第27話特別編お嬢様の日常

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4章に入る前に、特別編としてお嬢様の日常をお送りしたいと思います。

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ある日の土曜日。

メルは、シャドウを引き連れ商業街を歩いていた。


メルは、商業街の中心にある商業ギルドに入っていく。


そして、熊のようにデカい体、立派な髭の男に声を掛ける。


「髭のオッチャン〜!」


サイラスである。

子爵でギルドの統括をしているなんとも忙しい男。元勇者パーティの一員なのである。


「おお!メルちゃん!

シャドウを引き連れて、どうした?」


「髭のオッチャン〜シェリルちゃんのレストランの場所〜知ってる〜?

行きたいの〜。」


「おお!フィリア亭に行くのか!

美味いぞ!

職人街に行く道があるだろ?

その道を歩いていたら、すぐにわかるぞ。

今なら、待たずに入れるだろうな。

少しズレたら待たなきゃならねえ時間帯だ!

しかし、客がなあ。職人が多いんだよな。

気性が荒い奴が多いんだよ………まあメルちゃんなら大丈夫か!

職人と商人達の聖女メル様だからな!

ハハハッ!」


「フィリア亭〜。歩いていたら〜わかるのね〜。ヨシっ!」


「ハハハッ!メルちゃんが突然現れたら、皆ビックリするだろうよ。

シャドウ!まあ、大丈夫だろうと思うが、もしやと言うこともある。

しっかり警護しろよ。」


「はい!サイラス様。

任せてください。私は、お嬢様の警護担当ですからね。森の中より警護はしやすいですよ!

……ていうか!お嬢様!待ってください!

おっ置いていかないで、待って!」


メルは、商人達に手を振りながら、さっさと商業ギルドを出ていく。

それを追いかけるシャドウ。


「おいおい!大丈夫か!

シャドウの奴。

メルちゃんに振り回されてんじゃねえかよ。

ハハハッ!

メルちゃんも学園に通い出してから、人見知りも、なくなって…王都にも馴染んできたな!ハハハッ!」


なんとか追いついたシャドウ。

メルは、そんなこと気にせず歩いている。


(メル様!お元気そうで!)

(うわぁ。メル様だ!次期聖女様!)

(何言ってんだよ!次期じゃねえよ!

すでに、聖女様並みの神聖魔法を使われるんだぞ!助けてもらっただろうが!)

(綺麗だ〜。流石、聖女ローザ様のお嬢様だ!よく似てらっしゃる。

聖女ローザ様も輝いて見えるが、メル様も負けてねえな。)

(お一人か?大丈夫か?)

(大丈夫だ!シャドウ様が付いてらっしゃる!)


などなど周りから色んな声が飛ぶ。

メルは、笑顔で手を振りながら歩いている。


その姿を見て民は、もうメロメロなのだ。


ミレーネのクッキー&ケーキ店の前を通りかかると、店内からミレーネが飛び出してくる。

ゴスロリファッションの小柄な可愛い見た目女の子。しかし、実際は26歳の元勇者パーティの女性だ。


「メルちゃん!

一人でございま……ああ!シャドウが付いているでございますなのですね。

安心したでございますなのですよ。」


「ミレーネお姉ちゃん〜!

心配で〜飛び出してきたの〜?

ふふふっ。もうこの辺慣れたし〜一人でも〜迷子にならないよ〜。」


「メルちゃん♪

迷子を心配してるのではないでございますなのですよ。

ふふふっ。まあ良いでございますなのですよ。

シャドウ!しっかり、警護するでございますなのですよ。」


シャドウは、ミレーネに頭を下げてメルに付いて行く。


ミレーネは、思う。

(ふふふっ。陛下のお孫様でごさいますなのですよ。

メルちゃんが誘拐でもされたら…大変でございますなのですよ。

陛下が乱心されるでございますなのですよ。

………その前に……ケイン様の乱心のほうが恐ろしいでございますなのですよ。

聖獣フェンリルをメルちゃんの護衛に付けてるから、おかしなことは起きないだろうと思うでございますなのですよ。)


色んな人々に見守られているメル。

本人が、全く自覚していないのが、危なっかしいのである。

まあ、自覚しろというほうが無理な話である。

ついこないだまで、黒き森の深くで何も知らずに育っていたのだから。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


