第3話 お嬢様の実力

ローザとレナが突然揉めた為、メルはレナと魔法で戦うことになった。


ローザが、レナを睨んで言う。


「メルちゃん〜このおばちゃん〜まだ結婚したいみたいだから〜

腕とか〜足とか〜無くなっちゃったら〜

また〜ブツブツ五月蝿いから〜

戦う前に〜ポーションを作っておこうか〜」


「母様〜私〜このおばちゃんと戦うの〜

絶対負けるよ〜

このおばちゃん強い〜?

髭のオッチャンと〜どっちが強い〜?」


「そうね〜このおばちゃん〜所詮魔法士よ〜

魔法発動までの間に攻撃されたら〜

何もできないおばちゃんなの〜

だから〜余裕で髭のオッチャンが勝つかな〜」


「ちょっ!ちょっと!

ローザ!言いたい放題言ってくれるじゃない!アンタ、元パーティメンバーよ!」


レナを声を、ツンと丸無視するローザ。


そんな所にケインが小瓶を沢山抱えてやってきた。


「ヨシっ!メル!ポーションを作ってくれ!

蓋開けて並べたらいいか!」


メルは、魔法袋から薬草と月見草を山程出しながら言う。


「はっい。父様〜お願いします〜

出来た後〜蓋もしめて〜欲しいの〜」


「えっ!あれ、魔法袋!?」


レナが魔法袋に目がいってる間に、メルは錬金を始める。


右手を山のように積んだ薬草に翳した。


山程の薬草が白いモヤに包まれる。


そして、輝きだす。

そして左手を月見草に翳す。


月見草が白いモヤに包まれる。

そして輝きだす。


これを見てレナが叫ぶ。


「えっ!片手ずつ、錬金してるの!

どんな思考をしているのよ!」


輝きが収まった時、メルは右の手のひらと左の手のひらを合わす。


すると、薬草の液体と月見草の液体が合体した。


そして、メルは、合わせた両手をクルクルと回した。


液体が、攪拌されていく。


そして、混ざり合う。そして、最後に輝いたのだった。


すると、メルは、合わせていた手をパンっと弾くように広げた。


混ざり合った液体が弾けて、無数の水玉に成った。


そして、メルが手を小瓶に向ける。

すると、小瓶の上に無数の水玉飛んでいく。


小瓶が足りなかったので、急いでケインが並べ直す。


そして、メルが手を下に振る。


水玉が小瓶に吸い込まれていく。


ケインが小瓶の蓋をしていく。

蓋をした小瓶をひとつレナに投げる。


「レナ!確認してみろ!

メルの凄さがわかるぜ!」


レナは、小瓶を見る。そして、鑑定魔法を使う。


「なっ何よ!こっこれは!

上級ポーション!それも、特上品質!

あの短時間で!

大人の錬金術師でも、一週間かけてもこの品質に届かないわ!

すっ凄い!」


「な!凄えだろ!

俺達の自慢の娘だ!このポーションは、サイラス経由で王家に卸され、王家が教会に寄附しているんだ!当然無償だぜ!

俺達が勝手できてるのも、そう言う理由があんだぜ!」


「たっ確かに、錬金の腕は認めざる得ないわね!これは、凄いわ!」


ローザが言う。

「さあ!これで〜レナが腕と足を無くしても〜大丈夫だわ〜!

さあ!レナ!庭に出なさい!」


決闘を忘れていないローザだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



庭に出たレナとメル、ケインとローザ。


ケインが庭にいる騎士を端に行くように言って場所を開ける。


ローザがメルに言う。


「メルちゃん〜メルちゃんの魔法が〜強力過ぎて〜あのおばちゃんを殺してしまうかも知れないから〜

一応魔法障壁をかけてくれる〜?

あのおばちゃん、ああ見えて国には大事な人間だから〜。」


メルは、手を翳してレナに魔法障壁を掛けた。


「なっ何?!無詠唱だと〜!?」


レナが驚愕の表情を見せる。


ローザが叫ぶ。


「メルちゃん!やっておしまいなさい!」


メルは、右手を翳し、魔力を高める。

途轍もない魔力がメルから漏れ出す。

白いモヤが上昇気流のように舞い上がる。


メルの金色の髪がふわっと舞い上がる。

そして、金糸のような髪が背中にパラパラと落ちていく。


レナは、驚愕し、後退りながら言う。

「まっ待って!まっ」


メルは、魔法を発射した後だった!


特大サンダーランスだ!


バチッバチッバチ!凄い音を放ちながら、レナに目掛けて飛んでいく。


レナに当たる寸前でメルが掛けた魔法障壁が発動する。


ガリッガリッガリッガリッガリッ!


障壁を打ち破ろうとサンダーランスが障壁を削ろうとする。

しかし、そこは、メル自身が張った障壁。

頑丈なのだ。


すると、メルが瞬歩でレナに一瞬で寄り、

レナに向けて正拳突きを寸止めした。


レナは、その正拳突きの風圧で、2メートルくらい吹き飛ぶ。


そして、メルは障壁を削ろうとしているサンダーランスを下からアッパーカットするように殴り飛ばした。


サンダーランスは、打ち上げ花火のように空に登っていく。


黒き森が明るくなるくらいの輝きを残して。



ローザがレナの所に行き言う。


「ふふふっ。どうかしら〜レナ。

親馬鹿〜って言ったの訂正してくれるかしら〜?

