第14話 疫病神
「勇兵団二番隊隊長パトラがお前を処刑しに来た! 姿を現せ!」
アイツが勇兵団の隊長...だがもう1人は誰だ? 女か?
俺が疑問に思っているとそいつは被っていたフードを捲り上げた━━━
「嘘だろ...」
「アンナ━━━」
「アンナって...間違いないのか...?」
ルークはフードを捲った女の方を見て呆然としている
「間違いない...間違えるもんか! アンナは生きていたんだ! ジュノはそこで隠れていてくれ...俺はアンナの元に━━━」
ガイルは確かに殺したと言っていた...それが何故生きている?
「待てルーク! 何か嫌な予感が!」
ルークは俺の言葉を無視して涙を浮かべアンナと思われる女の方へ駆け寄る
「アンナ...生きていてくれて良かった! てっきり俺はお前がガイルに殺されたと...本当に良かった!」
ルークは涙目でアンナを力一杯抱きしめる。
その光景を見ていたパトラはルークに問いかけた
「アナタはこの者の知り合いなのか?」
「ああ...アンナは俺の妻だ!」
「ルーク━━━」
「さぁ俺たちの家に帰ろう...2人でまた暮らそう...」
ルークの呼びかけにアンナは答えるがその表情は機械的だった。
しかしルークはその事に気付いていない
「ルーク━━━」
先程の予感が的中するようにアンナの体から黒いオーラが放出され━━━
グシャッ....
「さよなら━━━」
「なん...で...」
肉に刃物が刺さる音が微かに響きルークはその場に倒れ込んだ。
「おい貴様何を!」
アンナが起こした行動に驚く赤髪の女
「ルーク...うっ...あぁぁぁ...」
アンナはそう呻きその場に倒れた
「ルーク!!」
俺は瞬間移動でルークを回収し物陰に身を隠す
「っ! 男が消えた! どこへ行った!?」
パトラは倒れたアンナを抱え困惑の表情を浮かべて辺りを探す。
しかし魔術を発動せず魔力も使わない俺を簡単に感知することは出来なかった
「悪い...助けてもらったのに...また...」
「おい...おいルークしっかりしろ! 今治してやるから!」
ルークの脇腹から大量の血が流れる。
それと同時にルークの身体から淡い光が溢れ始めた
「なんだこれは...零━━━!」
俺は力を発動させ傷を瞬時に塞ぐ。
しかし何故かルークの生命力が元に戻る事は無かった。
まるで手元から命がすり抜けるように...
「何故だ...傷はもう消えただろ...? ルークしっかりしろ!」
「...ジュノおかげでアンナに...最期会えたよ」
そして白い光は少しずつ弱くなりルークの呼吸も浅く弱々しいものになる
「最期なんて言うな! せっかく再会できたんだろ!? アンナさんと2人でまた暮らすんだろ!?」
「良いんだ...もう良い...ジュノありがとう...」
「何も良くない...恋人にやられたら世話ないだろ! お前の恋人は何かがおかしかった...それを俺が突き止めてやる! だからそれまで━━━」
ルークは俺の顔を手で近づけて言葉を遮る
「いや...お前の重荷になるのはごめんだ...お前は自分の...を...」
ルークの目は徐々に力強さを失い
「アン...ナ...愛してる...」
俺の頬に当てられた手は地面に落ちる。
身体から放っていた光は天へと消えた━━━
俺はルークの遺体を床に置き扉に向かって歩き出す。
その先では赤髪の女が俺に気付き周囲にいた人にアンナを預けてコチラに向かって来た
「君がガイルを倒した銀髪か...?」
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