第二十四話 粛清~復讐~
ノエルが
案内されたバルコニーの
ただ観客として、観る事しか許されていないのだと、思い知らされる。
「……まあ、時には
ルーカスのお姫様の気持ちもわからんでもないが、
いつの間にかスイーツを片手にソファへ腰を落ち着かせた幼馴染が、こちらを見やり、厳しい見解を
イリアの拳が握り込まれ、
「ディーン」
ルーカスは「やめろ」と言葉を続ける代わりに、首を横に振る。
その動きをディーンは確実に見ていたはずだが、悪びれる様子もなく笑みを消して、
「お姫様だって記憶が戻ったのなら、
教皇が何をされて来たのか……。知ってしまえば、怒り狂う理由も納得だ。
「ディーン!」
イリアから聞いた話と、ディーンが報告書に上げた教団内部の現状——。
深く知れば知るほどに、
(ディーンの意見も一理ある)
肩書に
そうは言っても、教皇の立場にあるノエルが、
ルーカスはその点を
「いいの、わかってる」
彼女の白い指は
長い
「
私情を抜きにしても、
罪を
でも、それでも……。
「——信徒らよ、
女神の意思を
誰の声であるのかは問うまでもない。
断罪の
声を聞いたイリアがきゅっと唇を引き結び、視線を前へ向けた。
「……見届けるわ」
イリアは
吹き付ける風が銀糸と衣服をはためかせ、
それは痛々しくも、どこか美しい
宴の会場は、宮殿前の
そこは日頃から式典行事の会場として活用されており、
会場は多くの人で埋め尽くされ、ざわめき立っていた。
人々の注目はある一点に集まっている。
それは、
十字架には四肢に
八人の
(彼らが
十字架の前には
集まった
教皇と共に教団を支えてきた彼らに対する信頼は、根強いものがあるだけに当然だろう。
その疑問に答えるように、彼らの罪状がノエルの口から
我欲に
真なる守り人、女神の血と想いを継いだ一族を利用した罪。
更には邪法に手を染めて、女神の血族を道具とした罪。
世界の真実を
現状の危機に際し、打開案を模索せず、根付いた慣習に
——七つの罪状の読み上げが終わると、
「
マナと〝
昨今急増する〝
その上で女神が魔神の侵略から世界を守るため、その身を犠牲にして展開した〝
ノエルは、女神の血族が
——話が終わると、教皇の語る言葉に耳を
「この、
「女神様の愛は、お前らだけに向けられたものじゃないぞ!」
「世界と教皇聖下を
「世界が滅びたら、女神様に、犠牲となった人達にどう顔向けするつもりだ!!」
怒りに
「皆の怒りは
慈悲深い女神も、彼らの非道を許してはならないと、告げている!」
ノエルが
「罪には罰を。今こそ女神の名の
ノエルの両手が頭上へと
マナが空に集まり、ある物の形を成して行った。
——それは槍だった。
槍の
観衆から「断罪を!」「罪を
枢機卿の行いは
しかしながら、まるで見世物のように一種のパフォーマンスと化した断罪の儀式には、不快感を覚えざるを得ない。
ルーカスは眉を寄せた。
並び立つイリアも表情を曇らせている。
罪人への刑罰は、
「せ……か、せいか、せいかあぁあ! わ、我らは、奴に
どうか、どうかッ! お
途中、地の奥底から響くかのようなくぐもった声で、苦し気に
「神罰を受け入れよ」
ぞっとするほど低い声と同時に、
白き槍が八人の胸元へ、心臓を的確に
間を置かず、聖騎士長アイゼンの手によって十字架へ炎がくべられる。
炎は
罪人の肉体を
——全てが終わった時、ノエルは
その末路に、さも「満足だ」とでも言いたげに、口元を歪ませながら。
悪人が同様の表情を作ったならば、
この
〝大罪を
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