第21話 お嬢様は新しい友達ゲット!

5時限目。社会。


担任のリーナ先生が担当だった。


「皆さん!社会では、いろんな生活について学んで行きます。

それで、これは毎年一年生の恒例の授業なのですが。今週の木曜日は、社会見学が行われます!

皆さんが四人1グループとなり、王都の見てみたいところを見学するという授業になります。


早速ですが、四人でグループを作ってください。

そして、四人で何処に見学に行くのか?

話し合って下さい。

良いですか?!

それでは、グループになって、始めてください。」


メルとミーアは、お互い顔を見合わせた。


メル達は、常に二人でいたため、他の子達と交流がないのだ。


すると、メルは、一番前の席に目が行く。

メル達と同じように困っているアリスと、もう一人の女の子の姿が目に入った。


その時、アラン王子がメル達に声を掛けてくる。


「メル!同じグループになろうではないか!」


すると、メルは言う。


「ごめん!アラン王子〜ジョル君!

男の子は男の子同士でグループになって〜!

ミーアちゃん〜!行こう!」


アランは、ガクっと落ち込む。


するとジョルノが言う。


「アラン王子!違いますよ〜!

見てください。

あの平民の女の子二人です。

メル様は、お優しいからあの二人とグループを組まれるのですよ。」


「おお!そうか!ならば、しょうがない!

我らも他を探そう!」


メルとミーアが階段を降りて、アリス達の元に行く。


「あの〜良かったら〜一緒のグループどうかな〜?私もミーアちゃんも〜いつも二人で〜行動していたから〜お友達が居なくて〜困っているの〜。

是非グループになって欲しいの〜。」


「えっ!え〜!よっよろしいのですか!

私達、平民なのに!」


ミーアが言う。

「ふふふっ。私達〜そういうの〜興味ないの〜。ねえ〜メルちゃん〜。

私だって〜貴族の子っていっても〜騎士爵だよ〜何も〜変わらないよ〜。

メルちゃんは〜公爵令嬢だから〜お姫様だけど〜。でもメルちゃんは〜そんなの知らないって〜感じだもんね〜!」


メルが言う。

「ふふふっ。だって〜。少し前まで〜黒き森の深くで〜暮らしていたんだよ〜。

王都にも住めない〜貧乏人だと〜思ってたんだもの〜。お姫様〜?知らないよ〜!

グループになろうよ〜!お願い〜!」


アリスと、もう一人の女の子は、ミーアとメルの醸し出す、おっとりとした口調で一気に心を開いたのだ。


「私達で良いなら!是非お願いします!」


「ヤッタ〜!ミーアちゃん〜新しいお友達が〜できたよ〜!」


「メルちゃん〜ヤッタね〜!なんか〜嬉しいね〜!」


メルとミーアは喜んだのだった。



「ねえ〜あらためて〜自己紹介しよ〜。

私から〜!メルです!

メルでいいよ〜!」


「じゃあ〜私〜ミーアです!

家は〜職人街で〜鍛治屋だよ〜。

私も名前で〜お願いします!」


「えっと。アリスです!家は、商家だよ。

よろしくお願いします!」


「あわわわ。えっと、シェリルです。

家は、商業街と職人街の間くらいで、フィリア亭というレストランをやっています。

家がレストランなんで、お菓子作りや料理は好きかな。」


「お菓子作り〜!凄いね〜!

ミレーネお姉ちゃんとこのクッキーとかケーキとか、そんな感じで作ってるの〜?」


「ミレーネ様のクッキーとケーキには憧れているんだ!

あの辺り歩くと甘い香りがたまらないもの。」


ミーアが言う。

「アリスちゃん〜商家なら〜メルちゃん!

サイラス様と知り合いだったりするんじゃない?!」


「あっ!サイラス様は、いつもお世話になってるわ。色々気にかけてくれるの。」


「サイラス様〜?」


「もう〜メルちゃん〜髭のオッチャンのことだよ〜!」


「ああ!髭のオッチャンのことか〜!

そうか!名前で〜呼んだことないからわからなかったよ〜」


「確かに立派な髭だもんね!ふふふっ。」


こんな感じでメル達が楽しく話をしているのを、良く思っていない者がいた。

セシル・ウーゴだった。


「なっ何故ですの!

何故、メル様が、あの平民と同じグループになっているの!