メルちゃんは、天才なの〜。

黒魔法に白魔法、神聖魔法に錬金術。

剣術に武術。

ケインと私の能力〜プラス錬金術を持って生まれてきたのよ〜!

魔力量だって凄いんだから〜

メルちゃん指輪3個してるでしょう〜

あれは、魔道具なの。魔力を抑える為の〜

あれがないと〜魔力酔いで大変なことになるからね〜

だから〜今の〜決して全力ではないとという事〜頭に入れておいて〜」


レナは、呆然としていた。


メルは、すぐさまローザの後ろに隠れる。


レナが言う。


「たっ確かに認めるわ。メルちゃんが天才だってこと。

しかし、今もそうしてローザの後ろに隠れている。

警戒心が強いのもわかる。

だからこそ、人ともっと関わる必要があるわ!

10歳でしょう!

この春から、学園入学じゃない!

忘れていたとは、言わせないよ!

ローザの妹が管理している学園ですもん!」


「う〜ん。わかっているわよ〜。

でも〜学園で学ぶことが〜あるのかしら〜?

こんな天才なのに〜。」


「ローザ!アンタね!

メルちゃんに友達を作って欲しいとか思わないわけ!?

メルちゃんも、お友達欲しいよね!

シャドウだけが友達なんて嫌よね!」


「お友達?……シャドウお友達?

シャドウはお友達じゃないもん!

ペットだもん!」


家の中から眺めていたシャドウが反応する。

(ぺっ!ペット〜!お嬢様!あんまりです!)


ローザが言う。


「友達かぁ。そうね。人付き合いも学園で学ぶ所よね〜

ケイン〜学園〜意味があるかも〜。」


「そうだな!

婚儀に参加ついでに、王都に戻るか!」


レナが言う。


「そうしなさいよ!

帝国とマール共和国の動きもきな臭い今、ケインとローザが王都にいることで、牽制にもなるし、王国貴族にも刺激になるわ!」


「わかったよ!王都に戻ろう!

レナ、爺に明日黒き森の入り口まで馬車を回すように伝えてくれるか?」


「わかったわ!今日帰って伝えとくわ!」


レナは、そう言うと騎士達を連れて王都に帰って行ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



レナと騎士達は、黒き森を王都を目指して歩いていた。


騎士達の様子は、それぞれだった。

メルの力を見て純粋に興奮している者、メルの圧倒的な力に恐怖を抱いて顔を青くしている者のどちらかであった。


レナは、思った。

(コイツら、メルちゃんのことで今日は、酒を飲むんだろうな!

私が、ボロクソに負けたと!

酒のアテにされるのは、気に入らないが、メルちゃんの強さは、確かよね。

天才かぁ‥…それで済むレベルではないよね。

ふふふっ。遺伝かあ‥…。

錬金術は、さらに神が与えたの?   

チート過ぎるでしょう!

あっ!あれ、魔法袋だったよね。

メルちゃん魔法袋作れるんだ!

魔法袋!欲しいなあ!

絶対欲しい!

メルちゃん、作ってくれないかな?

仲良くならなきゃ!

おばちゃん呼びも我慢しよ!

魔法袋欲しいもん!)


そう、レナは考えたのだった。


そして、正気に戻ったレナは目の前を青い顔で歩いている騎士団長の尻を蹴り上げたのだ。


「しっかりしろ!

騎士団長のお前が、青い顔しててどうする!」


レナは、喝を入れたのだった。

そこには、少し八つ当たりが含まれていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


フォスター家の夕食は、ローザが作ったグレートビッグボアのミンチカツだった。


ローザは、元王族、料理を作れる理由は。元勇者パーティとして活動した経験があってなせることなのだ。

普通、王族、貴族は料理などしない。

給仕が全てやるからだ。

明日王都に帰るフォスター家は、これからは、給仕が料理をする。なので言わば最後のローザの料理を頂いているのである。


「もぐもぐっゴクン。

母様のミンチカツ〜私大好き〜!

とっても美味しいの〜」


「ふふふっ。王都に行ったら〜もっと美味しい物が食べれるよ〜」


「え〜!本当に王都に行くの〜………」


「なんだ?メルは、王都に行きたくないのか?」


「だって〜おうちないよね〜……」


「……ハハハッ!メル!おうちがないと思って嫌だったのか?

ハハハッ!ごめんごめん!

屋敷に連れて行くことがなかったな!

王都におうちはあるぞ!

それも、馬鹿ほどデカい屋敷が!

王都だけでなく、別に領地もあって、領地にも屋敷があるぞ!

お金持ちなんだよ!」


「そうか〜おうちあるのか〜

なら、王都に行くのも良いかな〜

父様と母様とシャドウと一緒だし〜!」


メルは。ローザの料理を堪能したのだった。


ラムザ王子の婚儀出席とともに、学園入学を決め王都に戻ることを決めたフォスター家。

黒き森での最後の夜を三人と一匹で静かに過ごしたのであった。


    ー 0章 完 ー


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リニューアル版です。

表現を変えていますが、内容は変わっていません。

明日は第1章お嬢様見参!編を投稿いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。


メルの成長した姿を描いた物語も投稿しています。

こちらも是非お願いいたします。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330661954911180


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