第36話いざ、北方大聖女祭へ

 吾輩は人である。

 名はホモ・サピエンス。


 吾輩は嵐のようにやってきた魔王ベルに対して、結局これ以上情報を得ることが出来ずに去られてしまった。


 吾輩はそして結局のところ、今いる屋敷から動けずにいた。


 ピーチが結局誰かに拉致されているようだが、現状自分で自分を拐っているように思える。


 そんなのを探しに行って見つけたからといって、それでピーチが思い描いている作戦を邪魔したらまずいと感じたからだ。


 そしてラチケット一門といえば、吾輩でも知る拉致を生業とするダークエルフの一派だ。

 彼らが本気を出したら止めることなどできないし、なによりリナちゃんが一緒に行動しているのであれば、ピーチが拉致られたとしても酷い事にはならないだろう。非常に不安だがたぶん――


 そうこうしている次の日、手紙が届いた。


 簡単に言うと「ピーチを攫った。返してほしくば大聖女祭りに参加しろ」という勇者からの内容だ。


 筆跡を《鑑定》スキルで見ると勇者の筆跡ではないようだが。


 臭いで《鑑定》スキルを見るとわずかにピーチの臭いがする。


(おそらく、ピーチも吾輩に大聖女祭りに出ろという意味なんだろうな)


 ということは、派手に暴れろということか?


 ピーチも《鑑定》を持っている。ということを我輩に知られている、ということを知っている。


 ということは、吾輩が婚約破棄の代償として聖女約100人のおっぱいを揉みくだし、レベルがカンストしていることを知っている、ことを知っているハズ――


 つまり優勝しろということか。


 まったく、相手は勇者だというのに、おっぱい揉みくだし師に何をさせようというのか。


 しかし、結局魔王ベルは何しに来たのだろうか。


 あぁ、魔王集会ワルプルギスのことであったか。


 あっちも考えないとまずいな――

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