第十一話 【太陽】と【悪魔】の円舞曲(ワルツ)②
イリアはアインが生み出した幻影の
『——
貫かれた幻影が
『
先に発動していた〝
だが、
旋回した
そうして
こちらを目掛けて降り注ぐそれをイリアは軽やかに跳んで避け、
『光よ
これより
周囲のマナが銀と紫、二色に
『慈悲は
地に足を着いて、照準を定めるが
『
次いで
『ギエエェェ!!』
追い打ちにもう一本、空から槍を落として
視界に
「あはッあははは!
隆起した結晶の
イリアはアインへ向かって槍を飛ばし雷を落とすが、彼女は着弾する前に霧へ
仮に命中させても、身代わりの幻影だった、なんて事もざら。
「でも、甘いなぁ。何も考えずその力を使えばいいのに。そしたらみーんな簡単に吹き飛ばせるでしょう?」
別の結晶の上に現れたアインが、
確かにやろうと思えば可能だろう。
【太陽】の持つ灼熱の輝きを
けれど、それでは意味がない。
目的を見誤ってはいけない。
「私がこの力を
「【
つまらないとでも言いたげに、アインは頬へ手を添え「ふぅ」と息を吐いて唇を
それから
濃霧が集まり、たちどころに形を成して——不死鳥がまたも復活を
「まあ、私はレーシュと遊べて楽しいからいいけどね♪ さ、次も華麗に舞って
魔獣の幻影も次々と霧から生まれ
(キリがない……!)
それでもこの状況を切り抜けるには、戦うしかない。
イリアは引き結んだ唇を動かし、
(アインの
この場はマナに
そうなると
術者本人を補足し難いのであれば後者を狙うしかない。
だが、何度魔術を撃ち込んでも復活するところを見ると、自分の力ではそれが出来ないのだろう。
このままではいたちごっこだ。
延々と決着しないまま、
イリアは思考する。
どうするべきか、と。
——かくして、思う。
破壊の力なら——と。
(記憶を取り戻した今だからわかる。
エターク王家に伝わって来た〝破壊の力〟は、使徒の
女神様の力で作られたこの世界の、あらゆるものを破壊出来るのもそのためだ。
ノエルに封じられてしまったが、ルーカスの持つあの力なら間違いなく
(……本当はあまり使うべきじゃない。でも……)
イリアは離れた場所で戦うルーカスを見つめた。
あちらは三対一。
聖騎士長アイゼンと、
善戦はしているが苦しそうな状況だ。
そしてさらに向こう側で戦う王国騎士の皆は、かなり危ない状況に
(——このままじゃ、だめ……っ!)
剣を握るイリアの手に力が
「戦いの最中に考え事~?」
鈴のような声と、指を
ほんの一瞬、思考に
鋭い牙の生える大口を開けて、飛び掛かって来る。
イリアは素早く後方へ飛び『光よ——』と旋律を響かせ、光の槍を落とした。
肉薄する寸前で魔狼は霧へ還る。
が、空から火の粉を振り撒き、突進して来る
「そうそう、その調子。リズムに遅れちゃダメよ? しっかり音楽を聴いて、ステップを踏んで、回ってドレスを
ゴシック調の黒いスカートの
——考え事をする間も、休んでる暇もない。
(女神様の代理人である私なら、きっと出来るのに。ノエルの
しかし、
今はアインを抑えるために、
果たして、
弱気になってしまいそうな自分がいた。
それでも、戦い続ける。
「諦めなければ道は開けるわ」と、
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