第7話 お嬢様は、ぶった斬る
「もぐもぐッゴクン。
ミーアちゃん〜でも凄いね〜鍛治ができるなんて〜!私尊敬だよ〜!」
「もぐもぐッゴクン。
私なんて〜まだまだだよ〜でも、ナイフとかロングソードとかなら〜父様から作って良いとお墨付きを頂いたの〜。
でも、刀は〜まだまだ無理かな〜
凄く特殊だから〜。」
「もぐもぐッゴクン!
ミーアちゃん〜!私応援するよ〜!
私が出来るのは〜斬月を見せてあげれるだけだけど〜これでもかって言うくらい見てくれていいんだよ〜!
そして〜ミーアちゃんが〜刀を作成できるようになったら〜私に名刀を作ってね〜!」
「もぐもぐッゴクン。
ふふふっ。頑張らなきゃね〜。
必ず〜名刀を作れるようになって見せるよ!
その時は〜メルちゃんの刀を必ず一番に作るから!
あっ!でも…少し時間は掛かると思うの……。」
「もぐもぐッゴクン。
うんうん。名刀だもんね〜
わかってるよ!そんな簡単にできないのわ〜!」
「違うの…。
刀作るの本当に、難しいのも時間が掛かるのもわかってるし、それの為の努力なら〜
全然惜しくないの〜。
頑張れる!
でも〜最近無茶な注文をされる方がいて〜
父様の手伝いをしないとだから〜……。」
「ミーアちゃん〜私は〜いくらでも〜待つから〜大丈夫だよ〜!
ずっと〜ミーアちゃんとはお友達だもん!
いつか、いつかで良いんだよ〜
永遠の〜約束〜!」
「……永遠の約束……
ふふふっ。いつか叶えられるように〜
私、頑張るね〜。メルちゃん!」
「ふふふっ。
良かった〜!
あっ!ミーアちゃん〜!
向こうにミレーネのお姉ちゃんのクッキーやお菓子が〜あるよ〜。
とても〜美味しいんだよ〜!」
「あっ!クッキー&ケーキ店の!
いつも、あの店の前通ると〜
甘い良い香りがしてたんだ〜
いつか〜食べてみたいと〜思ってたんだ〜。」
その時だった。
「そうでしょうね!
貴方みたいな、貴族だか平民だかわからないような人の行く店ではないもの!
貧乏人には、敷居の高い店ですわ。
王子の婚儀パーティーにも、あつかましいですわ。騎士爵の者が来ているなんて!
メル様、そんな貧乏人と居ると品位を問われますわよ。
さあ、メル様こちらで私達とお喋り致しましょう。」
ミーアは、悔しそうな表情で言う。
「…婚儀パーティーには、父様が……王子の婚儀用の剣を納めたので……王子と陛下からお誘い頂きました。」
「ふん!だから、なんだと言うのです?
偉そうに、私に口ごたえするのですか!
私は、セシル・ウーゴ。
ウーゴ伯爵の娘よ。
騎士爵の娘が誰に物を言っているのです!」
ミーアは、下唇を噛み締め、顔を伏せる。
そして、メルに言う。
「メルちゃん……ごめんなさい……
私………行くね。」
ミーアがその場を立ち去ろうとした。
しかし、メルがそれを許さなかった。
ミーアの手を握り、言った。
「ミーアちゃん〜何処に行くの?
大丈夫だよ。」
ミーアは、目に涙を溜めて言う。
「……メルちゃん……私。メルちゃんに迷惑かけたくない。」
「なんで迷惑なの〜?ミーアちゃんと〜私は〜永遠の約束をした〜お友達だよ〜
ここに居て良いの!
どちらかと言えば〜迷惑なのは、この人達だよ!」
「メル様?今、なんと?」
メルは、囲んでいるお嬢様達に向かって毅然とした態度で言った。
「私、メルル・フォン・フォスターは、爵位の序列に興味はありません!
私は、父様が公爵。母様が元王女で現聖女ですが、それは父様と母様が偉いだけ。
私は、私です。
貴方達も同じでしょ。
親が伯爵、子爵、男爵ってだけじゃない。
貴方達は、親が偉いから人を見下すの?
