第4話
――五月三日 22:37――
「虎太郎、起きてるか」
「兄ちゃんお帰り。遅かったね」
「ただいま。みんなで飯食ってきた。ホウライ軒って所のラーメンめちゃくちゃ旨いぞ」
「なにそれ、いいなあ」
「店長若いのにちゃんとしててさ、オヤジさんの味を再現するために大学通いながら勉強したんだって。俺そういう話に弱いんだよな」
「はは、兄ちゃんらしいね」
「虎太郎もバスケ頑張ってこっちに来いよな。やっぱ強豪校は違うぞ。みんなバスケのことしか頭にない。だから楽しいし練習も気合い入るよ」
「僕も若葉高校行けるかな。背もまだあんまり伸びないし六年生には叶わないよ」
「お前ならやれるよ。将来は兄ちゃんと一緒のチームに入るんだろ? 六年生だからとか歳がどうとか言ってらんないぞ」
「うん」
「そうだ、昨日あれから兄ちゃんお米を炊いてみたんだぞ。やっぱり食生活は大事だからな」
「えー、兄ちゃんご飯も作れるの?」
「バカ、お米を炊飯器で炊いただけだよ。おかずは近くのスーパーで買ったお惣菜」
「なんだあ」
「コンビニ弁当よりはマシだろ。あ、味噌汁くらいだったら作れるぞ」
「本当に!?」
「ああ、虎太郎も一人暮らししたらそれくらい出来るようになれよ」
「兄ちゃん、僕まだ五年生だよ」
「はは、まだお前には早かったか」
「早いよ。でも早く兄ちゃんに追い付きたい」
「そうだな。俺も早く虎太郎と一緒にバスケやりたいよ」
「うん! あ、うちは今日はね、カレーだったよ」
「カレーかあ、お母さんのカレー食いてえな」
「お父さんまたおかわりして怒られてたよ。食べ過ぎだって」
「はは」
「今度僕と一緒に走るから大丈夫だよとか言い訳してた」
「おう、たぶんそれは口だけだな、父さん」
「兄ちゃん、僕眠くなってきた」
「ああ、俺も明日も朝から練習だからな。虎太郎もだろ?」
「うん、土日と祝日は練習」
「しっかり練習しろよ。なんでも基本が一番大事なんだからな」
「わかってるよ。兄ちゃんも頑張ってね」
「ありがとう。じゃあまた明日な虎太郎」
「うん、お休みなさい」
「お休み」
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