許せませんわ!」


アリス達を睨みつけるのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ローザは、理事室で理事を務める妹のマーガレット王女とお茶を飲んでいた。


「お姉様〜。お疲れ様でした〜。

メルちゃんのクラスは〜いかがでしたか?」


「う〜ん。

貴族の子と平民の子とでクラスが二つに分かれているわね〜。

かなり貴族の子が平民の子を見下しているってメルちゃんが言ってたわ〜。

メルちゃんが貴族の子を代表して謝罪をして〜平民の子はその謝罪を受け入れたわ。

メルちゃんに謝罪されて〜戸惑いのほうが強かったみたいね〜。メルちゃんは見て見ぬふりをしてたみたいだから。

平民の子からしてみれば〜何も悪くないメルちゃんに〜謝罪されて〜受け入れないと〜しょうがないわよね〜。

しかし、貴族の子のほうが〜考え方が〜偏りすぎているわ〜。

問題を〜起こさないといいけど〜。

少し注意して〜見てるほうが良いかもしれないわ〜」


「まあ〜そうなんですね〜。

メルちゃん〜偉いですわ〜

代表して謝罪するなんて〜。

担任に〜注意して見ておくように〜言いますわ〜。」


「そうしたほうが〜いいわ〜。

何かのキッカケで〜暴発するかもしれないしね〜。

メルちゃんが〜なんとかするかも〜しれないけど〜大人が用心しとかなきゃね〜。」


ローザとマーガレットは、メルのクラスを要注意としたのだった。


その頃メル達は、見学の場所を何処にするか話し合っていた。


「私達は、基本どこでも新鮮に感じることができるけど、メルちゃんとミーアちゃんです。

メルちゃんとミーアちゃんが、見学したいと思う所が良いと思うわ。」


「う〜ん。難しいなぁ〜。

何処がいいだろう?!皆んなが〜楽しい所が〜いいよね〜ミーアちゃん!何処かある?」


「う〜ん。わからないよ〜!

皆んな〜何処に見学いくんだろうね〜。

誰も〜なかなか行けないところが〜いいなぁ。折角だし〜。」


四人は、決めきれなかった。


リーナ先生が言う。


「決まったグループと決まっていないグループがありそうですね。

わかりました。

明日まで待ちましょう。

明日のホームルームで行く場所を発表してもらいます。

決めれなかったグループは、残って決めるか、この後帰りながら決めるかしてください。

明日のホームルームで発表できるようにすること!

わかりましたね!

では、今日はこれで終わります!

皆さん!又明日!」


今日の授業が終わった。

でも、メル達は決めきれていないので、決めないといけなかった。


「どうしようか。残って決めようか?」


「メルちゃん〜!ミレーネ様〜今日の朝言ってたよ〜他のお友達も連れておいで〜って。」


「あっ!確かに〜!言ってたね〜。

アリスちゃん〜シェリルちゃん〜

クッキーとケーキを食べながら〜考えよう!

今から〜クッキー&ケーキ店に行くよ〜!」


シェリルが驚いて言う。

「えっ!あの!クッキー&ケーキ店!

むっ無理だよ!私達そんなお金ないよ!」


メルが言う。

「ふふふっ。違うの〜。

ミレーネお姉ちゃんが〜ご馳走様してくれるの〜。

今日〜朝に〜ミレーネお姉ちゃんに〜誘われてたんだ〜。

その時言ってたの〜他のお友達も連れておいで〜って。

私達〜いつもご馳走様になってるよ〜。だから大丈夫〜!行こう!

私の馬車で〜!」


アリスが言う!

「えっ!私が、フォスター家の、あの白馬車に!

皆の憧れなんだよ!えっ!良いのかな?!」


「えっ〜!憧れ〜!?

言い過ぎだよ〜アリスちゃん!」


ミーアが言う。

「メルちゃん〜私も最初はそうだったよ〜!

フォスター家の白馬と白馬車。

憧れだよ〜。」


「そっそうなのかな〜。

まあ、他の馬車って黒が、多いのかな〜?!

それを考えると〜珍しさもあるのかな〜。」


「メルちゃん〜!わかってないなあ〜!

白馬車の横についている〜家紋も憧れなんだよ〜。盾に聖女様のレリーフ。そして〜勇者様をイメージしたクロスした刀。

聖女様が王国の盾であり〜勇者様が王国の剣という意味があるんだよ〜。

ふふふっ。まあ〜私も〜ついこないだ〜父様に教えて頂いたんだけど〜。

皆んなの憧れの馬車なんだよ〜。」


「そっそうなんだ〜まあ〜いいや!

では〜行こう!」


メル達は、クッキー&ケーキ店で見学場所を決めることにしたのだった。


四人で馬車のロータリーにいく。


白馬と白馬車がそこに止まっていた。

その前に、ビシっと執事服を着こなした爺が待っていた。


「メルお嬢様!ミーアお嬢様。

お帰りなさいませ。

おっ!新しいお友達ですかな?