貴方達が偉いわけでもないのに。
なにかを成してから偉そうになさってください。
そんな価値観をお持ちの方とは、私は仲良くすることはありません!」
メルの澄んだ声が、会場に響き渡る。
すると、パチパチと手を叩きながら初老の男性が近づきながら言った。
「流石は、聖女ローザ様のお嬢様です!
皆さんお聞きになりましたでしょう!
この幼きお年で、立派に教会の教え、平等の社会を語られた!
立派な演説でしたぞ!」
シーガー枢機卿だった。
すると、逆方向から初老の男性がやってきて言う。
「シーガー枢機卿!
それだけではなかろう!
ローザ様は、元王女様だ。
王族の博愛の精神をしっかりとお嬢様に教えていらっしゃると見た。」
ロラン侯爵だった。
メルとミーアを取り囲んでいたお嬢様達は、逃げ足が早い。
もうすでに姿を消していた。
シーガー枢機卿とロラン侯爵は、その場で教会の教えだ!王族の博愛精神だ!と、どちらも譲らない。
すると、そこに聖女ローザがやって来て言う。
「シーガー枢機卿、ロラン侯爵〜。
何をこんな中央でそのような話をしているのですか〜。
端で〜なさってください。
子供に悪影響ですわ〜」
シーガー枢機卿とロラン侯爵は、気まずそうに引いて行った。
ローザは、メルとミーアの元に行って言う。
「メルちゃん〜立派でした〜
偉いわよ〜メルちゃんの言う通りです。
子供は皆同じです。
お友達が出来て〜良かったわね〜
いつまでも二人仲良くするのですよ〜」
「母様〜!ミーアちゃんって言うの〜!
ミーアちゃん凄いんだよ〜
鍛治するんだよ〜」
「あっ、……聖女様……ミーア・キャスバルです。…よっよろしくお願いします。」
「まあ〜!そうなのね〜!
ジルとエルサの!
ミーアちゃん〜私も、ケイン…メルちゃんの父様も、ミーアちゃんの父様と母様ことは、よく知っているのよ〜。
そうなのそうなの。メルちゃんの初めてのお友達が!これは、神のお導きかもね〜。」
「母様〜まだお仕事終わらない?
向こうに〜ミレーネお姉ちゃんのクッキーとケーキがあるの〜。
ミーアちゃんと食べにいくの〜。
母様も〜一緒に行こうよ〜」
「ふふふっ。じゃあ〜少しだけお休みしようかな〜
じゃあ、メルちゃん〜ミーアちゃん行きましょう!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おお!メルちゃん!
ぶった斬ったぜ!
そのような価値観をお持ちの方とは仲良くはなれません!だってよ!
貴族派のお嬢様達、顔引き攣っていたぞ!
で、ここぞとばかりに枢機卿と侯爵だ!
抜け目ねえぜ!」
「ふ〜ん。
メルも怒ると、あれだけ舌が回るんだな!
いつも、ゆっくりとした喋り方なのにな。」
「ケイン様!
まるで、ローザ様ですよ。
ローザ様も普段は、ゆっくりとした喋り方ですが、キレられると………なんか寒気がしてきました。
お嬢様は、末恐ろしいですよ。」
「ガロ!ハハハッ!
ローザに後でチクっといてやる。
ローザに睨まれろ!ハハハッ!」
「……マジで、やめてくださいね。……
本当、怖いですから。」
ケイン達は、笑い話に変えていたのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「レナお姉様♪この鞄を見てくださいでございますなのですよ。」
ミレーネが黒のフリルがついた、ヒラヒラの多い鞄を掲げ、レナに見せる。
「なっ何よ。まあ、私の趣味ではないけど
ミレーネっぽくて良いんじゃない?」
「ふふふっ。それだけでございますなのですか?
では、これを見てくださいでございますなのですよ!」
ミレーネは、鞄の中に右手を入れる。
そして、一気に肩まで入れる。
普通なら、手のひらを入れたらそれ以上は入らない小さな鞄なのだ。
それが一気に肩まで入ったのだ。
「えっ!ミレーネ。ミレーネちゃん!
