第二部 黄金の郷にて
71.第二部プロローグ 赤鎧の騎士
「貴様ら亜人がなぜ劣等種と呼ばれるのか分かるか。努力を知らぬからだ!」
赤鎧を身に着けた男は、俺たち、ドワーフたちを前にそう断言した。
「どうして真っ当に努力ができないのか理解に苦しむ……。我らがこんなにも無償の善意をそそぎ、努力の価値を教えているというのに!!」
「善意、また善意か! お前たちはいつも善意善意と勝手に……!」
「シズク、落ち着け。相手の話に飲まれるな」
シズクを制止しつつ、男が目を剥きながら熱弁したことを反芻して俺は「ふむ」と頷いてみせる。
なるほど努力は大事だ。何事も最後にものを言うのは積み重ねた鍛錬に違いない。
「なかなか良いことを言うじゃないか。こなした数こそが生きる力だよな」
「ふ、ついに身の程を理解したかマージ=シウ。今さら歓心を買おうなどと――」
「いやいや、他意はないさ。ただひとつ聞かせてくれ。お前はその努力とやらのために、何人のドワーフ族を『使った』?」
「貴様は素振りの回数を帳簿につけるのか? そのような努力は形骸化して本末転倒。努力とはもっと崇高で無我なものだが……。まあ、一〇〇〇は下るまいな。目玉にすれば二〇〇〇個か」
「そうか、一〇〇〇人か。お前はそれだけ『借り』があるんだな」
ならば、と。
俺は赤鎧の騎士に右手をかざした。
「――【阿修羅の六腕】、起動。返す『努力』を始めようか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます