追放された僕の下に女神が舞い降りた〜剣聖スキルを勇者に捧げたら、ただのデブは不要と言われ追放されたが、女神に結婚を申し込まれ、神として生きて行く事になりました。今度は僕のターン、追放返しだ〜
episode 29 その頃、デリック達は5 -デリック視点-
episode 29 その頃、デリック達は5 -デリック視点-
「くくく……くくくく……あっはっはっはっはー! 馬鹿め! 俺を大勢の前で恥をかかせた報いだクソが!」
上手く行ったな。行き過ぎて笑いが止まらねぇぜ。
ついにあのデブの終わりが来る!
審議の間を後にした俺はこの勝利の余韻にドップリと浸る為に、いつもの酒場で高級なワインを呷っていた。
「勇者たん……本当にあの方が王様を殺しちゃったのですかぁ?」
正面に座ったレエナが俺にそう聞いた。
改めてこの女を見るが、いい乳してんのに顔はガキみてぇな面してやがるんだよな。
あのウルとか言う狼の女も乳でけぇし、美しい面してやがったな。精霊っつ〜のはみんないい女なのか。
「王様の記憶の通りだ。あれが奴の本性だ。平気で人を殺しちまう危険なデブなんだよあの野郎は」
「神導様がぁ〜? 人間を殺害するのですかぁ?」
「てめぇ前にも何だっつってたよな。何なんだよそのしんどうさまっつうのは」
「神導様は神導様なのです! レエナ達精霊を生んだ親なのですぅ!」
「何訳の分からねぇ事ほざいてんだてめぇは。あのデブはただのデブなんだよ。もしあの野郎が精霊の生みの親なんだったらわざわざ剣を使って殺す理由は何なんだ? あ? それに精霊を生むぐれぇ偉大な存在なら、人殺しなんてしねぇだろうが」
「そうなのですぅ。だからあの方ではないと思うのですぅ……」
めんどくせぇ精霊だな。
「そうだろう? だから奴が普通の人間で、サイコ野郎の殺人鬼なんだよ」
「ぐぬぬ……話が噛み合わないのです……」
「元々噛み合わねんだよてめぇとはな!! あの最低最悪のデブを擁護するんなら、てめぇは解雇だ」
「そ、そんなぁ……でもでもぉ、魂の契約をしてレエナの力をちゃんと使えるようにならないと、魔王と戦えないのですよぉ!」
「ふざけんじゃねぇ! 何が精霊の力だ! てめぇこの前の試合でクソの役にも立たなかったじゃねぇかよ! そんな力で魔王と戦えるかよクソが!!」
「いやぁ……それは勇者たんの力が余りにも……ゴミ過ぎなのですぅ」
「また言いやがったな三流幼女精霊!! てめぇが力不足なんだろうが!! 俺は勇者だぞ!? 世界でたった1人の選ばれし者なんだぞ!? 馬鹿かてめぇは!! 俺の力が弱ぇなんてあり得ねんだよ!」
そうだ、あの闘技大会の時に咄嗟についた嘘だが、マジであのクソデブの野郎、呪いをかけたんじゃねぇのか?
タイミング的にも丁度俺が追放してやったあの日以降だからな。そのタイミングで俺の力も弱まった。
絶対に間違いねぇ……あの野郎。
「あぁあぁぁ〜まぁたぁレエナのこと三流って言ったのですぅ!! むんむんカチカチなのですぅ!!」
「お、おい!? て、てめ何しやがんだ!!」
俺の酒をぶん取って一気に飲みやがった。
こいつ酒には興味ねぇとか言ってやがったのに、美味そうに飲んでやがるじゃねぇか。
キレてやろうと思ってたんだが、飲んでる姿が意外に可愛いくてタイミングを見失っちまった。
「ぷはぁ〜! ほぇぇぇ〜美味しいのです! これ4つおかわり下さいので〜す!」
「おいふざけんな。てめぇ金持ってねぇだろ」
「持ってる訳ないのです! 精霊なのですからぁ!」
もうちょっと酔ってんなこいつ……。
店員が酒の入ったコップをレエナの前に置くと、俺に向かって大声で飛ばして来やがるし、勇者たんって耳が痛ぇんだよこのクソ幼女。
「勇者たん! ねぇ聞いてるのですか!! 勇者たぁん! ねぇ勇者たんってばぁぁ!!」
「うっせぇな!! 聞こえてるよ!! 勇者たんって呼ぶなっつってんだろうが!!!」
「勇者たんは勇者たんなのです! ねぇ勇者たぁぁん!! もっとレエナの力使えるようになりたくないのですかぁ! んぐんぐ……ぷはっ。精霊力をコントロール出来るようにならないと、魔王なんて倒せないのですよぉ!!」
