第二十三話 宴の〝特等席〟
聖歴
イリアがノエルからの招待状を受け取った
国境から北上した場所にある街アルブムから、すんなりと使用許可の下りた〝
向かうメンバーはナビアから王都へ戻る際、先駆けて
転移先はアルカディア教団の総本山。
女神の血族が世界樹の
フェレティは聖都と呼ばれ、
大樹の
しかし、絶えず大樹から生み出されたマナが大気に
かつて聖都を訪れたある者は、こう語っている。
〝
神秘的で世界樹の恵みに満ちた聖都は、まさに
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ルーカス達がディラ・フェイユ
「おかえりなさい、レーシュ様。
騎士の皆様も、お待ちしておりました」
青年の一人、
彼の瞳は片方だけ長い前髪によって隠れてしまっているが、若葉のように淡い
物腰の柔らかい、彼の人柄を表しているかのようだった。
「シン!
装置から一目散に駆け出したイリアが、
「広場にいらっしゃいますよ。今は
答えたのはもう一人の青年だ。
シンとは反対に
ルーカスは彼らの姿に覚えがあった。
青髪の青年は【
赤髪の青年は【
ノエルとの対談で、顔を合わせた
ベートの言葉を聞いたイリアが
イリアの背を、研ぎ澄まされた
「申し訳ないが、好き勝手をされても困るのでね。席へご案内します」
十色の
「何なの!?」
「まっぶし!」
仲間達の
——ルーカスの肌を風が優しく
視界に飛び込んで来たのは、茶器のセットとスイーツで
「ここは……宮殿の……」
「ノエル様が
辺りを見回して
「ゆっくりなんて、出来るわけないでしょう? ノエルの元へ行くわ! 邪魔をするなら、力付くでも——!」
イリアの高ぶる感情に呼応してマナが
だが、それも
『神なる
彼女が歌を
「何で……?」
「ああ、無駄ですよ。この場所は、
その力は、貴方達も良く知ってるだろう?」
ベートの視線がルーカスと、
(封印部屋の結界……か)
それはルーカスが過去、教団に
魔術のみならず、
あの頃、部屋に出入りしていたイリアが制限を受けていた記憶はないので、無効化する手段は存在するだろう。
だが、歌を止めて行動を
幸いなのは武器までは取り上げられていない事。
目の前の彼らに対抗する
ルーカスはおもむろに、刀の
「力を使えずとも、この
「不利な状況でも
ですが今
長生きしたいなら無駄な
ここに来た時と同じくベートが杖を打ち付けて、鳴らす。
そうすれば、シンとベートの体がマナの光に包まれ、止める間もなく二人の体は消えて行った。
「短距離とはいえ、転移魔術をこうも
「【
「ふん、実力はあるんでしょうけど、嫌な感じよ。あっちが
双子の姉妹とリシアが、消えた二人の使徒が居た場所を
「
ハーシェルが腰の双剣を引き抜くと、
迅速な双剣の乱舞が結界を
「ルーカスはやめておけ」と声を掛けようとするが、それよりも早く、ハーシェルの剣を止めた人物がいた。
一本の槍を二つの剣筋に割り込ませて
それをして見せたのはフェイヴァだ。
あまりの早業にハーシェルは起きた事を理解しきれなかったのか、間の抜けた表情を浮かべていた。
「やるねぇ。お前さんなら、結界も力技で突破できるんじゃないか?」
ディーンが問うと、フェイヴァは首を縦に振り、武器を収めた。
「無理だ」
「んん、そうか」
感情のない短い返答を残して、フェイヴァは宮殿へ続く扉のある、壁の方へと歩いて行ってしまった。
扉は勿論、開かないだろう。
フェイヴァもそれは理解しているようで、静かに
ディーンが乱雑に切り
「それにしても、この状況下で私達を制圧しないのは
「去り際の
ロベルトとアーネストが腕を組み、険しい表情を浮かべている。
二人が感じているように、
「
イリアも、いいな?」
ルーカスがイリアへ視線を送ると、すっかり
彼女の心中を
ルーカスはイリアの
どうにかしたくても、打てる手が無い。
もどかしさが、胸を
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