第2話  3人目と4人目の私

 うるさいなぁ、ここは。

意識が覚醒すると、私はゲームセンターにいた。

女子中学生の制服?髪がやたら長い。

場違いな感じ。ここで私は何をするんだろう。


 私はすぐ裏にある女子トイレに向かった。

端の部屋から声が聞こえる。

煙と匂いが充満している。タバコでもなさそうだ。

私はポケットから小さなスプレーを出して、

部屋の上に噴射した。

静かになったので、トイレを出た。


 ゲームセンターの前は駐輪場で向こうの橋に、

いかにもグレてる感じの女の子が二人で私を睨んでいる。

私はすぐに目の前の自転車を押し倒した。

将棋倒しがあまりの速さだったので向こうの女の子二人が、

慌てて後ろに飛び退いた。車が急ブレーキをかけたが、

はねられた。やがて人が集まってきて大騒ぎになるだろう。


 その場を離れて駅前の通りを歩いて行くと、

髪の長い大人しそうな少女が不安げに歩いている。

私は彼女のいく手を塞いで小さな声で話しかけた。

「あんたの学校の生徒がなんかトラブったみたいだよ。

仲間だと思われたらややこしいから、帰りな。」

 一瞬間が空いた後、彼女は走って駅の方へ戻った。

私は生活指導?風紀委員?番長?

 私も女子中学生なら、早くこの場から消えなくては。

ふと焦点のガラスに映る自分が見えた。

美少女・・・可愛い・・・。

ずっとこれがいいなぁ・・・・・・・・。

 

 寒い・・・・とても寒い。

何処?港?歩けないほど体が弱っている。

思わず座り込んだ。

「大丈夫ですか?手を貸しましょうか?』

見上げると裕福そうな初老の紳士。

「寒くって・・・足が・・』

「ここでその服装は危険ですよ。

地元の人じゃないのかな?」

私が震えていると、優しく肩を抱いた。

「誰か知り合いでも?」

私が黙って首を振った。

「何処のホテルですか、送っていってあげよう。

それえともまだ宿は決まっていないのかな?」

「助けてください。お願いです。

私は移民なんです。ちゃんとした手続きで。

違法ではないはずなんですが、なぜかここで

放り出されてしまったんです。」


 私は持っている登録したカードを彼に見せた。

「マリア・・・・・さん・・・かぁ。」

そして改めて私をじろじろとみた。

「何歳だね。」

「43歳です。」

『家族は?」

「夫は死にました。子供はいません。

誰も頼れないんです。助けて。」

「そうだな、それじゃ、とりあえず私の所へ

来るかね。そこでゆっくり考えればいい。」

「ありがとうございます。何でもしますから、

よろしくお願いします。」

 初老の紳士が少し微笑んだ。


 今回は長期に渡るミッションらしい。

展開が遅い。この爺さんも気長な性格らしい。

1週間が経って、屋敷の家政婦になった。

他にも5人いるらしい。全員住み込みだ。

家族は奥様だけで、元気だがボケている。


 爺さんと親密な関係になったのは3日目だった。

でも何も起こらない。キースの時以来の長丁場。

爺さんは他のお手伝いのことなど気にもせず、

私を可愛がった。

気のせいか若返っているようでさえあった。

奥様には全力で優しく世話をした。良心の呵責ってやつ。

 次の日に家政婦の一人が出ていった。

10年以上勤めていたらしいが、急にやめると決めたらしい。

多分私のせいだ。

玄関を出る時に、私をみた目つきは驚くほど憎しみに満ちていた。


 今回はなぜこんなに長いのか。

爺さんは私を可愛がって入るが、愛してはいない。

この小太りの愛嬌のあるマリアを・・・・。

さらに1週間が過ぎた。

爺さんは年甲斐もなく毎日のように私の体を貪った。

そしてこういうのだ。

「私は罪深い事をしている。妻にどう説明すればいいのか。」

そしてある日急に私は出て行く事を決めた。

「さようなら。優しいあなた。」

「頼む行かないでくれ、寂しすぎる、頼むから。」

「もうこれ以上は駄目。噂になり始めているわ。

ここまでよ。」

「何処へ行くんだ。行き先を教えてくれたら・・・」

「だーめ。おしまい。じゃぁね。

あとね一つだけ忠告しておくわ。」

 別のの古株の家政婦が屋敷の中で盗みをしている事を

教えた。そんな事を私も知らなかったが。

 やっと終わった、早くここを離れたい。

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