メルは、大きな建物の前で足を止めた。


この建物に、剣や槍を持ったガタイの良い男達が入っていく。


「シャドウ〜ここ〜なぁに?」


「ここは、冒険者ギルドですね。

お嬢様には、一番縁のないところかと。」


「えっ〜。どうしてよ〜。

私〜魔物狩るじゃない。」


「……まあそうですが、依頼は受けませんよね。だから、縁はないでしょう。」


「シャドウ〜何なの〜私に〜冒険者ギルドの中に入って欲しくないみたいね〜。」


「そりゃそうでしょう。お嬢様には相応しくない場所ですから。

ローザ様が聞いたら、辞めてよ〜と嘆かれます。」


「でも〜おかしいわ〜。

母様も〜勇者パーティの一員だったのでしょう〜。だったら〜ギルドに登録してたんじゃないの〜。」


「お嬢様。何言ってるんですか。

ローザ様は、元第一王女ですよ。

勇者パーティとして、同行はしていましたが、ギルドには登録してませんよ。

ギルドの中すら、入られたことはないかと。

ローザ様以外は登録してましたが。」


「そうなんだ〜母様も入ったことないんだ〜。じゃあ〜尚更〜興味が湧いてきたわ〜。」


「いっいやいや。よろしいのですか?!

お嬢様は、立派なレディなのでしょう。

ローザ様を目指してらっしゃると思っていたのですが、違ったのです?

レディは、冒険者ギルドには興味をしめしませんよ。」


「…………私はレディです。

仕方ないですね〜辞めときましょう〜。

母様が〜嘆かれるのだと〜いうのだから〜。」


「流石!お嬢様です!」


シャドウは、胸を撫で下ろす。

メルのようなお嬢様が冒険者ギルドに入ると必ず絡んでくる馬鹿がいるからだ。

絡んできても、やっつけるから良いのだが、やっつければ、このお嬢様。相手がよほどの悪党でない限り、叱るのだ。

やっつけたシャドウがお嬢様に叱られるのだ。


「シャドウ〜シャドウはランクは、なんなの?ランクがあるのでしょう?

確か学園の剣術の教官は〜Aランクと言ってたわ〜。虎の爪とかいうチームだったかしら〜。Aってそこそこ強いと認められているのでしょう?

でもたいしたことなかったの〜。」


「ほう!虎の爪ですか。

この辺じゃ、トップクラスのチームですね。

私は、SSランク。Aより二つ上ですね。

ちなみに最高ランクのSSSランクは、ケイン様ですね。」


「ふふふっ。やっぱり〜父様は〜凄いのね〜。シャドウもSSランクか〜

やるわね〜。私登録したら〜どれくらいだろう。」


シャドウは答えず、その場から離れるよう促す。

そして、思う。


(お嬢様は、あの魔力量と魔法です。

レナ様を超えている時点で、SSランク以上。

ケイン様と肩を並べられるでしょうね。

剣術でも、Aランクの虎の爪をたいしたことないと言われるのですから、Aランク以上でしょうね。体が小さいからパワーで劣りますか。武術もAランク以上でしょうし、総合力では、ずば抜けてトップですね。)


シャドウは、小さなメルを見てメルの強さを再認識したのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


フィリア亭が見えてきた。

職人街と商業街の境目辺りに店があった。


店の前に看板があった。

フィリア亭と書いてある。


メルは、扉を開けた。


すると一気に活気のある店内の様子が伝わってくる。


すると、奥からシェリルが駆けてくる。


「いらっしゃいませ!って!めっメルちゃん!メルちゃん本当に来てくれたの?!」


「来たよ〜!楽しみにしてたんだよ〜。」


「えっと、二人だね。案内するね。こっちだよ。」


シェリルがメルとシャドウをテーブル席へと案内した。


「母さん!父さん!メルちゃん!メルちゃんが来てくれたよ!」


シェリルが叫ぶ。


客も一斉にメル達に注目する。


「めっメル様!こんな汚えレストランに……申し訳ないです!」


「メル様!シェリルと仲良くしてくださいましてありがとうございます。」


「父様も〜母様も〜お忙しいのに〜顔を出してくれて〜申し訳ございません。

もう〜。シェリルちゃん〜。おおごとにしないでよ〜。」


「いやぁ。だってさぁ。

父さんと母さんにメルちゃんと、本当に仲良くしてるって自慢したいじゃない。」


「ふふふっ。注文していい〜?

えっとね〜。皆さんが〜注文している〜

ハンバーグのセットを二つ。

シャドウも〜それで良いよね〜。」


「はい。ハンバーグ美味しそうです。」


「ハンバーグのセット二つね!

うちの看板メニューなの!

父さん!母さん!ハンバーグセット二つ!

メルちゃんの注文だよ!」


「「はいよ!ありがとうございます!」」


「メルちゃん!ゆっくりしてて!」


シェリルも行ってしまった。


「凄い繁盛店ですね。皆、ハンバーグセットを食べてます。

パンにハンバーグを挟んで食べてますね。

これは、絶対美味しいやつだ。」


「ふふふっ。珍しいね〜。シャドウが〜食いつくなんて〜。一緒に付いてきてもらって〜良かったよ〜。」


すると、男三人がテーブルにやってくる。


(メル様!シェリルちゃんと友達なのかい?!)

(中毒騒動の時、俺たちメル様に助けてもらったんだ!