ミレーネ様のお店に行かれるのでしたね。

お送りいたします。

お嬢様。爺は、その間商業ギルドに用事がありますので、ごゆっくりしてくださいませ。」


「はい。爺!お願いね〜!」


「では、お乗りくださいませ。

さあ!どうぞどうぞ!」


爺は、アリスとシェリルを促す。


アリスとシェリルは、緊張した表情で白馬車に乗り込む。


そして、白馬車がゆっくりと動き出す。


思わずアリスとシェリルは、声を上げた。


「うわぁ〜うっ動いたよ〜!

シっシェリル!私達!白馬車に乗ってるんだよ!ゆっ夢じゃないよね!」


「あっアリス!ゆっ夢じゃないよ!

私、さっき、頬をつねったもん!

痛かったもん!」


アリスとシェリルは、興奮していた。

二人は、窓から見える景色を眺めながら、無邪気に、そう言ったのだった。


白馬車が、ミレーネのクッキー&ケーキ店の前で停車する。


爺が扉を開けて、一人一人手を貸して、降り立つ。


「では、お嬢様方、ごゆっくりしてくださいませ。」


メルは、真っ先に店に入る。

そして、アリスとシェリルの背中を押しながら、ミーアも入った。


ミレーネが駆けてきて言う。


「メルちゃん!ミーアちゃん!お帰りでございますなのです♪

新しいお友達もいらっしゃいませでございますなのです♪

さあ!奥の部屋に行くでございますなのです!」


メル達はミレーネに促され奥の部屋に通されたのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


シェリルとアリスは、目の前に広げられたクッキーとケーキに目を輝かせた。


シェリルが言う。

「夢にまで見た!クッキー&ケーキ店のクッキーとケーキだ!

うっうわあ!たっ食べて良いのですか?!」


「ふふふっ。た〜んと食べてくださいでございますなのです。

夢にまで見たと言ってくれて、嬉しいでございますなのです!

お茶も飲んでくださいでございますなのです。

ロイヤルミルクティーでございますなのですよ。」


シェリルとアリスは、クッキーを食べる。


「うわぁ〜!美味しい!

口の中に甘さと香りが広がるよ!」


「ふふふっ。メルちゃん♪

良いお友達でございますなのです!

ミレーネのお菓子を褒めてくれるお友達は大歓迎でございますなのですよ!」


しばし、四人はお菓子とお茶を楽しんだ。

そして、本題の見学場所を何処にするか、考えたのだ。


メルは、腕を組んで、う〜んと考える。


すると、ミレーネが言う。

「何を考えているでございますなのですよ?」


「ミレーネお姉ちゃん〜今度木曜日に〜社会見学があるの〜折角だから〜なかなか行けないところが〜いいなぁって。

でもなかなか浮かばないの〜。」


皆が頷く。


するとミレーネが言う。

「ふふふっ。メルちゃん♪

ミレーネは、思いついたでございますなのです!」


「えっ!どこ〜?!教えて!」


「ふふふっ。どうしようでございますなのですよ。」


「もう〜ミレーネお姉ちゃん!わっるいんだ!教えてよ〜!」


「ふふふっ。

良いでしょう!それは………王城とかはどうでございますなのですよ!」


「おっ王城かぁ〜!

私も〜謁見の場しか〜行ったことないよ〜!

良いかも!」


「ちょっちょっと待って!メルちゃん!

王城?!お城?!平民の私達はダメじゃない?!」


するとミレーネが言う。

「何を言っているでございますなのですよ。

メルちゃんが居るのでございますなのです。

大丈夫でございますなのですよ!

陛下と王妃の喜んでいる顔が浮かぶでございますなのですよ!」


メルが言う。

「アリスちゃんとシェリルちゃんは〜王城見学するの嫌かな〜?

ミーアちゃんはどう?」


ミーアが答える。

「行きたい〜!アリスちゃん〜シェリルちゃん〜大丈夫だよ〜。

私〜ラムザ王子様の〜婚儀パーティの時に〜王様と王妃様とお話しさせて頂いたの〜

とても〜お優しかったもの〜。

メルちゃんの〜お祖父様お祖母様なんだよ〜

怒られることも〜ないよ〜!

王城にしようよ〜!」


シェリルが言う。

「行っていいなら、そりゃ行きたいよ!

それこそ、簡単に行けるところではないんだよ!」


アリスが言う。

「行きたい!お城だよ!それこそ!夢だよ!」


メルが満面の笑顔で言う。

「じゃあ!王城見学で決定〜!

母様に〜ジイジとバァバに言っといてもらうね〜!

ミレーネお姉ちゃん!ナイスアドバイスだよ!ありがとう!」


皆で笑ったのだった。








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