≪第三章≫

 ★第三章



 ・(…………綺麗だ。この姿、まるで——)


 純白のドレスを着たイリアを見て、ルーカスが何を思ったか。

 この言葉の後に続くのは「花嫁衣裳みたいだ」です。

 ご想像にかたくはなかったと思います。

 お母様ってば、無茶ぶり。




 ・二人を繋ぐ歌「女神のゆりかご」


 ええ、盛大なネタバレが含まれてました。

 この時点で歌詞の意味を紐解ひもとけた方はいらっしゃらないでしょう、恐らく。

 解説して行きましょう。



 『いとし子(人々)よ お眠りなさい(安心して生きなさい)

 

 マナのゆりかごにいだかれて(マナの満ちるこの惑星ほしで)

 

 闇(魔神の脅威きょうい)をはらえ 神秘の風(アルカナを持つ使徒)よ

 

 きらめきがあなた(人々)を照らすでしょう

 

 いとしい子(女神の使徒)らよ 涙(哀しみ)をすくって(減らして、あるいは、救済して)


 この体朽ち果てようとも(女神様の御身の事)


 とおの輝き(宝珠セフィラ)が世界を包む(守る)でしょう


 いとし子(人々)よ お眠りなさい(安心して生きなさい)


 私の愛(マナや恩寵おんちょう、ゆりかごのシステムをひっくるめて)が 満ちる(そして守る)世界で』




 ・ノエルの瞳、灰簾石タンザナイト


 リライトで主要キャラの色の比喩を出来るだけ統一した時に決定。

 灰簾石タンザナイトは見る角度や光の種類によって色を変える宝石。

 表と裏、仮面を使い分けるノエルを表しています。




 ・露店ろてんでルーカスがイリアへ贈ったブレスレット


 好きな人と同じ物、同じ色は身に着けたくなりますよね。




 ・イリアに接触してきたノエル


 姉さんと連呼してますね。

 何故、記憶を揺さぶる真似をするのか。

 命の危険があると認知してないからです。だってこのオプションはアインが勝手につけた物ですから。




 ・姉さんの姿でそんな事、悪趣味にも程がある。


 不穏③「そんな俗物ぞくぶつな考えなど持ち合わせていない」

 と同様に、ノエルがイリアに向ける愛、親愛を越えた異性への愛である事を否定した言葉。


 なんですけど、本心は……。

 禁断の愛です。

 女神の血族は近親婚が普通だったが、世間一般ではノーとされている。

 ノエルはそれを理解しているし、姉が自分へ向ける感情が一致しない事もしっかり認識している。

 だからこその言葉なんですよね。


 「僕が願うのは姉さんの幸せ。ただそれだけだよ」と語っているように、愛から成る否定です。




 ・宝石に例えられた主要人物の瞳


 ノエルの瞳でも語りましたが、リライトで定めたところ。

 宝石言葉もなるべくその人物に合う物でチョイス。

 全部語ると膨大な量になるので、一部をここでご紹介。

 

 ルーカスらエターク王族。

 柘榴石ガーネット=真実、情熱、友愛、繁栄、実り、変わらない愛情、友情、忠実さなど。


 アイン/ロードクロサイト=情熱的な恋。本人、かなり歪んでますけどね。


 ツァディー/紫黄水晶アメトリン=調和。


 アザレア&ナビアの女王/曹柱石マリアライト=自立、癒し、問題解決、達成。




 ・「聖下。彼女の〝盾〟はどうしていますか?」「……何の事だ?」


 ノエルはイリアの盾、フェイヴァの存在を知っていたのかどうかですが、勿論知っていました。

 愛する姉の事ですから、知らない訳がない。




 ・母上の暴走


 いつもの事です。公衆の面前でルーカスはとんだ災難ですね。

 ユリエルさん、初期の設定では厳格な貴婦人だったのですよ。

 それが蓋を開けてみれば吃驚仰天びっくりぎょうてん

 どうしてこうなった。




 ・飲酒。ハーシェルの余計なお節介


 悪気はなかったんです、ハーシェルも。

 楽しく飲みたかっただけ。

 プライベートをあまり話そうとしないルーカスの落度でもありますね。




 ・ルーカスの暴走。やらかした


 実はですね、ハグに留まらず危うくキスするところでした。

 想いも伝えてないのにそれはまずい、やめてくれ!

