『間奏曲 悪魔達の狂詩曲≪ラプソディ≫②』
女神がその身を十の
「あの方の
もう少しで
「レーシュも
……まあ、二人を仕留め損ねた私が言えた事ではないでしょうけど」
女神の血と想いを継いだ世界の守り人、女神の
一族の生き残りであるイリアとノエルの抹殺に失敗したことがやはり悔やまれる。
「あの方とノエル様を想えば、あそこで終わらせる事が最善だったのに。詰めが甘かったわ。
……ほんと、
これまでにない絶望を
自分の裏切りを知った時も、とても素敵な表情を見せてくれた。
全てを投げうって守ろうとした最愛の人を失ったとなれば、その絶望は比ではないだろう。
ノエルの絶望する姿を思い浮かべて——。
アインは喜びを感じると同時に、胸にチクリとした痛みを覚えた。
自分の中にこのような感情が芽生えるなんて、面白可笑しい事だった。
けれど「不要な感情ね」と、アインは切り捨てた。
「——さて、帰りましょうか。
こうなったからには、次の
アインは左手の親指と中指を擦り合わせて「パチン」と鳴らした。
すると、風に乗って
世間一般で認識されている通り、これは
空間と空間を繋ぐ、時空属性に分類される魔術だ。
アディシェス
次元すら越えて、アルカディアとクリフォトを繋ぐ事が出来る、
そして、
生まれながらに女神の祝福を受けていたため、魔神の祝福を受け取れなかったらしい。
皇族の象徴を持たない皇女。
魔神を信奉する帝国で、自分がどのような扱いを受けたかは言うまでもないだろう。
「でも、あの方——魔神様は……みすぼらしく、
あれこそが運命の出会い。
この力を必要とされた事が嬉しかった。
使徒である事を知ったのもその時だったが、女神が自分に何をしてくれただろう。
アインにとって女神は〝ただ、力を与えた存在〟というだけ。
時に本能に突き動かされる事はあっても、気持ち悪いだけだった。
「あの方が私を
でも、いいの」
アインは「ふふ」と
行く先はアディシェス帝国、首都ラクスムにある皇宮。
あの場所こそ本来、自分の
「私は演出家、そして役者。
これからもあの方の望みを叶えるために、舞台を回し続けるわ。
次はどんな演目にしようかしら?」
悪魔達が待つ居城へと——。
第一部 第五章
「女神のゆりかご」
終幕。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
次章
「
ルーカス、イリア、ノエル。
それぞれの過去が語られる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
拝読ありがとうございます!
第一部はこれにて終幕となります。
どん底に突き落としての決着ですが……
第二部ではルーカスとノエルが立ち直り、
ファンタジー要素も更に色濃くなる予定です。
その前に執筆の時間を取るため、少し更新のお休みを挟み、過去編→第二部の流れで公開の予定です。
また、第一部の完結を記念して、ここまでに散りばめた伏線・意味注釈の語りを五章の用語辞典の章に入れようと思っています。
ハイテンションで書き綴っていますので、本編のテンションとはちょっと掛け離れているかもですが、ご興味のある方はそちらも目を通して頂けると嬉しいです。
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