そっそれは!何かな?!
もしかして、もしかしてだけど、魔法袋とか言うのではないでしょうね!」
「フフフッ。流石のレナお姉様も気付くでございますなのですね。
そう!これは!紛れもなく!
メルちゃん特製、魔法袋改め、魔法鞄でございますなのですよ!
メルちゃんにお願いしたでございますなのです!」
「なんで!なんで!アンタ!魔法袋欲しいなんて言ってなかったじゃない!
そんなアンタがなんでメルちゃんにお願いしてんのよ!」
「レナお姉様♪、ミレーネは、メルちゃんと超仲良しなのでございますなのですよ!
メルちゃんが魔法袋を作れると聞いたからには、当然お願いするでございますなのですよ!」
ミレーネは、そう言うとレナを煽るように、フンフン鼻唄を歌いながら、レナに鞄を見せつける。
レナは、地団駄を踏んで悔しがっていた。
「何してるんですか〜貴方達は〜。
メルちゃん〜ミーアちゃん〜
こんなレディになっては〜ダメよ〜」
メルとミーアは、はい!と返事して、お菓子を食べに行く。
「ローザ〜。ミレーネが、ミレーネが虐めるんだよ!
見て、あの得意気な顔!
ムカつくわ〜」
「ふふふっ。
だって〜ミレーネ言ってたもの〜レナを弄ると〜。
ふふふっ。ミレーネ〜もう満足したでしょう〜もうやめたげなさい〜。
レナが泣いちゃうから〜。」
「ふふふっ。ローザお姉様♡
ミレーネは、レナお姉様の悔しがってる顔を見れたので満足でございますなのですよ。
レナお姉様も欲しいのなら、メルちゃんにお願いするでございますなのですよ!」
「……だって〜私、まだ仲良しになってないもん。どちらかと言うと、こないだのことで嫌われてるもん。」
「ふふふっ。どうしたの〜レナ〜。
なんか〜可愛いじゃない〜
しょうがないわね〜
メルちゃん〜
レナおばちゃんが魔法袋欲しいんだって〜
レナおばちゃんにも作ってあげて〜。」
メルが振り向いて言う。
「もぐもぐッゴクン。
別に良いよ〜
まだ沢山ビッグスパイダーの糸で作った布があるし〜
ミレーネお姉ちゃんみたいに鞄を用意してくれたほうが〜簡単なの〜」
レナが食いつき気味に言う。
「本当!メルちゃん!用意する!鞄用意するよ!レナおばちゃん!鞄用意するから!」
ミーアが不思議そうな顔でメルに言う。
「メルちゃん〜なんであのお姉ちゃん、あんなに若いのにおばちゃんなの?」
「きゃあ!何?この子、とても良い子!
可愛いわ。
連れて帰って添い寝したい!
連れて帰って良い?!」
「レナ〜そういうところよ〜
言ってることが〜おばちゃん臭いのよ〜」
周りの皆んなが笑ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一箇所に集まる貴族派のお嬢様達。
セシル・ウーゴは、イライラしていた。
「何故!何故ですの!
何故メル様は、あんな騎士爵の娘をお庇いになるの!
あの騎士爵の娘、許せないですわ!
メル様は、私達と居るのが正しいのです!
メル様の目を覚まして差し上げないと!」
先程の事を、先程のメルの言葉が全く響いていないのだ。
ある意味、親達の思想が子供達にも伝染しているのだ。
「あっ!そうですわ。
良い事を思いつきましたわ。
恥をかかせてやるのです。
あの騎士爵の娘に。
そうすれば、メル様もあの娘に嫌気がさしますわ。」
そう言うとセシル・ウーゴは、ニヤリと笑ったのだった。
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応援ありがとうございます!
こちらは、リニューアル版となります。
以前のと、表現を変えたり加筆したりしています。内容は一緒です。
これからもよろしくお願いいたします。
今、メルが成長した物語も投稿中です。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330661954911180
こちらも是非よろしくお願いいたします。
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