第5房 demons memory [初陣]
前回のあらすじ
夢から覚め少年たちと別れようとしたその時!外にデーモノイドが出現!
唐突に現れたデーモノイドにたじろぐも逃げようとする少年たちに対し倒してみせると啖呵切った主人公は颯爽と向かってしまった。
はてさて主人公は無事なのか!?
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「それにしてもよろしいのですか?」
若い魔術研究員らしき男が初老の男に話しかける。
「何がだ?」
その問いかけに対し、理解っていながらもあえて聞く初老の男
「あのようなものをいくら貧民街とはいえ、解き放つとは」
「構わない。所詮はとるたらぬ蛆のたまり場だ」
そう初老の男は冷めた声で答える。同じ人としては見ていない様子だ。
「それに、連日報道されていた。実験体97号が野良デーモノイドに殺されたそうではないか?」
「はい。その件については現在調査中です。しかし、あれは中々な成功体でした。それを殺したのが野良とは考えにくいです。もし野良ならば今になって姿を表したのは妙です。他の魔術師に寄る妨害等の可能性、こちらよりも強力な個体を保有している者たちによるものかと。」と若い男性は饒舌に答える。
それに対し初老の男性は若い男に手のひらを差し向けて口を挟む
「ふふふ。分かっていないな君も。」
と怪しげに笑う初老の男。それには確固たる確信があるという様子
「デーモノイドは、何もすべてがああいう化け物じみた姿をしているとは限らんのだよ。......人間そのもののようなやつだっているのさ。ククク...」
と答えた初老の男性に対しものすごい驚愕の顔を向ける若き男
若干興奮気味で若き男は初老の男に疑問を投げかける
「そ!そのようなことは聞いたことがありません!いったいどいう...」
そこまで行ったところで初老の男がまた手を向けて手を閉じる動作をする。
まるでオーケストラの指揮者が曲の終わりに手を握るかのように。
「そう興奮するな、あくまでこれは噂だ。随分と思わせぶりな事を言ってしまったかな。だが私はこの噂を噂とは思っていないよ。」
「そ、それは如何にしてですか....?」
「それはね.....ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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悪夢を見た昔という悪夢を、だが今は昔という悪夢をまた見ないといけないらしい。
憂鬱だ、ああ憂鬱さ。いつも....そういつも。だが今は意義がある。だから少し楽さ
庵「さーてと、ようこのクソ野郎!」
と言葉が伝わるはずのない鉄くずを食べている化け物へ挨拶という啖呵を切る。
庵「あんまりさ、あれで戦うのはよ。ああそう嫌いなんだがまぁお前たちみたいなのと戦うにはやらなくちゃいけないんだよ。」と化け物に愚痴をこぼす。
流石の化け物も庵の存在に気がつく。それはまんまと姿を表した餌に対してだろうか
食うのをやめ庵に対し不快感か優越感をあらわにして狙いを定める化け物。随分と食べたのだろう体の一部が食べた鉄くずで出来始めている。
庵「まぁでも、そろそろ覚悟決めるぜ....デモンズダイド」ーーーーーーーーー
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少年が激しく走る全力で階段を駆け抜け廊下を駆け抜けた。
桐夜(庵さんを助けなきゃ!でも僕に何ができるんだろう...何も出来ないしむしろ犬死にするだけだろうな。でもいやでも...何してるんだろなボク)
そういう迷いと覚悟が少年の脳に駆け巡る。迷いに迷っても体は走り続ける。
そのざまは動物的な本能と言い表してもいいだろう。
その迷いが終わることはなく少年は庵の姿を視覚できる位置までついた。
桐夜(庵さん!....!!!!)「はぁはぁ.....ぁ!ぁぁ...はぁはぁ..aaa」