 ……と説得を繰り返しました。


 尚、二回目の暴走では……。




 ・不穏⑤、ジョセフの言うあれやこれ


 アレ=宝珠セフィラ

 スペア=神聖核コアとなれる可能性のある女神の血族の女性

 至高のお方=【女教皇】を宿し人身御供の生贄となれるから

 お役目=子孫残して


 ノエルも言ってますが、くずですね。




 ・アイゼンが思いを馳せた〝あの時〟


 妻オリビアが神聖核コアとなった時の事です。




 ・「ああ、それと」


 ディーンが言いかけた言葉。

 この時、イリアの補佐官〝太陽の御楯みたて〟フェイヴァと邂逅していて、それを伝えようとしたのですが、直後異変が起きたためタイミングを逃しました。




 ・(赤、緑、茶色、子供——。

 盾は……私の、私が、助けた……?)


 赤い瞳孔、翡翠ジェダイトの瞳、黒柿色ブラウンの髪。

 これはフェイヴァの事です。




 ・〝大地の悲鳴〟〝世界のきしむ音、ゆがみしょうじる感覚〟を感じ取るイリア。


 後々、ナビアの女王陛下が言ってますがイリアは直感、第六感にすぐれています。

 女神の代理人である事、女神との類似性が求められる神聖核コアとして高い適合率を有している事が大きく関係しています。




 ・イリアが魔獣を抑えるために一人で戦っていると知って


 取り乱すルーカス。イリアの元へ走ります。

 責任ある立場なので、私情を優先したと思われてもおかしくないのですよね。

 実はこの辺、作者は葛藤かっとうしました。

 というかいつもそうですね。

 ルーカスはイリアの事になると突っ走るので「団長なのにそれでいいの!?」ってなります。

 なるんですけど、それこそが彼なんですよね。

 変に矯正掛けようとすると、ブレる。

 物語を動かすための装置ではなく、感情を持って生きているんだな、と思う瞬間でもあります。


 作者の思惑を飛び越えてキャラクターが一人でに動き出す。

 暴走と称する現象は大体これですね。




 ・「貴方達はそれで恥ずかしくないの!?」


 イリアが戦っている姿を城壁の上から見ているだけの騎士と魔術師へ向かってシャノンが放った言葉。

 ここも当初は予定になかったシーンです。

 シャノンが暴走しました。




 ・第二限定解除、紅閃こうせん天翔斬てんしょうざん


 斬撃を飛ばす!

 カッコイイですよね。

 戦闘に関してですが、魔術はしっかり魔術名コールさせているのに対し物理は技名を極力叫ばせない、大技の時だけにしてます。

 このシーンもルーカスは声に出さず心の中で叫んでます。




 ・イリアの目覚め


 「おはよう」と挨拶を掛け合うシーンはお気に入りです。

 ここのやりとりは後々……。




 ・「……おなか、すいた。ごはん……」


 ハラペコリンが遂にその真の姿をあらわにしました。

 食いしん坊と揶揄われて怒るイリアが可愛い。




 ・ルーカスとイリアの出会い、過去


 ルーカスの婚約者、カレン王女が亡くなった戦場、六年前のディチェス平原の争乱で二人は出会ったのです。

 この辺の事情はリライト版で一章へ持って行きました。

 ルーカスの悲劇は書くのも辛かった……。




 ・アディシェス帝国の皇族のミドルネーム〝ドゥエズ〟


 安直ではありますが、ドSから来てます。

 ご存知の通り、あちらの皇族は揃いも揃って性格歪んでサディスティックな性格破綻者ばかりです。

 一部正常な皇族もいるにはいます。




 ・(いつか……その志と共に、手の届かない場所へ行ってしまいそうだ)


 使命に従順で、一人で物事を解決しようとするイリア。

 はかない横顔を見せる彼女にルーカスは不安を抱く。

 これも伏線ですね。




 ・「……星は破滅はめつを……しめしている。数多あまたの星を犠牲にしても、太陽ヘリオスを捧げても……」


 ツァディーがこの時点の星詠ほしよみで見た未来。

 数多の星=世界の人々、太陽=イリア

 ノエルの計画が成功しても、成功せずにイリアが神聖核コアとなり術式を維持させても、どちらにしても世界に未来はない事を示唆しています。




 ・(——ノエル様をみちびかないと、ね)


 破滅はめつへの導き。

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