使われない予知能力

@ogennmai

1話

俺は少しだけ先の未来を予知することが出来る。

だか、俺はある人を亡くしてしまった。

「急に暗くなったね、雨降りそうだし急いで帰ろっか!って、もう降ってきたじゃん!」

暑い夏の夕暮れ時、彼女との帰り道での事だった。

彼女は自分には似合わないほどに素敵な女性だ、

とても綺麗で成績もよく人当たりのいい人気者の彼女だ

だが、俺は彼女に予知能力を使ったことは無い

予知なんてものに頼らずに彼女と付き合いたい。

そう思えるほどの一目惚れであった

俺は予知能力以外の自分の全てを彼女にぶつけ、何とか彼女と付き合うことが出来た。

「きょうちゃん!早く帰ろ、荷物が濡れちゃう!」

「あぁ、急いで帰ろう」

俺と彼女は俄雨に会い、傘も持ち合わせていないため走って帰ることにした

「でも、これだけ雨が強いとアトラクションみたいで楽しいね!わたし、きょうちゃんとなら雨嫌いじゃないかも!」

彼女は走りながら言った。

「俺もみさきとならなんだって楽しめそうだよ」

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俺たちは帰路の途中、雨の中を歩いていた。

「もーこれだけ濡れちゃったら急いでも一緒だね」

「そうだな、ゆっくり帰ろうか」

俺たちは2人で並んで歩いていた。

1台の車が俺たちに近づく

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車はスピードを出しすぎていた。

俄雨により出来た水溜まりでスリップをして俺と彼女に迫ってきた、俺は2人が車に跳ねられる予知を見た。

俺は彼女を突き飛ばした。

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俺はビルの屋上に立っていた。

「みさき、、辛いのは分かるよ。でも死んじゃダメだよ!聞いたよ。2人で車に轢かれそうになったのをきょうすけ君に助けて貰ったんでしょ??とっても辛いよね、でもダメだよ!!」

彼女は俺達の共通の友人である、麻里という女性だ

「俺にはもう、何も残されていないんだ、、

愛する人も生きる元気ももうなくなってしまったんだ。」

「なに、その喋り方、、それにそのメガネもその服も!きょうすけ君を少しでも残したい気持ちはわかる、でもみさきを助けたのはきょうちゃんだよ!死んじゃったのもきょうちゃんなの!みさきはきょうちゃんに行かされたの!それなのに死のうとするなんて、あなたはきょうちゃんの思いをなんだと思ってるのよ、、きょうちゃんのためにも一緒に生きよ??」

俺は、ううん、私は麻里に近付き抱きついた。

「なんで、、私を置いて行っちゃったの!!!」

私はその場で泣き崩れた

行き場のない壮絶な哀しみの中きょうちゃんの為に生きると胸に誓った。

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