声が出ない。そう全力で走ったため少年は声が出せなかった。
少年は必死に自らの呼吸を整えようとしたのも束の間、庵に異変が起きる
庵「....デモンズダイド」
そう聞こえた瞬間、彼の体の周囲にあった小石が気の所為だろうか浮き上がり、彼の形をした影が蠢き、彼の体に黒い模様が湧き上がり、全てが闇に飲まれた瞬間
彼はもうどこにもいなかった。そう彼の形をしたものはどこにも....そう彼の形をしたものはだが。
彼ではない何かがそこに立ってはいたが...それが庵なのだと桐夜が確信できる要素が唯一あった。それは赤い半袖のライダースーツである。
それをあの何かが着ていたからである。その何かは250cmほどの背丈で人の形をしているが真っ黒で光を通さないような深みを帯びていた。
そのかすかに見える横顔からは紫色の眼光が垣間見えた。
庵?「行くぜ....クソ野郎。喰われる覚悟はできたか?」
そう言うと化け物は「ぐあああおあおあおがあっっがああ!!」とけたたましい声を荒らげだし庵?に襲いかかる。それは怒りか恐れか、少年には分からなかった。
庵?は右腕を横に広げ手を大きな鉤爪へと変化させて化け物に反撃する。
庵の攻撃により化け物のたくさんの手や足が傷つき、その中には切断されたものもあった。
化け物は「げりゃいいああああぎゃああ!!」と情けなさも感じる悲鳴を上げた。
庵?「この程度でその喚きよう...”ランドグレイブ”クラスか?」
デーモノイドの強さの基準は爵位によるクラス分けが主にされている。
ちなみにランドグレイブは下から三番目である。
庵?「まぁいい、このまま喰わせてもらうぜ」
そう言うと庵?は一瞬で化け物の後ろに回り込み、両手を化け物の体に突き刺し吸収し始めた。化け物は「ぐぎぃやああががあががあがああ」とジタバタと抵抗するが、間もなく綺麗サッパリ飲み込まれた。
あのデーモノイドがこうもあっさりと倒されるとは正しく衝撃的な場面だった。
景「嘘だろ...」
いつの間にか桐夜の背後に景が立っていた。目の前の光景に呑まれていたがために気づかなかった。しかし、もはやそのようなことはどうでもいい。今目の前にいる存在が庵さんなのかそれとも実は違うのか。ただそれだけだった。
すると吸収し終えた庵?に取り巻く闇や全身を包む闇が引いていき、そこにいたのは僕達が知る庵さんだった。
桐夜「えっと庵さん?ですよねあの姿。そしてあの化け物を飲み込んだのって」
そう桐夜は聞いた。聞くべきだったのだろうか、いや聞くしかないだろうアレは...アレを目にしては聞かぬものなどいるまい。
景「兄ちゃん...アンタ人間なのか?」
場合によっては地雷にもなりうる発言をしてしまう景
庵「ああまぁな、それについては俺も気になるところだが一応人間だと俺は思っているぜ。」そう曖昧に答える庵
本来目の前にいる男はあのデーモノイドを倒してしまえるような存在。デーモノイドより強い、いや危険と言える存在を目の前にしているにも関わらず二人は昨日までの庵を知っていたがために不思議と怖くはなかった。
景「まぁなんだその、いっかい部屋に戻って話聞かせろや」冷静に言う。
桐夜「えっとうんそうしよう?」少し小さめに言う。
庵「ああいいぜ」当然かのように言う。
景「あ!オメー桐夜テメー!何急に飛び出したかと思えばデーモノイドのとこまで行きやがって!バカにもほどがあるぞ!」と思い出したかのように怒る。
桐夜「あっぃやそのぉ〜ゴメン」と思い出し申し訳無さそうに謝る。
庵「そういやオメーあとからなんか来てたなそんなに俺が心配だったかぁ〜?」と冗談めかした感じに言う。
桐夜「あははまぁいやそのははは」と少し笑う。
景「な~に笑ってるんだお前は!」と怒り桐夜の背中を叩く
桐夜「あ!痛ったー〜〜い」
という声と少しの笑みをこぼしながら三人は部屋へと戻っていく。
第5房 完
次回予告 始まりのゴングが暗闇の中で鳴る
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