第三十九話 同盟国からの救援要請
ルーカスとイリアが着席したのを見届けると、父レナートとレックス陛下は
「では本題に入るとしよう。ダリル」
陛下が名を呼ぶと、跳ね毛のある赤い短髪の
「世界的な震災に続き、
規模は大きなものではなかったが、確かにあった。
そして、振動でよろめくイリアを
その時の感触を思い出して、ルーカスは若干気恥ずかしくなりつつも「はい」と返答した。
イリアも同様の返しだ。
それを受けて、ダリルの話が続けられる。
「
地震と
リエゾンと王都の事例から確信に近いものを得ていたが、もはや
「それは一大事ですね。ですが……」
「ああ。知っての通り、王国も先の
当然である。あの
王都は復興の
「だけれど、かの国は大切な同盟国だ。その危機を見て見ぬふりはできない。それに……ナビアはアザレアの故郷。放っては置けないよ」
ゼノンが
アザレアは、落ち着いているが視線を下に向け、どことなく表情に
彼女を見たゼノンが拳を握りしめ、苦し気に
いつもの皇太子
(ゼノンのこんな姿は……珍しいな)
幼い頃から皇太子に
(その気持ちは……俺にも理解できる)
ルーカスは隣に座り、
重くなった空気の中、ダリルが
「我々としても苦しいところだが、見捨てるという選択肢はない。このような状況下でこそ助け合うべきだと、そう話はまとまったよ」
「そこで、だ。ルーカス、おまえが
父レナートが告げる。
それは
多くの戦力を派遣できず、少数精鋭を求めるなら特務部隊は適任だ。
順当だろうとルーカスは納得し「わかりました」と首を縦に振った。
(……となれば、出発に向け早急に話を進めなければならないな)
ルーカスはやるべき事を思い浮かべ、整理しようとした。
だが、それは次に
「
「——
イリアへ助力を求める言葉を聞いて、ルーカスは声を
思いもよらぬ提案に——いや、もしかしたら最初からこのつもりでイリアを呼びつけたのかもしれない。
(まさか、感謝の言葉を伝えたいと言うのは、この話をするための建前か——?)
実際はそのような意図がなかったのだとしても、そう考え至ってしまってルーカスは無性に腹立たしくなった。
何故ならば、彼女の答えは聞かずともわかるからだ。
「この力でお役に立てるなら、喜んで」
「イリア!」
「ルーカス。私は
もちろん、知っている。
イリアの強さも、
(けれど、それでも……)
記憶が戻ったとは言え不完全で、何に巻き込まれたのか明確となっていないこの状況で、イリアにそれを
(あまりにも身勝手だ……!)
ルーカスはぎりっと奥歯を嚙み締めた。
だが、止めたところでイリアが信念を曲げることはないと言う事も、理解していた。
「引き受けてくれると言うことでいいか?」
「——わかり、ました」
「お任せください」
「では、詳細は追って伝える、二人とも頼んだぞ」
ルーカスは
この場で抗議したところで結果は変わらない。
「危険は承知の上だけど、引き受けてくれてありがとう。ルーカス、イリアさん」
「お二人ともありがとうございます。どうか、故郷を……ナビアを、よろしくお願いします」
ゼノンとアザレアが深く頭を下げて謝意を
イリアを巻き込んでしまった事には抵抗があるが、困っている人がいるならば、手を差し伸べられるならば助けたい。
それはルーカスも常日頃から持っている気持ちだ。
(こうなったからには、腹を
ルーカスは拳に力を籠め、覚悟を決めた。
課せられた任務を
(名を懸けた
剣を捧げた彼女の騎士として)
例え
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