爆速で全部飲み切ったのか……こいつ。アルコールのキツイやつを何ちゅうペースで飲みやがんだよ。
頬がほのかに赤く染まって、目もとろんと眠そうにしてるが、まさかここで寝ようとしてんじゃねぇだろうな。
「はれぇぇ? なんらかぁ〜急に暑くないのですか?」
それは暑いのか暑くないのかどっちなんだよ……変な喋り方しやがって。
手うちわで顔をパタパタと扇ぎながら、俺の隣にちょこんと座ってもたれかかって来た。
「てめぇ……ふざけ」
「ちょっとらけぇ、きゆけぇ……えへへ」
ハッキリ言うが、俺の心ん中は心臓の鼓動の高鳴りで埋め尽くされていた。そりゃあ色んな女を抱いて来たし、普通なら腕が触れたぐれぇで心臓がバクバクするなんて事はねぇ。寧ろ相手がそうなる事が多かった。
だが、今回は俺が何故か緊張してんだよ。
精霊だからか? それとも見た目が幼女だからか? 或いはどっちもあるかもな。
「うぅん……」
ただ眠そうにしてるだけなのに、その声に俺の興奮のパラメーターの針が振り切れた。
そ、そうか〝精霊〟〝幼女〟今まで経験した事ねぇ新しいジャンルだからか興奮するんだな。
って、おいおい……ここからでも乳が全部見える勢いじゃねぇかよ!
「よ、よし……」
こっちの空いてる手で、ちょっとだけ服を引っ張れば……あとちょっと……あともうちょっと……あと……
「こぉらぁぁ!」
「えあ!?」
「もぉ……と…………さけもっ……へほぉい」
んだよ……寝言かよ。腕にしがみつきながらまたスースー寝やがった。
こいつの寝顔マジでやべぇ……めちゃくちゃ可愛い過ぎんだろこの女。
俺の好みなのは間違いねぇが、新ジャンルってパワーはマジですげぇぜ……まるで初恋したようにときめいちまった。
この俺がこんな気持ち悪ぃ事言う程の容姿をこいつはしてるっつう事だ。
残念ながら全部は見れなかったが、さっきの寝言でこいつ自ら動いた事で俺の手に偶然でけぇのが収まっちまったんだよ。
収まり切れてはねぇが……。
ミンシャもやばかったが、この幼女は比べもんになんねぇぐれぇの柔らかさだった。やっぱ新ジャンル補正も入ってんだろうが、この女を早く俺の女にしてぇ。
「ねぇねぇ見て、あれってデリック・ヴィルドールじゃない?」
「うぉ本当だ! デリックじゃんかよ! ん、おい……あの隣の美少女は誰だ? キングスナイトにあんなメンバーいたっけ?」
「デリックって言ったらいつも美女を連れてるイメージだけど、実際はあんな童顔の女が好きなの? あんなのが?」
「何言ってんだよ、可愛いだろ! おめぇより2億倍可愛いっつぅの!」
「そ、じゃあその2億倍可愛い女の子と付き合えば?」
「お、おい……ちょ、ちょっと待てよ! おい!」
ん? 女がドスドスと足音を立てながら店を出て行った。
その後を男が追いかけて行く。その途中に俺の席を通り過ぎた。
「あんたが!! あんたが悪いんだ!! こんな美少女とイチャイチャしやがってぇ!! クソ勇者!!」
「ああ!? なんつったてめぇ!!」
俺の荒げる声にも動じず、男もそのまま彼女を追いかけて行った。
ったく、八つ当たりしやがって!
「全く、災難でしたよねぇ。せっかく今からこの子と楽しもうと思っていたのに」
俺の直ぐ隣で声が聞こえた。
「だ、誰だてめぇ!?」
黒いフードを被った男が俺の隣に座ってたんだ。
いつからここに座ってたのか分かんねぇぐれぇ、いつの間にかそこにいたんだ。
「そうですよねぇ、やっぱり気になりますよねぇ。いきなり貴方の隣に全身黒ずくめの男が座っていたら」
見るからに怪しい奴だな。
フードを深く被って口元しか見えねぇし。
「いや私ね、貴方の秘密を知ってるんですよねぇ。例えばそうですね〜どうやって国王殺害の濡れ衣をアステル・ランドベルクに着せられたのか」
な、なんだと……? 何でこいつが……。
この黒フードの野郎、一体なにもんなんだ……。
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