第45話 種明かし

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*      *      *


 パトラと同じ部屋で少しの時間過ごした後、俺達はモロンさんの部屋へ迎えに来た


「どうしました? ジュノさんの部屋にいつ行こうか悩んでて...」


「ごめん予定が変わった。勇者もこのホテルに泊まってる事が分かったからモロンさんも一緒に...」


「わかった、僕も応戦するよ!」


「頼もしい限りだよ、ただ魔法で部屋ごと吹っ飛ばさないでね...修理代の金ないからさ...」


「ここにきてお金の心配なの? 全く緊張感無いよねジュノは」


 俺の発言にパトラは呆れた顔でツッコミを入れる。

 もう見慣れたなその顔も━━━


「緊張して身体と思考を硬直させても良い事無いからね。まああっちの方はさっきまで硬直してたけども」


「余計な事言わなくて良いから.../// 行くよ!」


「え...それってどういう...」



 俺達は分身が居る勇者達の部屋へ向かった━━━



*      *      *



 俺が部屋に入ると静寂に包まれたリビングには壁や床が血に染まっていた。

 その中では片腕を引きちぎられて倒れているリーゼと頭から血を流し気絶しているエレナの姿があった


「ううっ...腕が...エレナ...回復魔法を...!」


「......」


「あらら...俺の手配したコンパニオンがずいぶん盛り上げてくれたようだね。ただ同性には厳しかったかぁ」


「アンタ達は...」


「ルームサービスさ、アイドルグループを脱退したモロン元メンバーと研修生2人のトリオで来たよ。お前らは後でレッスンするとして...愛しのリーダーはどこかな?」


「アレは...アンタが仕組んだのねこの化け物...! 大人しく私のモノになってればこんな事には...」


 リーゼが俺に殺意を込めた目で睨みつける。

 その目を俺は今日何回見たんだろうな...子供の頃は想像もしてなかったよ━━━


「その化け物に先に手を出したのはそっちだろ? 因果応報ってやつさ、さてと勇者は...」



 辺りを見回すと寝室から勇者の声が漏れている━━━



「何この声...悲鳴?」


「僕...とても嫌な予感が...」


「...2人はそこで待っててくれ」


 俺は2人に来ないように促し寝室へ向かうと先程よりも呻き声が大きくなる━━━










 ガチャッ━━━












「ああああああっ!....ジュノちゃん!...パトラ? ...ジュノちゃん...? もうわかんない...ジュノちゃん凄いよぉ...ああああもう僕は...うああぁぁっ...!」


「おいおいマジかよ...感覚遮断しといて良かった...うぇぇっ...」



俺の目に映ったのは勇者の上でヤツを見下すように淫らに腰を振っている俺の分身。だがそれはパトラの姿ではなく俺が女になった様な姿に変化していた━━━



「ジュノちゃんジュノちゃん...! 僕はもう...あへ...あぴやひあかぐるぴぐへへっ...あひっ...! ウ゛ォ゛ア゛ォ゛ヒ゛ェ゛ア゛ァ゛ッ!」


 勇者の見た目や言動は悲惨なもの変わっていた。

 女体化した俺の分身によってめちゃくちゃにされたのか下半身は血まみれになり、腹の皮は剥がされベッドに転がり内臓が剥き出しになっていた。

 それでも勇者は壮絶な痛みが全て快楽に変わっているのか白目になりながら叫び続けていた


「えぇ...俺の床上手スキルってこんなにエグかったのか...ていうかアイツ女の俺がタイプなのかよ...」


 俺のスキル《大淫婦ノ性技床・上・手》は相手が心底で望む形に変身する事ができる上、人間の許容を遥かに超える性技で痛みも苦しみも全て快楽に変え強烈な依存与えて廃人同然にするスキル...


 という事がたった今判明した━━━



「何アレ...女の子のジュノめちゃくちゃ可愛い...。でもなんか色々複雑...」


「勇者ってああいう見た目が好きなんですね...僕ショックです...ジュノくんに」


 背後からさっき制止させたはずのモロンさんとパトラがその惨状をドアの隙間から一緒に覗き込んでいた


「お前らなに勝手に見て勝手にショック受けてんの!? 当事者の俺が一番複雑だしショックなんだからな! ちゃんと野菜食べてくる...」

 

「食べなくていいから。私...あのスキルをやられなくて良かった━━━」


「えっ...?」


「はぁ...とりあえずあのクズを正気に戻ないとな」



 ━━━零


 俺の分身は消えてベッドに残されたのは悲惨な姿の勇者だけになった


「あれぇ...ジュノちゃん...ジュノちゃんは!? ああああ....ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」


 ズシャッ...!


「ア゛ア゛ッ....うべっ...!」


「おい、テメェに気が狂ってる暇なんて無えんだよ...クズ勇者」


 発狂している勇者の目を覚まさせるために俺は耳を引きちぎりその耳元に囁いた


「うひっ...! おま...え...ジュノちゃんじゃ...」


「ジュノ"君"だよ、確認のために今から下脱いでみるか? 快楽はまだ残っているようだが少しは正気を取り戻したみたいだな。こっちに来てもらおうか━━━」



 *      *      *



 俺は血まみれの勇者を引きずって残りの2人が揃うリビングに放り投げた


「3人ともプレイのヤリ過ぎでクタクタだね、誰も戦う力は残ってないな。しかし勇者サマって女になった俺がタイプだったんだな...ストライクゾーンの広い性剣だよおぇぇっ!」


