第六話 ~生命の円環~【運命】と【死神】
『
フェイヴァの存在理由は、
それに尽きる。
故に、主が一人でアインと戦う事に、思うところはあった。
しかしながら、彼女の意思と目的を無視し、一方的に我を通す事はしない。
彼女の成したい事を第一に、その上で障害となるものから護り、時に道を切り開く。
それが自分の役目であり、信条とフェイヴァは
それに——と、フェイヴァは並び立つ五人の使徒達を
髪色と同じ、黒塗りの大鎌を構える女性。
【死神】の
(ヌンの相手は、オレが適任だ)
フェイヴァの宿す
その特性が【死神】の力に対抗し得る鍵となる。
主もそこを見越しての采配だろうと、フェイヴァは考えた。
「それじゃあ、始めようか。聖下の〝
使徒ベートが告げて、十色の
すると空中に無数の魔法陣が出現して、炎の
それに
「最初から飛ばして来るなぁ」
「スピード勝負ならオレも自信あるっすよ!」
炎を
フェイヴァは飛んでくる魔術の粗方を槍で打ち消すと、ヌンと切り結んだハーシェルの元へ駆けた。
【死神】とただの人間が戦うのは、自殺行為だからだ。
「——うッ!?」
案の定、刃を合わせただけだというのに、真っ青になりバランスを崩すハーシェルの姿があった。
「
フェイヴァは槍の一本を地に突き立て、空いた手でハーシェルを引き
突くように穂先を振るえば、ヌンは距離を取るため後方へステップした。
「が、げほっ」
「ハーシェルさん!?」
ハーシェルが吐血して膝を折り、リシアが慌てて駆け寄り両手をかざす。
「あいつと刃を合わせるな、死ぬぞ」
フェイヴァは二人の様子を横目に突き立てた槍を引き抜き——。
「オレが相手をする」
と、宣言してヌンを
「大丈夫なのですか?」
背後から掛けられたロベルトの声に、フェイヴァは振り返らず
【死神】の
〝
対峙した者の命を静かに、相手に気付かせる事なく奪い、死へ
彼女が〝
何の対策もなく挑めば、結果は火を見るより明らかだが、フェイヴァには対抗する手段がある。
「ボクの相手は、君?」
角度によっては赤色にも見える瞳がじっとフェイヴァを見つめた。
「
槍を構えて
すると、ヌンが言葉を返す代わりに、大鎌を
上段から大振りの一撃。
フェイヴァは左手の槍を水平に、歪曲する鎌の刃を受け止めた。
両腕を使って振り下ろされた刃に
彼女は
二対の槍を操って攻め込み——槍と鎌、リーチのある武器同士の攻防が繰り広げられた。
打ち合う中で、ヌンが
「……奪えない、何で?」
【死神】の力が
使徒同士でも、全員がその
【死神】の力を
身体という器を満たすマナ、神力、生命力——。
それらをメビウスの輪の
身体へ害をなす魔術や現象の干渉を
有用な力だが
マナを外部へ放出できないため、魔術を使う事が出来ないのだ。
しかし得る力に比べれば
さらに【運命】の
それは物事の枠を超えて、
二つの力が相互作用を生み出し、ヌンの力を完全に
「お前の力が、オレに届く事はない」
フェイヴァは両手の槍を交互に突き出し、攻勢をかけていく。
ヌンも戦い慣れており上手く
このまま行けば勝つことは難しくないと思えた。
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