あの時ありがとうな!)

(お前よ〜!メル様は俺達の聖女様だぜ!

もっと丁寧に話せよ!)


「ふふふっ。皆さんも〜ここの〜ハンバーグ〜好きなの〜?」


(おお!メル様!ここのハンバーグ!最高なんだよ!俺ら、常連さ!)

(だから!お前!喋り方なんとかしろって!

メル様!すいません!)


「ふふふっ。気にしなくても〜大丈夫だよ〜。父様も〜髭の〜ああ!名前なんだっけ?シャドウ!」


「サイラス様です。」


「ああそうか〜。父様と〜サイラスのオジ様も〜皆さんと喋り方〜変わらないの〜。」


(ほら見ろ!メル様は、そんなこと気にしねえんだよ!そんなこと気にしてたらシェリルちゃんとお友達なんてなれねえよ!)


すると、シェリルが飛んでくる。


「こらぁ!私の大事なお友達に、何絡んでいるのよ!許さないから!」


(いっいや!絡んでねえよ。お礼言ってたんだよ。)


「シェリルちゃん〜本当にお礼を言われてたの〜。ふふふっ。」


「そうなの。それなら良いけど。

もう!礼を言ったのでしょ!

なら、自分の席に戻りなさいよね。」


(うわぁ。シェリルちゃん怒らすなよ!

来れなくなるぞ!席戻るぞ!)


メルは、去って行く男達に笑顔で手を振っていた。


「ごめんね〜。メルちゃん!

しかし、メルちゃん凄い人気だね!

まあ、わからないことは無いけど。

今まで黙ってたけど、私もメルちゃんに助けられたからね。

メルちゃんは、ポーション作りながら治療してたから覚えてないだろうけど。

私は、あの日のこと忘れられないよ。

私と同じ歳くらいの女の子が、凄い魔法で治療してるんだもん!

ミーアちゃんのことも覚えているよ。

必死にメルちゃんが作ったポーションを小瓶に入れていたもの。」


「そうだったの〜私〜必死だったから〜全然わからなかったよ〜。出会ってたんだね〜。

言ってよ〜。ふふふっ。」


その時、シェリルの父様の声が響く。


「シェリル!メル様のハンバーグセット出来たぞ!

食べて頂け。」


シェリルが、飛んでいき、メルのテーブルに運んでくる。


鉄板に、じゅ〜と音を立てながら、香ばしい匂いと、バターの甘い香りがひろがる。


メルとシャドウは、周りにならってパンにハンバーグをはさんで頂く。


メルは一口ガブリと頂いた時、思わず声をあげた。


「もぐもぐごくん!

うわぁ、何これ〜!

パンに肉汁が染み込んで〜メチャクチャ〜美味しいよ!シェリルちゃん!これは、人気だよ!凄い美味しい!」


シャドウも言う。


「うん!これは、美味い!

これは、やみつきになりそうだ!」


メルとシャドウに料理を褒められてシェリルは、得意気だ。


メルとシャドウは、あっという間に食べてしまった。


「シェリルちゃん!凄いよ!凄く美味しかったよ〜。

また、絶対に〜食べにくるよ〜!

ねえ!シャドウ!」


「確かに!とても美味しかったです!

いやぁ、これからの楽しみができました。」


「うわぁ。そんな嬉しいこと言ってくれるの!」


「シェリルちゃん代金。銀貨16枚かな〜?」


「そうだけど、メルちゃん、今日はいいよ!

食べに来てくれたことが嬉しいから!

父さんと母さんにそう言われてるの!」


「ダメダメ!そんなことされたら〜次これないよ〜。銀貨16枚受け取って欲しいの〜。

シェリルちゃん!他のお客様と〜平等だよ〜!」


「ふふふっ!わかったよ!メルちゃん!

じゃあ銀貨16枚!確かに頂きました!

ありがとうございました!」


「ふふふっ。ありがとう!とても美味しかったです〜また必ずくるね〜!

忙しい時に来てごめんね〜!

シャドウ!では、帰りましょうか!」


メルとシャドウは、フィリア亭から外に出る。


その際、メルは店のお客に手を振りながら笑顔で店を後にしたのだった。


シェリルは、外まで見送り、店に戻る。


すると、先程の男達が声を掛ける。


(シェリルちゃん!お前!凄いな!

あのメル様と本当にお友達とは!)


「ふふふっ!そうでしょ!

凄いでしょ!私の自慢のお友達だよ!

これからも、メルちゃんが来てくれるんだから、メルちゃんが気持ち良く食べれるように余り絡まないでよね!」


そう言って、シェリルはとびきりの笑顔を見せたのだった。


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いつも応援ありがとうございます!

お嬢様の日常編をお送りいたしました。

4章に入る前に、もう一つ日常編をお送りしたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いいたします。




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