かアンだよ。感覚的な感じで悪いけどよ。ほら!今朝の野郎たって鉄クズを好んで喰ってたろ?そういう感じでデーモノイドによっちゃあ何かしらの執着するものが存在すんのさ」


景「ほーーん、それで?」


庵「俺のってさ、さっきの姿でもわかるように全身なんとなく真っ黒だろ?だからさよくわかんねぇんだ。特徴がないっていうか」


桐夜「デーモノイドを食べるデーモノイド?いやでも他の個体でも共食いはするか...ニュースでやってたし」


景「まぁこの際兄ちゃんが何なのかはある程度わかったからいいとしても、この先どうすんだよ」


庵「エッ!まぁ〜なんだフラリとまた街にでも行くさ。そこでもしかしたら元の人間に戻れる方法が見つかるかもしれねぇしよ!」


景「クソッタレ魔術師共にいつか消されるだろそれ」


庵「えぇーーー」


そうして意外にも今後の動きについて、手をこまねいていると


桐夜「とりあえずさ、ボクが働いてる所に来ない?そこでさ仕事貰えるかもしれないしさ!」


庵「おおっいいねぇ〜〜〜そうしようぜーーー」


景「あーまぁそれも手か。くれぐれも兄ちゃん迷惑かけんなよ」


庵「うっさいはボケ!いらぬ心配じゃ!」


景「何だよその返しキメーぞ」


この時、桐夜はこのままでは長続きする喧嘩になりそうな二人を引き剥がし、庵を連れて行った。


ーーーーーーー移動中ーーーーーーーー

あの二人は今、工場に向かうための大衆蒸気機関車プラットホームに向かっていった。


桐夜「あそこの少し大きな建物の中にある蒸気機関車で移動するんだ」


庵「へー随分とまぁ立派で」


桐夜「まぁ大衆用だからね。それなりにはなるさ」


そうして駅に二人は入っていき、切符を買って汽車へと乗った。


庵「この列車なんというか...つまらんな」


桐夜「逆に何を期待していたのさ?移動用のただの道具なんだからさ」


庵「まぁそれもそうか」


走行している際によぎる景色、その様は無惨であり、軽快でもあった。景色として評価できるのは中心的な街の付近だけであった。故に汽車に乗る人々に「景色を眺める」なんて楽しみ方はない。


そうして目的の駅まで着いた二人はそこから降りたのだった。


ーーーーー工場ーーーーーー

怪しげな煙を吹いた工場、環境汚染の要因でしかないその様は嫌悪感を覚えるほどであった。しかし人々はもう慣れてしまい何の反応も示さなくなっていた。


???「よし、さてそれじゃあ勤務開始とするか!」


桐夜「あ!工場長すみませーん!」


工場長「あ!会堂お前!遅かったじゃねぇか!遅刻だ遅刻!」


桐夜「すみません!朝方家の目の前にデーモノイドがいて身動き取れなくって!!」


工場長「なにぃ?そいつは災難だったなぁ。よく生きて来られたもんだ。あ?誰だそこにいるあんちゃんは?」


桐夜「あ、工場長それでですね。この人稲國 庵という方なんですけど今日だけでもここで働かせてくれませんか?」


工場長「おう!勿論だ!うちは年中人手不足だからなぁ。何時でも新人は歓迎だぜ」


庵(貧民が多いのならそれなりに働き手は多いものだと思うが、違うのか?)


そう、確かに庵の思うとおりである。しかし現状のこの工場もそうだが、ここら近辺は人口の減少と住民の移住が重なり、人手不足が少し目立っているのだ。だがこれは一時的なもので人はまた増える。そう増えに増えるものだ。どこでもそうだが一番安い歯車こそが人間なのだ。


工場長「それじゃあ、よろしく頼むぜ。あんちゃん!まずはそこのレーンの作業を...」


庵「あぁ....ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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一方その頃、景は配給所に向かっていた。


景「たくッどうにもこうにも訳の分からねぇ事に巻き込まれたもんだ。」


景(にしても、今朝のやつは野良だったのか?もしかしたら本当にクソ魔術師共の飼い犬だったのか...?)


すると背後から景を襲う影が迫る。景は何かに勘づき振り向き


景「!?てめぇッ!ウグッ!!!ガッァァ............」


???「良い器になり得る母体だ。グリモワールとの契約をさせよう。」


???「今回こそ、に成ると良いが...ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第6房 完


感想をお待ちしておりますぜ!よかったら、レビューお願いいたしますね!!


次回予告 哀傷のメオト

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