「アンタ...勇者様になんてことを...! こんな事許されると思ってるの!?」


「そうだ...僕に...手出しをしたら...君は死刑だ。こんなことをして良いと思ってるのか...!」


 コイツら血だらけなのにホント元気だな。

 まあいい...元気なのも今だけさ━━━


「残念、国王にこれを聞いて貰えばそんな法律すぐに取っ払われるさ━━━」


 俺が魔石を取り出し発動させると先程の会話が全て再生された



「貴様ぁ...僕を嵌めたのか...!」



 全てを聴き終えた勇者は怒りの顔で俺に向かって子悪党が言いそうなセリフを放つ


「バカ言うなよ。ハメたのはお前の方だろうが」


「クソッ...!」


「騙されてくれて助かったよ勇者君、これを聞かせればお前らは確実に王都で裁かれるな。恐らく魔神を倒したら民衆の前で即刻死刑だろう...だがそんな簡単に死なれたんじゃ俺達は納得しない。だからここでお前らを存分に私刑した後に国王の元へ引きずり出す」


「なんだと...貴様は俺になんの恨みがあるうぶぇっっ!」


 俺は勇者の顔面をぶん殴り床に叩きつける。

 激しくバウンドした勇者の顔面は再び骨が砕かれ悲惨な骨格になっていた


「あんまり汚ない声でしゃべるなよ。死んだ方がマシと思えるくらいのSMプレイでお前を昇天させるぞ」


「なん...だと...!」


「それと俺になんの恨みがだって? お前には恨みしかねぇんだよ俺達はな...」


「どういう意味だ...」


「パトラはお前がキメラの実験を主導した村でそのキメラに母親を殺された。だがそれだけじゃない...その母親を殺したキメラはパトラが慕う女性だったんだ。パトラはお前のエゴが生んだ被害者の1人なんだよ!」


「そんな...バカな...」


「ジュノの言う通りだよ。母とルシア姉の仇であるアンタ達を討つために私はジュノと一緒に行動してきた...勇兵団に入った事を死ぬほど後悔しながらね! それにモロンさんもアンタが相当痛めつけてたんだよね」


「うん...掛けられた魅了が解けてから僕の事を痛めつけて犯しての毎日だったよね。更には君の罪を全部僕になすりつけてさ...もう忘れちゃった?」


「待てモロン! アレは...僕の...僕なりの愛情表現なんだ...分かってくれよ!」


「は? 愛情表現? それなら今から皮を全て剥がして半殺しにする事も愛情表現で問題無いよね? 僕は体に残った傷を見るたびに思い出すんだ...魅了のせいで君に処女を奪われた挙句それを喜び奉仕した毎日、そしてその後の暴力を。僕は君を絶対に許さない! ジュノくんとパトラちゃんに出会えて本当によかったよ...」


 俺たちの勇者に対する発言に我慢できなかったのかリーゼが口を挟んできた


「アンタ達...黙って聞いてれば勇者様に向かって何を! 特にモロンは勇者様への恩を忘れたの!? 私は絶対に許さないから...!」


 

 哀れな女だよリーゼ...この期に及んでクズを庇うなんて━━━


「絶対に許さない...ね。後でその言葉を後悔させてやるさ」


「私に後悔...? そんなものないわ!」


 俺のセリフが癇に障ったのかリーゼは語尾を強めて敵意を剥き出しにする



「言ったな? その言葉に責任持てよ。魅了によって腐ったその目を後で覚まさせてやるから待ってろ...」


「待て! そんなことさせない...リーゼは僕のモノだ! それに僕の意思がなければ解除できなっ...ク゛オ゛ェ゛ッ!」


 俺は勇者の顔を壁に擦り付ける。

 痛めつけられて鬱血した顔の皮膚は脆くなっていたのか簡単に皮が剥がれ筋肉の一部が剥き出しになっていた


「汚ねぇ声で喋るなって言ったろ? 顔面スムージーにするぞ。俺は最近力の加減が出来ないんだ」


 勇者は目をチカチカさせながらタラコのように腫れ上がった口を何とか動かして抵抗する


「はひ...くしょぉ...リーゼは...かいじょさせない...」


「なぁ、お前の頭の中はマシュマロか? 俺の分身にヤられてる時点でお前は俺の魅了に依存状態なんだよ。俺が指を鳴らせばリーゼの魅了は簡単に解除され2度と掛ける事は出来ない...お前の慢心と油断が導いた結果だ━━━」


「バカな...ぼくは...」


「バカなのはお前だよ性なる勇者。俺には手に取るようにわかる...お前の頭には女体化した俺が焼きついて離れない事が」


「そ...そんなこと...ない...」


「無理すんなよ...そして今日限りでリーゼもお前の元から独立だ」


「やめろぉ...ぼくには彼女たちがひつようなんだ...たのむ! このとおりだ!」



 人類の英雄であるはずの勇者は剣術も加護もスキルも使わず血を撒き散らして頭を床に擦り付け許しを乞う━━━

 

 

「今まで肩書きに胡坐をかいて魔獣や魔神を倒そうとせず、弱い人から愛する者をスキルを振り翳して散々奪って殺してきた癖に立場が逆になると簡単に土下座か? 復讐相手がこんな小っちゃいヤツなんてこれ以上俺を失望させないでくれよ...」


「いや...ぼくは...」



「お前はこれから地位や名声や愛する女、そして健康な心体全てを俺に奪われるんだ。そんな結末を迎えるお前にこれを渡す時が来た...受け取れ」



 俺は手紙が入った赤い封筒を勇者に投げつける



「なんだこれは...」





 勇者が広げたその手紙の中身は━━━



『拝啓クズ勇者様。今から報復に向かいます 



                フェル 』



「お前......!」


「もしかして...アンタ...」







「やっと分かったか......そこに書いてある差出人の正体。フェルはこの"俺"だ━━━」

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